「本業を持っている方こそ、YouTubeが活用できる」
そうは言われても、具体的なメリットやかけた時間に見合ったリターンがあるかわからず、二の足を踏む方も多いでしょう。本当にYouTubeをやる価値があるか知るには、経験者の声を聞くことが一番。
そこで今回は、本業で弁護士をしながらYouTuberとしてチャンネル登録者数1万人を突破している加藤先生に取材!弁護士ならではのメリットや、継続のコツを伺ってきました!
弁護士の方はもちろん、本業がありつつYouTubeも始めてみたい方、全員必見です!
加藤弁護士
チャンネル登録者数1万人を超えるYouTubeチャンネル「弁護士かとう【交渉人】」運営者。
法律に関する知識とともに、交渉術をわかりやすく伝える動画に定評がある。
Twitter:https://twitter.com/999kt999
YouTube:弁護士かとう【交渉人】
弁護士YouTuberは本業に直結!相談者との距離が近づくのがメリット
ー本日は、よろしくお願いいたします!
弁護士さんってかなりお忙しそうですよね?そんななかでチャンネルを伸ばしてらっしゃるのはすごいなと思うんですが、あえて時間をかけてYouTubeを始めるメリットはなんですか?
加藤弁護士:YouTubeの広告収入以上に、本業へのプラスの影響が大きいんですよ!大きく分けると5つのメリットを感じています。
- 新規相談者の増加
- 依頼人との信頼関係の早期構築
- 説明の省力化
- 他業種の方との交流
- 考えを正確に伝えられる
ーかなり色々あるんですね!順番に教えていただきたいです!
1. YouTubeなら新規相談者を呼び込める
ー新規の相談者はYouTubeを始める前に比べてどれくらい増えましたか?
加藤弁護士:売上ベースで言うと、全体の1割くらいはYouTubeから新規開拓したお客さんです。もともと私のことは知らずにYouTubeをみて、そこから依頼につながっています。
今までリーチできなかった方々に見つけてもらえるのは大きなメリットですね。
2. 依頼人との信頼関係をはやく築ける
ーYouTubeから来るお客さんにはどんな傾向がありますか?
加藤弁護士:私の人となりを見ている方なので、信頼関係が築きやすいなと感じています。動画を見た上で、なんとなく「この人苦手だな」と思った人には相談しないですよね。
そういう意味で、タイプが合う人が来てくれると思います。相談に来てみたら、全然気が合わなかったというミスマッチを防げるので、弁護士も依頼者もメリットがありますよね。
ー今お話を伺ってみて、動画どおり物腰やわらかな印象を受けています!いい意味で顧客の絞り込みができるということですね。
加藤弁護士:そうですね。私はコツコツ積み上げて行くタイプなので、もっと勢いある感じでガッと話して欲しい人には、他の弁護士さんの方が合うかもしれないんですよね。相性を見られるのはお互いにとってよいです。
ただ、実際お会いすると「YouTubeほどテンションは高くないんですね」と言われることはありますが。(笑)
3. 説明の省力化で依頼人とWin-win
ーたしかにYouTubeは動画なので多少テンションをあげますよね。
次に「説明の省力化」のメリットも伺いたいです。
加藤弁護士:弁護士の仕事では、毎回似たような説明をします。例えば離婚ならば、養育費とか親権などが問題になるよといった話です。これを「動画を見てわからないところを聞いてください」ってアナウンスできるようになりました。
動画のおかげで説明にかけていた時間を省略できるというわけですね。これは依頼人にもメリットがあって、相談料が削減できるわけです。
基本的な知識をYouTubeで学んで、個別のケースの部分だけ相談できるので。
ーそれは依頼人からするとうれしいですが、加藤先生からみると相談料の分稼げなくなりますよね?もったいないなと思ってしまうのですが……。
加藤弁護士:もちろん、相談料で頂いていた報酬は減りますが、その分実際の事件を受ける時間が作れるので、トータルでプラスです。相談料は目先のものなので、そこに執着はしていません。
また、先程の信頼関係の話にも繋がりますが、先に動画で私を知ってもらえている分、相談から事件の依頼までのハードルが下がるようです。なので、動画を介することで依頼率が上がる傾向もあります。
ーそれならば、かなりお互いにプラスですね!
4. 他業種の方との交流
ーここまで聞くとやはりメリットのほうが多そうですね。他業種の方との交流も先程上げてらっしゃいましたが、これはYouTuber仲間が増えるということでしょうか?
加藤弁護士:そのとおりです。YouTuber同士ってお互いの苦労をわかりあっていて、戦友的な側面があります。
今は時代の流れで減ってしまいましたが、一昨年まではオフ会なども結構あったんですよね。そこで今まで出会ったことのないようなジャンルの方に出会えますし、依頼につながったこともあります。
ーYouTuberが依頼するんですか…?
加藤弁護士:そうですね、著作権や商標権関係の相談は多いです。権利関係をがどこまで許されるか、また権利侵害で動画を消してほしいと言われたときの対応など、YouTuberと法律が絡む場面は多いんですよ。
ー納得しました!YouTuberからしても、YouTubeに詳しい弁護士さんのほうが安心して相談できますよね。そういう顧客開拓もできるのはかなり意外でした!
5. 考えを正確に伝えられる
ー最後に、考えを正確に伝えられるというメリットも詳しく教えて下さい!
加藤弁護士:自分の認知を広げるツールは、YouTubeには限られません。たとえばテレビに露出しても、人となりを知ってもらうことは出来ますよね。
ただし、ほかのメディアだと他人の手で編集が入るんです。自分がしっかり話したかった内容がカットされてしまうこともあるので、考えを100%伝えるのは難しいんですよね。
その点YouTubeは自分で編集したり内容を決めたりするので、伝えたい情報を正確に発信できます。余談ですが、自分が伝えておきたい知識は動画にしておいて、子どもに見せていますよ!
ーそれは良さそうですね!なかなかかしこまってお子さんと話す機会を作るのは難しいと思うので。
加藤弁護士:そうですね、YouTubeを始めて家族の会話も増えました。自分の仕事を知ってもらえますし、登録者数が増えてくると、子どもからも「すごいね!」って言ってもらえるのが喜びの一つでもありますね。
弁護士こそ法律と炎上リスクに気をつけるべし!YouTubeを始めるデメリット
ーここまで聞くと、弁護士がYouTubeをやらない理由がないなと感じました。しかし、デメリットもありますよね?
加藤弁護士:デメリットというのが正しいかはわかりませんが、リスクはあります。
- 守秘義務
- 顔出しの有無
- 法律の遵守
の3つは、弁護士ならば特に注意すべき点ですね。
1. 守秘義務
ー守秘義務は弁護士さんならば、マストで守らないといけないですよね。自分が関わった事件について話さなければいい、というわけではないんでしょうか?
加藤弁護士:もちろん、内容を直接話さないのは基本です。ただ、自分としてはぼかした内容を伝えたつもりでも、依頼人が「私のことを話しているのでは?」と思ったら、こちらも問題になります。
ーそこは聞く側のさじ加減にもなりそうで難しそうです。具体的にどんな対策をしていますか?
加藤弁護士:あらかじめ依頼人に断って、事前に見てもらうこともあります。先に相談した上で、気になる点を潰してしまうのは一つの手ですね。また、複数の事例を合体させて、詳細がわからないようにはしています。
不安な場合は、裁判で公開されている判例から持ってくるのもありです。自分が実際に体験した内容の場合は、シナリオを起こし直したりする工夫が必要です。
2. 顔出しの有無
ーメリットを聞いている限り、顔出しした方が有利に働きそうに思いました。顔を出すデメリットもあるんでうすか?
加藤弁護士:もともとホームページにも顔を上げていない場合、リスクになる可能性はあります。弁護士は人と人との喧嘩を仲裁する職業です。そのため、扱う事件に次第では、顔を出してしまうと弱みになってしまうケースもあります。
ー顔出しは普段取り扱っている事件によって、メリットにもデメリットにもなりうるというわけですね!
3. 法律の遵守
ー法律に関するところは周りの目が厳しそうですね。
加藤弁護士:そのとおりです。法律を守るように伝えている職業の人たちが率先してルールを破ったら、炎上に繋がります。弁護士に限らず、司法書士や行政書士の先生方も気をつけるべきポイントですね。
漫画を無断利用するようなことは避け、法律を遵守することは誰よりも気をつけないといけません。
1本撮るのに30分!弁護士YouTuberの始め方と継続のコツ
ーYouTubeいいなと思うのですが、やはりハードルが高いところが気になります。動画を作るのに時間がかかりそうで、一歩踏み出せません。
加藤弁護士:実は、ネタさえあればそこまで時間をかけずに始められます。私はYouTubeを始めるまでSNSも一切やっていませんでしたが、1本30分〜1時間位で動画を作って投稿していましたよ!
ーそんなに時間をかけずにできるんですか?しかも、もともと情報発信のプロだったというわけではないんですね。
加藤弁護士:YouTubeを始めた段階では、Twitterももともとの知り合いと連絡をとるために解説していただけでした。なので、特別なことをせずに、学会やセミナーで話した内容を動画化することからはじめました。
もともと資料を自分で作っていたので、それを小分けにしてアップロードしたんですよね!
YouTubeで何より大切なのは、視聴者が求めるネタを準備すること。見られるかどうかを決めるキモです。
ネタを考えるのには時間がかかるので短時間でできるとはいい切れませんが、そこを乗り越えたら時間をかけずに撮影することも可能です。
ーすでにあるリソースを使っていいのなら、少しハードルも下がりそうです。
加藤弁護士:そうですね。動画を始めようと思ってから、初投稿まで10日くらいです。決めたタイミングで三脚とモニターを購入して、すぐはじめました。
「もふもふ不動産」のもふさんのスタイルを踏襲して、スライドをモニターに写しつつほぼ編集無しで話す方法です。当時は編集スキルもまったくなかったので、撮影途中で電話がなったら頭から全部取り直していました。(笑)
いまでも撮影には30分くらいしかかけていません。
ーそうなんですね!とはいえ、やはり本業が忙しいと思うので、継続するコツも教えて下さい。
加藤弁護士:継続のコツは2つです。
- 楽しむこと
- 習慣化すること
コメントが来て感想がもらえるのは楽しいですよ。また、再生回数や登録者数が増えていくのはゲーム感覚にすると続けやすいかと思います。
私は勝手に、月末に弁護士YouTuberランキングを作っているんです。そこで順位を見ながら伸びているチャンネルを分析すると楽しいですね。
また、継続的に動画を上げないと再生数は下がってしまうので、最低でも1ヶ月に1本は動画を上げられるように継続することも大切です。
ー継続するコツはありますか?
加藤弁護士:私の場合は、1週間をサイクル化するようにしています。台本やスライドは土曜日に作成して、完成したものを平日に撮るスタイルですね。
もしくは、弁護士事務所全体でやるならば、台本を作る人と実際に話す人をわけてもうまく回せると思います。
加藤弁護士流!YouTubeを伸ばす3つのコツ
ー加藤先生はすでにチャンネル登録者数1万人を超えてらっしゃいますが、動画が伸びた秘訣を教えていただきたいです!
加藤先生:お世辞ではなく、もふもふ不動産のもふさんのおかげです。何個か教えていただいた内容をここで共有させていただくと
- わかりやすいチャンネル名
- 視聴者が聞きたい内容を話す
- トレンド系の動画と普遍的な内容をバランスよく投稿する
がポイントですね!
やはり弁護士の場合は、弁護士であることをしっかりチャンネル名に入れるのがおすすめです。専門家の話を聞けるというところで差別化できます。
また、視聴者が聞きたい内容を話すように意識しましょう。特に一般の方を視聴者にする場合、あまり専門的な内容を厳密に話しても見てもらえません。視聴者が知りたいことに寄せて、わかりやすく伝えることが大切です。
動画のネタ自体も大切で、トレンドと普遍的な内容をバランスよく投稿すると伸びやすいですよ。
ー具体的にはどんな内容をでしょうか?
加藤先生:たとえば、離婚の制度というのは10年20年と変わるものではありません。このような動画は一回撮影すればずっと見てもらえるんですよね。息の長い動画です。このような動画ならばゆっくり視聴者を集めてくることができます。
一方で、時事ネタを扱うことで瞬間的に視聴者を集め、認知を上げることが可能です。インフルエンサーの発信に乗っかったネタやニュースではやっている情報を発信すると、関連動画に載せることができるんですよね。
こうやって、2軸でネタを考えていくことで、認知を集めつつ長期間見てくださるチャンネルを作っていけますよ!
弁護士こそYouTubeをやるべき!新規顧客の開拓につながる
ー最後に、YouTubeをやろうか悩んでいる方に向けて、メッセージをお願いします!
加藤先生:感染症の流行で、新規開拓が難しい時期だと思います。そのなかで、YouTubeは新しい層にアプローチしていく最適なツールになりえます。
私が始めた2年ほど前はYouTubeがまだまだ一般的ではなかったのですが、いまは風向きも変わってきました。YouTubeがテレビに代わるメディアになってきているので、始めるメリットは大きいと思います。
私も50歳近くになって始めたので、どなたでも新しい世界に飛び込むことはできます。気になる方はぜひ、YouTubeに挑戦してみてください。
ーありがとうございました!
もふもふ不動産は加藤先生も受けているコンサルを提供
「もふもふ不動産」では、今回取材を受けてくださった加藤先生にもコンサルを提供しています。
もふ社長は全くの無名の状態からYouTube登録者数20万人以上達成していて、法人のコンサルティングも手掛けているので、体験に基づいたノウハウをお伝えできます。現役でノウハウを蓄積するYouTuberから直接アドバイスをうけられるのはメリットです。
気になる方はぜひお問い合わせください!
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