エヌビディア決算(2026年8月)——売上2倍でも株価が上がらない理由とVera Rubin(ベラ・ルービン)とは何かを元半導体研究開発者が解説

この記事の解説動画のサムネイル ▶ この記事の内容をYouTube動画で見る

もふもふ不動産のもふです。僕は元キオクシア(旧東芝メモリ)の半導体研究開発者で、ソニー・キオクシアで16年、先端半導体の研究開発に携わってきました(詳しくは研究開発者としての経歴ページへ)。いまは自分の会社を10年経営しながら、株式投資家(投資歴20年)として半導体・AI関連に投資しています。

2026年8月26日、NVIDIA(エヌビディア)が2027年度第2四半期(2026年5〜7月期)の決算を発表しました。3ヶ月の売上が962億ドル(約15兆円)で前年の2倍以上、しかも「需要が強すぎてNVIDIAですら供給しきれない」という内容です。一方で「AIはバブルだ」という声も相変わらず多い。この記事では、そもそもNVIDIAはなぜGPUを作っているだけでこんなに儲かるのか、決算の中身はどうだったのか、AIバブルは崩壊するのかを、元半導体研究開発者・投資家の目線で解説します。

よくある質問
エヌビディア(NVIDIA)の2026年8月発表の決算はどうでしたか?

売上高962億ドル(前年同期比+106%・前四半期比+18%)、データセンター売上890億ドル、GAAP・Non-GAAPともに粗利率75.0%、GAAP1株利益2.46ドル、フリーキャッシュフロー213億ドルで、いずれも過去最高でした。第3四半期の会社見通しは売上1,080億ドル±2%・粗利率74%です。

エヌビディアの株価はなぜ上がらないのですか?

2026年1月ごろ200ドル前後だった株価は8月時点で220ドル台と、年初から1割程度の上昇にとどまる一方、売上・利益は前年同期比で2倍以上に増えました。その結果、GAAP1株利益の年率換算で見たPERは20倍前後まで低下しています。市場がAI関連株の評価に慎重になっていることや、供給制約で来期成長率が約70%にとどまる見通しが示されたことなどが背景と考えられます(個人的見解)。

Vera Rubin(ベラ・ルービン)とは何ですか?

NVIDIAが2026年に出荷を始めた最新世代のAIサーバープラットフォームです。Vera CPU・Rubin GPU・NVLink 6 Switch・ConnectX-9・BlueField-4 DPU・Spectrum-6の6つの新チップで構成され、NVIDIAの公表値では前世代のGrace Blackwell Ultra比でメガワットあたりの処理量30倍・トークンコスト35分の1とされています。Rubin GPUにはHBM4を8個(合計288GB)搭載します。2026年8月にMicrosoftが最初の量産システムを受け取りました。

NVIDIAが「供給制約」と言っているのはどういう意味ですか?

決算説明会でNVIDIAは、顧客の予測では来年の需要は倍増するが、供給制約のため2028会計年度の売上成長率は約70%にとどまり、少なくとも2028会計年度末までは供給不足がボトルネックになると説明しました。メモリ・電力・データセンター建設など、あちこちで供給が需要に追いつかない状態です。

AIバブルは崩壊するのですか?

筆者の個人的見解では、メモリ各社(キオクシア・サムスン・SK hynix・マイクロン・サンディスク)とNVIDIAの決算を見る限り、需要は加速しており、作りすぎて価格が暴落するシリコンサイクルの兆候は今のところ見えません。ただし供給ボトルネックによる売上下振れや、業績が良くても株価が上がらない相場のリスクはあります。投資は自己責任でお願いします。

エヌビディアの株価はなぜ上がらないのか——決算は爆裂、株価は年初から1割

まず意外に思われるかもしれませんが、これだけの決算にもかかわらずNVIDIAの株価はあまり上がっていません。2026年1月ごろに200ドル前後だった株価は、8月時点で220ドル台。年初から1割程度しか上がっていないんですよね。ところが売上や営業利益は前年同期比で2倍以上になっている。つまり、業績の伸びに株価がまったく追いついていない状態です。

1株利益(EPS)はこの四半期でGAAPベース2.46ドル(Non-GAAPは2.22ドル。GAAPのほうが高いのは、Non-GAAPでは除外される投資先の評価損益などが含まれているためと考えられます)。GAAPベースを単純に4倍して年間10ドル前後とすると、株価200ドル台前半ならPER(株価収益率)は20倍前後。AI銘柄としてはかなり割安になってきた印象で、なんだかバリュー株みたいになりつつあります。決算がいくら良くても「一生一緒にNVIDIA」とはならないくらい株価が冷めているわけで、これが続くようなら狙い目になる可能性もある、というのが僕の見方です(ただしAI半導体・メモリ株の中にはPER5倍台まで下がっているものもあるので、割安さだけで判断はできません)。

NVIDIA(エヌビディア)はGPUを売っているのではない——AIサーバー丸ごと+ソフトを売る「AIインフラの王者」

NVIDIA Vera Rubinのラック型AIサーバーが並ぶ発表会場の写真。AIサーバー全体を販売し、計算のソフトもセットで提供。爆速でAIを動かすにはNVIDIAが必須という注記
NVIDIAが売っているのはGPU単体ではなく、AIサーバー丸ごと+ソフトウェア。「AIインフラの王者」(出典: NVIDIA発表資料・動画スライドより引用)

「NVIDIAってGPU(画像処理用の半導体)を作っているだけでしょ?なんでそんなにすごいの?」とよく聞かれます。答えは、NVIDIAはもうGPU単体を売っている会社ではないからです。

いまNVIDIAが売っているのは、GPUにCPU、GPU同士をつなぐネットワーク、ラック(サーバーの棚)、冷却、そしてAIを計算するためのソフトウェアまで全部込みの「AIサーバー丸ごと」です。AIを爆速で動かしたければ、NVIDIAのサーバーとソフトをセットで買うしかない。この「AIインフラそのもの」を握っているから、NVIDIAはAIインフラの王者と呼ばれるわけです。

その最新世代が、2026年に出荷が始まったVera Rubin(ベラ・ルービン)です。ちなみに名前の由来は、ダークマターの存在を観測で示した天文学者ヴェラ・ルービンさん。妖怪人間ベラとは関係ありません。2年前の2024年に出た前世代がBlackwell(ブラックウェル)、その前の2022年がHopper(ホッパー)です。

Vera Rubin(ベラ・ルービン)とは何か——性能30倍、徒歩から原付、原付から飛行機へ

決算説明会でNVIDIAは、Vera Rubinについて次のように説明しています。「GPU・CPU・NVLink(スケールアップ・ネットワーク)・スケールアウト・ネットワーク・システム・アルゴリズム・ソフトウェアといったあらゆる要素を徹底的に連携設計(Extreme Co-Design)する能力により、世代ごとに飛躍的な性能向上を実現している。Vera RubinはGrace Blackwell Ultraと比べて、メガワットあたりのスループット(処理量)が30倍、トークンコストは35分の1」(要旨)。

これ、桁違いなんですよね。パソコンのCPUが世代交代で10%速くなった、20%速くなった、というレベルの話ではなく、たった2年で30倍です(なお、この数値はNVIDIAがエージェント型AIの実ワークロードで測定した値で、クラウド事業者CoreWeaveの独立ベンチマークでは前世代比10倍という報告もあります。条件で変わる数字ですが、桁違いであることは共通です)。

コスト比較のイメージ図。2022年Hopperは徒歩、2024年Blackwellは原付バイク、2026年Vera Rubinは飛行機のイラストで表現
Hopper(2022年)が徒歩なら、Blackwell(2024年)は原付、Vera Rubin(2026年)は飛行機。世代ごとに乗り物が変わるレベルの差(動画スライドより)

イメージで言うとこうです。2022年のHopperの時代は「徒歩」。この時期にChatGPTが生まれて、「人間みたいに会話できるの?」と世界が衝撃を受けました。2024年のBlackwellで「原付バイク」になり、画像や動画の生成など、できることが一気に広がった。歩いている人が原付に追いつくのは無理なので、みんなBlackwellを買いました(中国への輸出規制で話題になった「H20」などは、このHopper世代の古いAIサーバーです)。

そして今回のVera Rubinは、原付から見て30倍。原付が時速30kmなら、時速1,000kmの「飛行機」です。飛行機が売り出されたら、原付と競争していた人は飛行機を買うしかない。買わなければ他社に30倍引き離される。だからVera Rubinに需要が殺到しているわけです。

なぜここまで速くするのか。速くすればするほど、AIが人の能力を超え始めていて、それに見合うリターンがあるからです。超音速旅客機のコンコルドは「そこまで速く行きたい人がいなかった」から廃れましたが、AIは速ければ速いほどお金を出す人がいる。だから人類が経験したことのないスピードで進化しているんですね。

6個のチップを一気に刷新——Rubin GPUとHBM4・288GB

NVIDIA Rubin Platformの6つの新チップ。Vera CPU、Rubin GPU、NVLink 6 Switch、ConnectX-9、BlueField-4 DPU、Spectrum-6 Ethernet Switch
Vera Rubinプラットフォームを構成する6つの新チップ。CPU・GPU・スイッチ・ネットワーク・DPUをすべて一新(出典: NVIDIA・動画スライドより引用)

Vera Rubinのすごさは、6個のチップをすべて新規に開発して一気に投入したことです。

  • Vera CPURubin GPU——計算の中核。どちらも新設計
  • NVLink 6 Switch——GPU同士を超高速でつなぐスイッチ
  • ConnectX-9——サーバー同士をつなぐネットワーク接続
  • BlueField-4 DPU——メモリやストレージの管理を専用に担う
  • Spectrum-6——イーサネットのネットワークスイッチ。ここに、みんな大好き「光電融合(CPO)」が入ります

これを全部やり切ったから30倍になる。1つ1つの部品を良くするのではなく、全体をまとめて設計し直すのが強さの源泉です。

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOがRubin GPUとVera CPUを両手に持って掲げている写真
ジェンスン・フアンCEOが手に持つRubin GPU(左)とVera CPU(右)。手のひらサイズにAI計算の中核が収まる(出典: NVIDIA・動画スライドより引用)
Rubin GPUのパッケージ写真。中央のGPUの周囲にHBM4が8個(1個36GB)搭載され合計288GB。チップの上にチップを実装しレゴのように組み合わせるという注記
Rubin GPUのパッケージ。中央のGPUの周りにHBM4を8個(1個36GB×8=288GB)搭載。チップの上にチップを載せてレゴのように組み合わせる(出典: NVIDIA・動画スライドより引用)

Rubin GPUを見ると、中央の巨大なGPUチップの周りにHBM4(高帯域幅メモリ)が8個並んでいます。1個36GBなので合計288GB。チップの上にチップを載せてレゴのように組み合わせる、3次元実装の塊です。

ただ、これ以上HBMを載せるのは物理的に難しい。そこで、あふれたデータを受け止めるためにHBMの一部をHBF(高帯域フラッシュ)に置き換える構想や、GPUにSSDを直結する構想が動いています。このあたりはHBFの解説記事NVIDIA CMXとキオクシアのSSDの解説記事で詳しく書いています。

なお、Vera Rubinは順調に量産に入っていて、2026年8月21日にはMicrosoftが最初の量産システムを受け取ったとMicrosoftのナデラCEOが発表しています。「出荷が遅れている」という噂もありましたが、決算説明会では第3四半期のデータセンター売上の約20%をVera Rubinが占める見込みだと説明されており、問題なく立ち上がっているようです。

AIは「生成」から「エージェント」へ——メモリが足りない

いまAIの使われ方が根本的に変わりつつあります。従来の生成AIは、人が指示を出してAIが答える、また人が指示する、という「人と会話するペース」でよかった。だから並列計算が得意なGPU中心で十分でした。

ところが今はエージェント型AIの時代です。「これをやっておいて」と頼むと、AIが自分で考え、行動し、実行し、また考え、というループを凄まじい回数ぐるぐる回す。そうなると、途中経過の膨大なデータを覚えておくメモリが必要になるし、タスクをさばくCPUの重要性も上がる。GPUだけでなく、CPU・メモリ・ネットワークの総合力が問われるようになったわけです。Vera Rubinで6個のチップを全部刷新したのは、まさにこの推論・エージェント時代に対応するためです。

AIのアーキテクチャー図。CPUとDRAM、GPUとHBM、長期記憶のSSDで構成され、GPUの隣にHBFが加わる。1)CMX(2026)、2)IOPS SSD(2027)、3)光SSDがGPUやHBMと矢印でつながる
AIサーバーの構成イメージ。GPU+HBMの隣にHBFが入り、SSD側もCMX(2026年)→IOPS SSD(2027年)→光SSDと進化していく(動画スライドより)

AIサーバーの基本構成は、CPUとDRAM、GPUとHBM、そして長期記憶のSSDです。ここにいま、①推論の作業記憶(KVキャッシュ)をSSDに逃がすCMX(Context Memory Storage)、②GPUとSSDを直接つなぐ超高IOPS SSD、③さらに先の光SSD、④HBMと並べて載せるHBFといった新しい部品が次々に入ろうとしています。これ全部フラッシュメモリなんですよね。だからHBMを作るSK hynixやマイクロンだけでなく、NANDフラッシュを作るキオクシアやサンディスクにも注目が集まっているわけです。次世代のFeynman(ファインマン)ではこうした構成がさらに組み込まれていくだろうと僕は見ていて、すごく楽しみにしています。

ちなみに、AIが30倍賢くなったらどうなるのか、正直まだ誰にもわかりません。モデルは大きくなるほど今までできなかったことが勝手にできるようになる現象があって、先日もAIが評価環境を勝手に抜け出した事件がありました。そこは怖いところでもありますが、それを置いておいても、技術としてすごいことになっているのは間違いありません。

エヌビディア2026年8月決算の中身——売上962億ドル・粗利率75%・フリーCF213億ドル

NVIDIAの四半期売上高の棒グラフ。2026年度第2四半期の467億ドルから2027年度第2四半期の962億ドルへ倍増。記録的な四半期で前年比106%増という注記
四半期売上は467億ドル→962億ドル(前年同期比+106%)。3ヶ月で約15兆円(出典: NVIDIA 2027年度第2四半期決算資料・動画スライドより引用)

ここからは決算資料を見ていきます。まず売上。2027年度第2四半期(2026年5〜7月期)の売上高は962億ドル、前年同期比+106%。円換算で3ヶ月に約15兆円です。日本の国家予算(一般会計)が年間120兆円ほどなので、その規模感がわかると思います。

データセンター売上の内訳グラフ。ハイパースケーラー向けが約487億ドル、AIクラウド・産業・企業(ACIE)向けが約403億ドルへ、いずれも前年同期から倍増。Blackwellアーキテクチャへの強い需要が続くという注記
データセンター売上の内訳。ハイパースケーラー向け487億ドルに対し、AIクラウド・産業・企業(ACIE)向けも403億ドル(出典: NVIDIA 2027年度第2四半期決算資料・動画スライドより引用)

注目すべきはデータセンター売上(890億ドル)の内訳です。GoogleやMicrosoftなどのハイパースケーラー向けが487億ドル、それ以外のAIクラウド・産業・企業(NVIDIAは「ACIE」と略しています)向けが403億ドル(前年同期比+138%)。NVIDIAは前回の決算あたりから、この内訳をわざわざ開示するようになりました。「ハイパースケーラーだけに依存しているわけではない。仮に彼らの投資が減速しても、それ以外の需要が伸びている」というメッセージですね。

売上総利益率のグラフ。GAAP・Non-GAAPともに前年同期の72%台から75.0%へ上昇。Blackwell Ultraの構成比改善が要因という注記
粗利率は72%台→75.0%。製造業で75%は驚異的な水準(出典: NVIDIA 2027年度第2四半期決算資料・動画スライドより引用)

粗利率(売上総利益率)は75.0%。前年の72%台からさらに上がっています。半導体を作って売る会社で粗利率75%というのは、僕がメーカーにいた感覚からするととんでもない数字です。販管費などの営業費用は増えてはいますが、売上の伸びに比べれば控えめです。

1株当たり利益(EPS)のグラフ。GAAPで1.08ドルから2.46ドル、Non-GAAPで1.01ドルから2.22ドルへ倍増
1株利益(EPS)はGAAPで1.08ドル→2.46ドル、Non-GAAPで1.01ドル→2.22ドル(出典: NVIDIA 2027年度第2四半期決算資料・動画スライドより引用)
フリーキャッシュフローと株主還元のグラフ。フリーCFは133億ドルから213億ドルへ、株主還元は約260億ドルへ拡大
フリーキャッシュフローは213億ドル(約3兆円)。株主還元(自社株買い+配当)は約260億ドル(出典: NVIDIA 2027年度第2四半期決算資料・動画スライドより引用)

1株利益はGAAPで2.46ドル、Non-GAAPで2.22ドル。フリーキャッシュフローは213億ドル、つまり3ヶ月で3兆円超の現金を生み出していて、自社株買いと配当で約260億ドルを株主に還元しています。設備投資でフリーCFがマイナスになっているハイパースケーラーとは対照的に、NVIDIAは「AI投資のお金が最終的に流れ着く場所」として現金を積み上げている構図です(ハイパースケーラー側の事情はフリーキャッシュフローの解説記事で書いています)。

四半期ごとに見る「1年で2倍」の成長と、来期(2026年11月発表)の見通し

四半期ごとの売上を並べると、成長ペースの異常さがわかります。

四半期(決算期)売上高(億ドル)前年同期比
2026年度2Q(2025年5〜7月)467+56%
2026年度3Q(2025年8〜10月)570+62%
2026年度4Q(2025年11月〜2026年1月)681+73%
2027年度1Q(2026年2〜4月)816+85%
2027年度2Q(2026年5〜7月)962+106%

467→570→681→816→962億ドル。1年で2倍になるペースがずっと続いていて、しかも成長率が加速している。これだけの規模の会社が2倍成長を続けるのは、僕の知る限り前例がありません。

2027年度第3四半期の見通し(Non-GAAP)。売上高1,080億ドル±2%、粗利率74.0%±50bp、営業費用約90億ドル。通期の税率は16〜18%の見込み
第3四半期の会社見通し: 売上1,080億ドル±2%・粗利率74.0%(出典: NVIDIA 2027年度第2四半期決算資料・動画スライドより引用)

来期(2027年度第3四半期)の会社見通しは売上1,080億ドル±2%、粗利率74.0%。962億ドルから1,080億ドルなので、前四半期比では+12%程度。「あれ、そんなに伸びないの?」と思うかもしれませんが、NVIDIAはいつも控えめな見通しを出して実績で超えてくるのが通例なので、今回も保守的なんだろうなと僕は見ています。なお、この見通しには中国向けデータセンター売上は含まれていません。

決算説明会の注目発言——AWSに200万個・供給制約・1GWあたり400億ドル

決算説明会のコメントとQ&Aから、面白かったところを抜粋します。

①Amazon(AWS)とのパートナーシップ拡大。AWSはすでに膨大なNVIDIAの計算資源を導入していますが、今四半期から2029年度第2四半期にかけてさらに200万個のGPUを導入すると発表されました。Rubin GPUと組み合わせたものも単体のものも含め、Vera CPUも導入対象です。加えて、AWSのAmazon BedrockやSageMaker上でNVIDIAのオープンモデル「Nemotron」ファミリーを提供し、Amazonは倉庫ロボット群の動力源としてNVIDIAの物理AIスタック(Omniverse・Cosmos・Isaac・Jetson)を丸ごと採用するとのこと。Amazonは自社チップも作っている会社ですが、そこにNVIDIAがオープンな形で深く食い込んでいくのは面白い動きです。

②供給制約——需要は倍増、でも供給できるのは70%。ここが今回一番の注目ポイントです。NVIDIAは「驚くべきことに、当社の規模においても需要の加速が見られる。顧客の予測では来年の成長率は倍増するが、供給制約があるため、成長率は約70%にとどまる」と説明しました。そして2028年度(2028年1月期)の売上高は前年比約70%増になる見通し、少なくとも2028年度末までは供給不足がボトルネックになるとも。つまり、本当は2倍売れるのに、部品や電力などの供給が追いつかないので7割増に「とどまる」と言っているわけです。「NVIDIAですら供給しきれない需要が来ている」というのが、この決算の本質だと思います。同時に、部品コストの上昇で粗利率は第4四半期に71〜72%程度まで下がる見込みとも宣言しています(75%と71%って、欲張りすぎな気もしますけどね)。

③1GWあたりの売上が180億ドル→250億ドル→400億ドルへ。データセンターの規模は消費電力のギガワット(GW)で数えるのですが、NVIDIAが1GWのデータセンターから得られる売上は、Hopper世代で約180億ドル、Blackwellで250億ドル、Vera Rubinでは400億ドルに拡大したと説明しています。Hopper時代はGPU中心の販売だったのが、Blackwellで統合が進み、Vera RubinではCPU・GPU・NVLink・InfiniBand・イーサネット、さらに提携したGroqのLPUまで含めてシステム丸ごとNVIDIAが担うので、同じ電力のデータセンターからNVIDIAに落ちるお金が2倍以上になった。普通、技術が進歩すれば1単位あたりのコストは下がるものなのに、逆に増えている。それでもトークンコストが35分の1になるなら顧客は買う、という付加価値の付け方がすさまじいです。

AIバブルは崩壊するのか——決算から見た個人的見解

個人的な予想(予想は外れます)の図。めちゃくちゃ強い需要がある、NVIDIAも供給不足に陥る、需要を満たせる環境構築できる?、今のところシリコンサイクルは見えない、が株価が上がるかどうかは謎
個人的な予想。需要は本物で供給不足が続くが、株価が上がるかどうかは別問題(動画スライドより)

ここからは個人的な予想です(予想は外れますし、投資は自己責任でお願いします)。

  • 需要はめちゃくちゃ強い。今シーズンのメモリ各社(キオクシア・サムスン・SK hynix・マイクロン・サンディスク)の決算を全部見ましたが、全社が「非常に強い需要」を語り、長期契約や戦略的契約を結んでいます。そこにNVIDIAの「供給しきれない」が加わった。サンディスクのInvestor Dayマイクロンの決算の記事でも書いたとおり、この構図は変わっていません
  • NVIDIAですら供給不足に陥る。長期契約や高値でメモリを確保しているはずのNVIDIAが供給しきれない。メモリ、電力、データセンターの建設と、あちこちでボトルネックが出ています。ここがもっと詰まれば、売上が計画を下回るリスクは当然あります
  • 今のところシリコンサイクルは見えない。半導体業界には「作りすぎて余って価格が暴落する」シリコンサイクルの宿命があります。将来それが来る可能性は否定できませんが、各社の決算を見る限り、いまは「余っている」どころか「足りない、もっとくれ」の状態で、需要はむしろ加速しています
  • ただし、株価が上がるかどうかは別問題。業績が2倍になっても株価は年初から1割しか上がっていないのが今年です。市場がAI銘柄を評価しなくなっている局面では、良い決算=株価上昇とは限りません

僕自身はメモリ株を引き続き保有していて、長期的に見れば問題ないだろうと思って投資しています。NVIDIAについても、AIインフラを丸ごと握っている構図は長く続きそうで、株価が上がっていない今はむしろ狙い目ではないかと個人的には思っています。ただ、特に初心者の方は余剰資金でお願いします。

まとめ

NVIDIAの周辺で恩恵を受けるメモリ・データセンター関連については、SK hynixのHBM解説キオクシアの決算解説「次のNVIDIA」を探すAI投資の考え方もあわせてどうぞ。半導体の一次情報に基づく解説は研究開発者としての経歴ページからもたどれます。

Read Next

あわせて読みたい

Free Gift

続報はLINEで。
登録特典に投資体験談3冊

決算・半導体・投資の続報を配信中。いま友だち追加すると投資で成功した体験談3冊を無料でプレゼントしています。

LINE特典を受け取る(無料)

Membership

YouTubeでは話せないことを、
ここだけで。

一歩踏み込んだ深掘り解説はメンバー限定動画で(月990円〜)。

メンバーシップを見る 無料の投資講座から始める →

Media & Business

取材・お仕事のご依頼

半導体・メモリ・投資の専門解説が必要なときはお気軽にご相談ください。メディア取材・コメント提供は基本無償でお受けしています。

取材・メディア出演 YouTubeタイアップ 法人向けコンサルティング
YouTube登録者
25万人
半導体の研究開発
16
世界初の量産参画
2
企業分析の一覧へ 投資・テクノロジー解説TOPへ