EXPERTISE 01 — SEMICONDUCTOR
ソニー、キオクシア(旧東芝)にて16年間、先端半導体の研究開発に従事。
世界で最も競争の激しい技術分野の最前線で、2つの「世界初」の量産立ち上げに研究開発者として参画しました。
ACHIEVEMENTS
半導体は、世界中の企業が莫大な投資で競い合う最先端分野。その中で「世界初」の製品を量産まで持っていくことは、研究開発者にとって最高の実績のひとつです。
液晶ドライバーや電源などの周辺回路をガラス基板上に一体形成する“システムオングラス”技術を用いた、 デジタルカメラ向けシステムディスプレイ「ACX343」の開発に、測定設計の責任者として参画。 2006年に商品化されたこのディスプレイは、世界のデジタルカメラの約20%に搭載され、 Cyber-shotやBlackBerryなどの製品を支えました。
ソニー プレスリリース(2006年3月) →
メモリ素子を垂直方向に48層積み上げる、世界初の256ギガビット(TLC)3次元フラッシュメモリ 「BiCS FLASH™」(2015年発表)の研究開発に、第0世代の立ち上げから携わりました。 トランジスタデバイス設計・メモリセル設計を担当し、NOR Flash・ReRAMなど先端メモリの開発にも従事。 この技術は現在、世界中のスマートフォン・SSD・データセンターを支えています。
キオクシア プレスリリース(2015年8月) →
DEVELOPMENT STORY 01 — UNIVERSITY
大学に入る前から、量子力学を学びたくてしょうがありませんでした。 入学したらすぐ勉強できると思っていたら、授業は2年生から。待ちきれずに入学当初から独学で量子力学を勉強し、 2年生のときには3年生の授業を受け、3年生のゼミにも混じっている、ちょっと変わった学生でした。 「量子コンピューターを作りたい」と、ずっと思っていました。
4年生で取り組んだのが、ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)の研究です。 約100年前にアインシュタインとボースが予言した現象で、ガスを絶対零度近くまで冷やすと、 量子力学的な不確定性によって原子の位置の広がりが重なり合い、ガス全体が一つの巨大な波のように振る舞う—— 当時は「こんなこと絶対にできるわけがない」と思われていましたが、20世紀末についに世界で初めて実現され、 ノーベル物理学賞につながりました。
所属した学習院大学物理学科の平野研究室は、このボース・アインシュタイン凝縮を日本で3番目に実現。 世界の誰も知らない量子状態を使った未知の現象を研究できるのが面白くてたまらず、研究に没頭しました。 4年生でレーザー冷却研究会(国際学会)のポスターセッションに立ち、 さらに物理学会でも発表——学部4年生での学会発表は、当時は少し珍しいことでした。
そのまま研究者の道に進みたかったのですが、家庭の事情で就職することに。 3月28日に東北大学で開かれた物理学会で発表したあと、すぐに帰って引っ越しの準備をして、4月1日には入社式。 卒業旅行のような学生らしいことは何もできませんでした。 それでも、誰も知らない未知の現象に対して、何が起きているのかを考え、確かめる手法を設計し、実際に行動する—— この物理学の楽しさの原点を教えてくれた平野研究室と、教授との距離が近い少数精鋭の学習院大学には、心から感謝しています。 いつかまた、どこかで物理の研究をしたいと思っています。

DEVELOPMENT STORY 02 — SONY
液晶パネルを動かすには、従来は外付けのドライバーICが必要でした。 そのドライバーICの機能を液晶のガラス基板の中に組み込み、セット側のDSP(デジタルシグナルプロセッサー)と直接つなぐ—— ソニーが世界で初めて挑んだ“システムオングラス”技術です。
しかし、世界初の製品には、世界初の課題がついてきます。 従来は液晶パネルだけをテストすればよかったのが、シリアルインターフェースの駆動回路までガラスの中に入ったことで、動作はまったくの別物に。 ガラスに組み込まれた回路を、どうやってテストするのか。前例はどこにもありませんでした。
テスト責任者として、ゼロからの試行錯誤でした。 新規テスト装置の開発、テストプログラムの作成、テスト仕様の設計、不良品が確実にスクリーニングされることの確認、 新プロセスゆえの信頼性テストの計画——すべてを立案し、実行しました。 大学を卒業して2年、24歳には明らかに重すぎる仕事で、ありとあらゆるところから怒られまくりました。 それでも、先輩方から学んだ“ソニースピリッツ”を支えに、なんとか量産まで立ち上げることができました。
結果、ACX343は世界中のデジタルカメラに搭載され、シェア約20%のヒット商品になりました。 24歳で工場長や事業部長に説明したあの日々が、いまの自分の 「できないことを成し遂げる」という信念の原点です。ソニーには本当に感謝しています。

DEVELOPMENT STORY 03 — TOSHIBA
フラッシュメモリは、毎年価格が数十%下がる、世界で最も競争の激しい市場です。 微細化が止まった瞬間に、事業そのものが終わる——その危機に常にさらされていました。 2次元のNANDフラッシュがいずれ限界を迎えることは見えていて、 「ポストNANDで、どう容量を増やすのか」は、研究開発者に重くのしかかる課題でした。
私は当初、次世代メモリReRAM(抵抗変化型メモリ)の開発を担当していましたが、 ポストNANDとして3次元フラッシュメモリ「BiCS」が選ばれたタイミングの2010年、その研究開発に参画しました。 担当したのは第0世代と呼ばれる、わずか4層の試作から。 シリコンウェハの購入から前工程の処理、できあがったものの評価・解析、改善までの全体を統括する部署です。
2次元から3次元へ——それは、まったく別の世界でした。 どう作ればいいのか。不具合をどう解決するのか。立ちはだかる数々の難問を、 本当に死に物狂いで、魂を削りながら、開発メンバーと力を合わせて一つずつ乗り越えました。 そして、世界初の48層BiCS FLASH™の量産にこぎつけ、iPhone 7にも搭載されました。
当時は常に何かに追われ、全速力で走りながら、終わりの見えない戦いをしているような日々でした。 でも今となっては、自分を変えてくれた素晴らしい経験です。東芝には心から感謝しています。

PATENT
BiCS FLASH™の研究開発では、発明者として特許出願も行っています。
公開特許公報(抜粋)
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NVIDIA・キオクシアなど半導体関連企業の決算・技術動向を、技術の実態まで踏み込んで分析。20年以上の投資経験と掛け合わせています。
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