もふもふ不動産のもふです。投資家です。
ソフトバンクグループやNVIDIAのStar Gate計画や、そのほかのAI企業などが100兆円規模のAIへの投資を進めています。
NVIDIAが世界一の時価総額の企業になりましたが、今後はさらにNVIDIAから波及してほかの企業の売り上げが上がると予想しています。
その1社がVertivです。この記事では、なぜVertivを注目しているのか、投資家の観点で解説していきます。
投資を推奨するものではありません。
最新GPUはドライヤーくらい発熱する。
生成AIの爆発的な普及により、データセンターはかつてない「熱の壁」に直面している。
NVIDIAの次世代GPUアーキテクチャ「Blackwell」の登場は、計算能力の飛躍的な向上をもたらす一方で、従来の空冷システムでは対処不可能なほどの莫大な熱量を発生させる。
このチップ一つで1400Wにも達する。ドライヤーを最大パワーで動かしたときの発熱量が1500Wほどだ。小さいチップ一つでドライヤーと同じ発熱という信じがたい状況になっている。
このチップを72個搭載するサーバーラックは120kWにもなり発火するレベルで高熱になる。これを冷やすことがとても重要となってくる。
この熱を制する者がAIインフラ市場を制すると言われる中、米Vertiv(バーティブ)が圧倒的な存在感を示している。本稿では、Vertivの液冷技術の詳細、NVIDIAとの不可分なパートナーシップ、そして設計段階からデータセンターに入り込むことで築き上げた「高い参入障壁」と「利益率向上」のメカニズムを徹底解説する。
Vertivに投資してみた
Vertivに投資してみました。理由としては、以下
NVIDIAのGPUがドライヤーくらい発熱する
GPUを72個組み合わせたサーバーラックでドライヤ100台分の発熱
従来の空冷では冷やせない。水冷が必須
水冷はインフラ設計段階やサーバー設計から専門的な知識が必須
NVIDIAと戦略的パートナーを組んでいるVertivが独占的に使われると予想
サーバーラックは1台数億円するので、水漏れリスクや故障など信頼性が重要。コストで新規企業を選ばず独占しそう
AIデータセンターに100兆円投資されたとき、Vertivは多大な恩恵を受ける可能性があり成長余地がまだあると考えた
投資を推奨するものではなく、個人的な考えなので投資は自己責任でお願いします。
1. 技術的深層:「空冷の限界」を突破するVertivの液冷エコシステム

1.1 「熱の壁」:ラックあたり100kW超の衝撃
従来、データセンターのラックあたりの電力密度は20kW程度であれば高密度とされていた。
しかし、生成AI向けの高性能コンピューティング(HPC)では、ラックあたりの電力密度は急速に上昇しており、今後は50kWを超え、100kW以上に達すると予測されている。
空気による冷却は、物理的な限界に達しつつある。
空気の熱伝導率は液体の約3000分の1に過ぎず、高密度化するサーバーを空気だけで冷却しようとすれば、巨大なファンを高速回転させる必要があり、電力消費の増大と騒音、そして冷却能力不足によるGPUの性能低下(サーマルスロットリング)を招く。
イメージするなら、部屋の中で1000台のドライヤーが熱い風を吹き出しまくっている中、扇風機でファンで冷たい空気送って冷やそうとしても、全く冷えない。それなら水をかけて冷やしてしまおうというが水冷の仕組みである。
1.2 ダイレクト・トゥ・チップ(DTC)液冷のメカニズム
この課題に対するVertivの回答が、「ダイレクト・トゥ・チップ(DTC: Direct-to-Chip)」液冷技術である。これは、CPUやGPUなどの発熱源に「コールドプレート」と呼ばれる金属製の冷却板を直接取り付け、その内部に冷却液(冷媒や水)を循環させて熱を除去する方式である。
CDU(Coolant Distribution Unit)で冷却水を作る

システムの中核をなすのがCDU(冷却液分配ユニット)である。
CDUは、データセンターの施設側から供給される一次冷却水と、サーバーラック内を循環する二次冷却液(IT機器を冷やす液体)を熱交換器で物理的に分離する役割を果たす。
これにより、精密な電子機器側には、不純物を取り除き、圧力や温度が厳密に管理された専用の冷却液(プロピレングリコール水溶液など)を循環させることが可能になる。
冷却方法は 単相と二相冷却方式がある。
Vertivは、冷却液が液体のまま循環する「単相冷却」に加え、冷却液が沸騰して気化する際の潜熱を利用して熱を奪う「二相(Two-Phase)冷却」技術も展開している。二相冷却は、より高密度な熱流束に対応可能であり、1000Wを超えるような超高性能チップの冷却に適している。

このCDUで作った冷却水を、水漏れしないようにチップに接続し直接冷却することで爆熱のGPUを冷やすことができるのだ。

1.3 リアドア熱交換器(RDHx):ハイブリッド環境の最適解
既存のサーバーにダイレクト冷却システムを導入するのは難しく、冷却水をチップまで持っていけないケースなどもある。
そういった場合は、後付けでもできるように排熱を冷やす水冷方式、リアドア熱交換方式がある。
Vertivの「リアドア熱交換器(RDHx)」は、既存の空冷ラックの背面に設置するラジエーターのような装置であり、サーバーから排出される熱風をその場で液体によって冷却し、室内に戻す。これにより、データセンター全体の空調負荷を劇的に下げることができ、既存インフラを生かしながら高密度化に対応する「ハイブリッド冷却」を実現する重要なコンポーネントとなっている。
2. 競争優位性の核心:なぜVertivが選ばれるのか
2.1 設計段階からの深い関与:「参照アーキテクチャ」の威力
Vertivの最大の強みは、単なる機器ベンダーではなく、データセンターの設計段階から深く入り込んでいる点にある。
VertivはNVIDIAと共同で、次世代AIデータセンターの「参照アーキテクチャ(リファレンスデザイン)」を開発している。
NVIDIAの最新GPUシステム「GB200 NVL72」は、72個のBlackwell GPUを単一のラックに統合し、巨大なGPUとして機能させるシステムだが、その消費電力と発熱量は桁外れである。
このシステムの導入には、電源、冷却、ラックの配置に至るまで、極めて高度な統合が必要となる。 VertivはNVIDIAのパートナーネットワーク(NPN)において「ソリューションアドバイザー」の地位にあり、GB200 NVL72向けの電源および冷却システムの共同開発を行っている。
VertivとNvidiaが連携してAIファクトリー電源システムに革命を起こすwww.webull.co.jp
顧客であるハイパースケール事業者やコロケーション事業者は、VertivとNVIDIAが検証済みの設計図(リファレンスデザイン)を採用することで、複雑な技術検証を省略し、導入期間を最大50%短縮できる。この「設計図レベルでの採用」は、競合他社が入り込む余地を極小化する強力な参入障壁となっている。
2.2 「重量物」としてのインフラ:物理的な参入障壁
液冷システムは、サーバーだけでなく、CDU、配管、マニホールド、そして大容量の電源バスバーなど、物理的に重厚なインフラ設備を必要とする。
例えば、Vertivの「CoolChip CDU 2300kW」のような大容量ユニットは、巨大な熱交換能力を持ち、施設のインフラと一体化して設置される。これらは一度設置されると、容易に交換できない「重厚長大」な設備である。

重さは乾燥重量で1トンになり、冷却水を入れるとさらに重くなる。150kWのサーバーラック15台にこのVertivのCDU1台を設置が必要となり、データセンターの設計当初から深くVertivがかかわらないといけない。
CDUの重さに床が耐えられるのか、給水管の位置や排水管の位置、電源をどこにとるか、冷却水をどのようにサーバーラックまで引き回すかなど、付加価値が高い高度な技術力が求められている。
従来はファンを付けるだけだったところから飛躍的に難易度が向上している。その分、利益率も高まるだろう。
また、ソフトウェアのように簡単に乗り換えることができないため、初期導入時のベンダー選定が極めて重要となり、実績と信頼性のあるVertivが選ばれ続ける構造がある。
また、Vertivはスイッチギアやバスバーといった電力供給インフラでもトップシェアを持っており、電力(Power)と冷却(Thermal)の両面からデータセンターの物理層を完全に掌握している。これにより、部分的な最適化ではなく、施設全体のエネルギー効率を最大化する提案が可能となっている。
2.3 協調制御による付加価値:単体から「システム」へ
Vertivの冷却ユニットは、単独で稼働するだけではない。
複数のCDUや空調機が連携し、データセンター全体の熱負荷に応じて協調的に動作する「チームワークモード」を備えている。
例えば、AIの学習フェーズで急激に発熱量が増加した際、特定のCDUが負荷を検知すると、連携する他の冷却ユニットやポンプが即座に流量やファン回転数を調整し、ホットスポットの発生を防ぐ。
この高度な制御技術(Liebert iCOM-Sなど)により、冷却効率を最大化しつつ、エネルギー消費を最小限に抑えることができる。 単なるハードウェアの販売ではなく、これら全体を統括する制御システムとインテリジェンスを提供することで、Vertivは代替不可能なポジションを築いている。
3. 収益構造の変革:高付加価値化と利益率の上昇
3.1 独占的シェアによる価格決定力
液冷技術、特にDTC液冷は、高度な技術力と信頼性が求められるため、参入できるプレイヤーが限られている。
特にNVIDIAのGB200のようなハイエンドシステムは価格が5億円近くの超高額となる。
万が一、水漏れが起こるとGPUが故障して大損害となる。また冷却不足となるとGPUの処理能力を100%引き出せない。
そういった失敗(液漏れや冷却不足)が許されないため、NVIDIAと戦略的パートナーとなっており、実績のあるVertivへの依存度が高まる。
この「指名買い」に近い状況は、Vertivに強力な価格決定力(プライシングパワー)をもたらしている。
24年9月の3Q売り上げは営業利益率が18%から、25年9月3Qは20%と営業利益率が向上している。水冷が本格化すると、さらに利益率が向上すると予想している。

これは、売上増によるレバレッジ効果に加え、高付加価値な液冷ソリューションや複雑なプロジェクトの比率が高まったことによるミックス改善が寄与している。
3.2 サービスビジネスによるストック収益の拡大
液冷システムは、従来の空冷に比べてメンテナンスの重要性が格段に高い。冷却液の成分管理、フィルター交換、漏水検知システムの点検など、専門的な知識を持ったエンジニアによる定期的なメンテナンスが不可欠である。
Vertivは世界中に約4,000人のフィールドサービスエンジニアを擁しており、機器の導入から保守、運用監視までを一貫して提供する「ライフサイクルサービス」を展開している。液冷の導入が進むにつれ、この高収益なサービスビジネスの比率が上昇し、安定的なストック収益が積み上がっていくことが予想される。
3.3 サプライチェーンの強靭化と生産能力の拡大
需要の急増に対応するため、Vertivは生産能力の拡大を加速させている。米国サウスカロライナ州ペルザーやインドのプネなどに新工場を開設し、統合モジュラーソリューションやサーマル管理製品の増産体制を整えた。
また、重要部材のサプライチェーンを二重化し、地政学的リスクや関税リスクに対しても柔軟に対応できる体制(In region, for region戦略)を構築している。これにより、競合他社が供給不足に陥る中でも、Vertivは確実に製品を供給し、シェアを拡大し続けることが可能となっている。
4. 結論:AI時代のインフラを支配する「黒子」から「主役」へ
これまでデータセンターの主役はCPUやGPUなどの半導体であった。しかし、AIの進化により「熱」が物理的な限界要因となった今、その熱を制するVertivのようなインフラ企業の重要性はかつてないほど高まっている。
NVIDIAとの強力なパートナーシップにより設計段階から深く関与し、他社が容易に模倣できない液冷技術と大規模な製造・サービス網を持つVertivは、AIデータセンター構築において「なくてはならない存在(Indispensable Partner)」となっている。
今後、データセンターの液冷化が標準となるにつれ、Vertivは単なる機器メーカーから、AIインフラの安定稼働と効率化を保証するプラットフォーマーとしての地位を確立し、高い利益率と圧倒的な市場シェアを維持し続けるだろう。2025年通期の売上高ガイダンスを上方修正し、有機的成長率を約18%と見込んでいることは、この長期的な成長ストーリーの確かな証左である。


