もふもふ不動産のもふです。経済や投資についてわかりやすく解説しています。
日経平均株価が連日過去最高を突破している中、ニデックの株が暴落しています。なぜニデックの株が暴落しているのか、これまでの経緯を含めてわかりやすく解説していきます。
端的に言うと、2023年のニデックが分配可能額を超過問題が起き、それを監査法人に責任転嫁したことから監査法人との関係性が悪化。2025年に不正会計問題が発覚し株価が暴落。
さらにいがみ合っている監査法人から「意見不表明」を出されたことをきっかけに、東証が特別注意銘柄に認定。日経平均やTOPIXから外されたことで株価が暴落しています。
これについてわかりやすく解説します。

ニデックはどんな会社か?

1973年に京都で創業されたNidec Corporationは、「回るもの、動くもの」すべてを手がける世界No.1の総合モーターメーカーです。
同社は精密小型モータから、自動車・産業機器用の大型モータ、電子・光学部品・機器装置に至るまで幅広く事業を展開しており、グローバルには約300社のグループ企業を擁します。
創業者の永守 重信さんは1代でニデックを世界的な企業に育て上げた経営者としてとても有名です。日本の著名な経営者として必ず名前が挙がってくるほど有名な方です。永守さんの強力なリーダーシップのもと、ニデックを世界的な企業へ成長させました
企業理念として「世界一を追求する情熱・熱意・執念」および「知的ハードワーキング」「すぐやる・必ずやる・出来るまでやる」の三つの精神を掲げ、技術革新とM&Aを通じたグローバル展開を積極的に行っています。
2020年の関氏の社長就任と、2022年の退任

どこからニデックがおかしくなってきたかというと、個人的には2020年の関氏の社長就任と、2022年の関氏の社長退任と永守さんの社長復帰があると思います。
関氏は日産の執行役員COOを務めたところから永守さんの三顧の礼で日産からニデックへ転職し社長に就任。当初はうまくいっていたが、ニデックの文化と日産の文化が違いすぎて永守さんと軋轢が生まれた。就任から2年で退任につながった。
そして永守さんが社長に復帰した。この辺からおかしくなった気がする。
1代で日本電産(ニデック)を世界的企業に成長させた永守氏に逆らえる人材は会社内に誰もいない。すでに81歳になる永守氏がすべてを理解して会社を正しく経営できると思うのは難しいだろう。
株価至上主義がニデックをおかしくしていった
こんな記事がある。高すぎる目標設定に関氏が反論した所から関係がおかしくなったとある。不正の温床になることを懸念していた。
また、役員は7時に出社することが暗黙のルールとなっていたのだが関氏は8時半に出社していたそうで、それも永守氏が気に食わなかったなった模様。
日本電産、カリスマ経営者が招いた大量退職危機「株価至上主義が、すべてをおかしくしている」9月初旬に日本電産社長を辞任した関潤氏は、在職中、周囲にそう語っていたという。toyokeizai.net
「株価至上主義が、すべてをおかしくしている」
9月初旬に日本電産社長を辞任した関潤氏は、在職中、周囲にそう語っていたという。「会長からの突然の指示で、『株価から逆算した業績目標』なるものが降りてきたのです。株価1万円台を回復するために、年度当初に設定した業績目標をさらに上回る利益を出すことが求められ、それを当初目標の『過達』と呼んで、第1四半期は110%過達、第2四半期は117%過達せよと指示されました。そもそも年度当初の目標からして実現が危ういほど高いのに、それをさらに1割、2割『過達』せよというのですから、できるわけもありませんが、何せ永守イズムの真髄は『すぐやる、必ずやる、できるまでやる』です。『今の日本電産には何があっても過達するという気概と執念がない』『未達は悪、赤字は犯罪』との猛烈なハッパに役員らはあらがいようもなく、過達できない役員には幹部会議で罵倒、降格、減給が待っているのです」。永守氏の反発のすさまじさはともかくとして、異常に高い目標設定と行き過ぎたプレッシャーを関氏が問題視したのは、それが不正の温床になりかねないと懸念したからだ。
また、ニデックの株価が安いと永守氏自身が良く周囲に漏らしていることも報道からわかる。
(私は関氏に)何回も何回も指導したが、それを2人がけんかしているのではないかと思っている人いる。そうではなく、(彼は)指導を受けているのだ。私から経営の指導を受けていて、横を向いてまねなかったら進歩はない。私は50年間、会社の経営をやっている。数々の倒産しかかった会社を再建してきた。だから、そこから学ぶことはいっぱいある。
なお、関氏は台湾企業の鴻海のEV事業のトップに就任している。実力はかなりあったのだろう。
株価を上げることに執念を燃やしていた永守氏
時価総額10兆円を目標にしていた永守氏は、会社の株価を上げることに躍起になっていた。そのために目標の売り上げや利益を達成するのは必達。
メディアでもたびたび株価について言及している。
「6500円? 安いわな、それは!」「安い言うてんねん。だから、上げるわな、今から。業績上げて、株上げるわな。そんな心配せんでくれや」──。ニデックが東京・大手町で開催した2023年3月期(2022年度)決算説明会。同社の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO、以下永守会長)は、一部で立てられた6500円の株価予想に怒りをあらわにし、株価の反転上昇に意欲を示した。
永守ニデック会長、後継者は「株価を上げてくれる人」ニデック(旧日本電産)の永守重信・会長兼最高経営責任者(CEO)は20日、京都で開催した定時株主総会で、同社の経営課題となjp.reuters.com
社訓が「すぐやる、できるまでやる、必ずやる」。できないとは言わせない文化が残っているのだろう。
過去、ワンマン企業の社長が無茶な目標を上げ、部下が目標が達成できないときに粉飾決算をしてきた歴史がある。東芝など記憶に新しいだろう。
ニデックも同様に経営陣は永守氏からかなりのプレシャーを受けているものと思われる。
2022年に分配可能金額を超過していることが発覚。監査法人PwCとの関係が悪化
上場企業が株主に配当や自社株買いで分配可能な金額は決まっているが、その金額が超過していることが分かった。
この問題に対し、第三者の調査委員会を開き、調査を開始した。
ニデックが監査法人を名指しで批判したリリースを発表
以下のリリースで、監査法人の不備を指摘して責任転嫁をしていました。監査法人はあくまで監査するのため、責任はニデック社にあります。それを監査法人に責任転嫁したことで、軋轢が生まれました。
分配可能額を超えた前期の中間配当金、並びに前期の当社株式取得について | ニデック株式会社www.nidec.com
その後の調査において、2022 年 9 月 1 日以降 2023 年 3 月 31 日までに信託契約に基づき信託銀行が実施した当社株式の取得についても分配可能額を超過していたこと、当社の会計監査人であるPwC 京都監査法人も分配可能額の超過を、見落としにより、指摘できていなかったことが判明しました。
また、社長も記者会見で公認会計士のせいにしている節があります。
「うちが悪いけど、公認会計士も見落とした。最後に見てくれるという安心があった」と釈明した。20日に開いた株主総会で述べた。
これに対し、PwC監査法人はリリースを発表。必要な対応を行うとしか書いていませんが、これは最大限の怒りの表明だったようです。
ニデック株式会社が2023年6月2日に公表したニュースリリースについて
PwC京都監査法人は、ニデック株式会社が2023年6月2日に公表した「分配可能額を超えた前期の中間配当金、並びに前期の当社株式取得について」の記載を事前に認識しており、その記載と相違はありません。本件を受け、弊法人は今後、必要な対応を行ってまいります。
ここから監査法人との関係が悪化し、バチバチにやり合うようになったものと推測されます。
2024年9月3日。子会社の不適切な会計が発覚。経営陣の関与の可能性も
9/3にニデックから第三者委員会の設置のリリースがありました。経営陣が恣意的にリスク資産の評価減の時期をずらそうとしていると書いてあり、悪質なものになる可能性があります。
一般的にリスクがある資産評価を下げた場合、それは損失になるので赤字になります。そうすると目標の利益に達さない可能性があるため、会計処理の時期をずらして損失を出さないようにしたのでは?と推察されます。
2024 年 9 月下旬にサプライヤーからの値引きに相当する購買一時金(金額 1,000 万元、約 2 億円)に関して不適切な会計処理が行われた疑いがある(以下「テクノ事案」といいます。)との報告がありました。これを受け、当社は、当社の監査等委員会の監督の下、テクノ事案を解明するため、社外の弁護士、公認会計士その他の外部専門家を起用してデジタルフォレンジック手続を含む社内調査を行っていました。その調査の過程で、テクノ以外の当社及びそのグループ会社においても、当社やグループ会社の経営陣の関与又は認識の下で、資産性にリスクのある資産に関して評価減の時期を恣意的に検討しているとも解釈しうるなど、不適切な会計処理が行われていたことを疑わせる資料が複数発見されました。
これを受けて株価は暴落しました。
2025年9月26日 PwC監査法人から「意見不表明」が提出

監査法人は会計処理が正しくされているか、内部統制が問題なくされているか、コンプライアンスが働いているかなど監査します。
上場企業は監査法人がしっかり監査しているので、決算書の正確性や内部統制やコンプライアンスなどが大丈夫と担保されていることになります。
その監査法人が、ニデックの監査結果について「意見不表明」を出しました。これは、「そもそも正しいかどうかすらわからない」という、かなり厳しい結果となっています。
2023年の過剰分配問題の時に監査法人のせいにされたので、かなり厳しく監査したのではないかと思われます。(もしまた中途半端にOKを出した場合に後から問題が発覚設楽責任転嫁をされる可能性がある)
僕も長年株式投資をしていますが、これだけの大企業で意見不表明が出されたのは初めて見ました。それくらい大きな問題ということです。
監査法人の意見不表明とは
金融商品取引法に基づいて作成される有報は、監査法人による監査済みの財務諸表などの提出が求められる。記される監査意見は、「無限定適正」、「限定付き適正」、「不適正」、「意見不表明」の4種類があるが、監査人はいずれの場合にも責任を持つ必要がある。
日本公認会計士協会の説明によると、意見不表明とは重要な監査手続きが実施できず、十分な監査証拠が入手できない場合に記されるもの。会社の財務状況を「適正に表示しているかどうかについての意見を表明しない」旨およびその理由を監査報告書に記載する。
意見不表明が出されるということは、そもそも決算書などが正しいかどうかすらわからないというレベルであるため、ニデックの株を買うのはかなりリスクがある状態となっています。
25年9月27日 東証から特別注意銘柄に指定され日経平均とTOPIXから外される
ニデックが特別注意銘柄に指定された。特別注意銘柄とは、上場基準に接触しそうな可能性がある場合、改善の必要があると投資家に注意する目的で指定します。
特別注意銘柄とは
東証が上場会社の内部管理体制などについて改善の必要性が高いと認めた際に、「特別注意銘柄」に指定する。有報の虚偽記載や、適時開示に関わる規定違反があったと判断された場合に、指定される可能性がある。今回のケースでは、ニデックの25年3月期有報について監査法人のPwCジャパンが意見不表明としていたことを重く見た。東証は発表資料で、過年度決算訂正の恐れも含め、適正な決算内容を開示できていない状態が継続していると指摘する。
日経平均とTOPIXから除外される
特別注意銘柄に指定された場合、日経平均構成銘柄やTOPIXから除外されます。
日経平均構成銘柄から除外されると、日経平均の投資信託などからも外されるためにファンドなどから売られる可能性が高いです。また、日経平均の投資信託やETFが買われると日経平均構成銘柄だったニデックも買われていたのですが、銘柄から外れると日経平均構成銘柄からの購入もなくなり株価の上昇圧力がなくなります。
そのため、株価は一気に暴落しました。
ニデックの今後の動向に注目
現状、ニデックは不適切会計あり、経営関与が疑われて監査法人から意見不表明が出されただけにとどまっております。
第三者調査委員会の調査で今後ニデックがどのようになるのかわかってくると思いますので、続報があれば追記していきます。
役に立ったらフォローとイイネをお願いします(*´Д`)

