もふもふ不動産のモフです。もふもふしたものをこよなく愛する投資家で、元SONYやキオクシアで先端半導体の研究開発者。登録者25万人のYouTube「もふもふ不動産」を運営しています。投資やテクノロジーで役立つ情報を発信しています!
AI半導体といえばNVIDIAですが、そのNVIDIAのGPUの隣に必ず載っている部品があります。HBM(高帯域幅メモリ)です。そしてHBMで世界シェアの半分以上を握っているのが、韓国のSKハイニックス。「メモリのNVIDIA」とも呼ばれ、2026年に入って株価が急騰している会社です。
メモリはキオクシアの競合として僕がずっと見てきた業界です。SKハイニックスがなぜここまで強いのか、直近の決算がどれだけ異常か、そして日本からこの株を買う方法まで、元業界人の目線で解説します。詳しい経歴は研究開発者としての経歴ページをご覧ください。
よくある質問
SKハイニックスの株は日本から買えますか?
買えます。①SBI証券など韓国株取扱のある国内証券会社で韓国取引所の株(コード000660)を直接買う、②SKハイニックスを主要構成銘柄とする韓国株ETFや新興国株インデックスファンドで間接保有する、の2つが現在の方法です。さらにナスダックADR上場(ティッカーSKHY)の計画が報じられており、実現すれば米国株口座でも買えるようになります。
SKハイニックスの株価はなぜ上がっているのですか?
AIサーバーに不可欠なHBM(高帯域幅メモリ)で世界シェア約6割を握り、2026年4〜6月期に売上79兆3,187億ウォン(前年同期比257%増)・営業利益率76%という過去最高決算を出したためです。HBMは2028年頃まで供給不足が続くという見方も報じられています。
HBMとは何ですか?
DRAMチップを垂直に積層してGPUのすぐ隣に配置した高帯域幅メモリです。AIの学習・推論ではデータ供給速度がボトルネックになるため、帯域を桁違いに太くしたHBMがAIサーバーの必須部品になっています。
SKハイニックス株のリスクは何ですか?
①ビッグテックのAI投資が減速すればHBM需要も減ること、②サムスン・マイクロンの追い上げと業界全体の増産による将来の供給過剰、③中国CXMT・YMTCの台頭による汎用メモリの価格圧力、の3点が主なリスクです。
SKハイニックスとは——「メモリのNVIDIA」と呼ばれる理由
SKハイニックスは韓国の半導体メーカーで、DRAMとNANDフラッシュの両方を手がける世界的なメモリ大手です。DRAMではサムスンと世界1位を争い、NANDでは僕の古巣キオクシア陣営やサムスンと競っています。
その同社を「メモリのNVIDIA」に押し上げたのがHBM(High Bandwidth Memory・高帯域幅メモリ)です。AIブームの初期からNVIDIAのGPU向けHBMをほぼ独占的に供給し、2026年第1四半期時点でHBM市場シェア約58%(2025年通年では約61%)。サムスン・マイクロンを大きく引き離す首位です。AIサーバーが売れれば売れるほどHBMが売れる——NVIDIAの成長がそのまま自社の成長になる構造を握っているわけです。
HBMとは何か——GPUの隣に積まれる高帯域幅メモリ
HBMを一言で言うと、DRAMチップを何段も垂直に積み重ねて、GPUのすぐ隣に置いた超高速メモリです。AIの学習・推論では、GPUの計算能力そのものより「データをGPUに供給する速度」がボトルネックになります。メモリを積層して配線距離を縮め、データの通り道(帯域)を桁違いに太くしたのがHBMです。
製造には、チップに穴を開けて上下を貫通配線するTSVという技術や、薄く削ったチップを精度高く積み上げる実装技術が必要で、DRAMの中でも歩留まりの確保が特に難しい製品です。SKハイニックスはこの積層技術で他社に先行し続けてきました。ここが「シェア6割」の源泉です。
ちなみに、このHBMの考え方をNANDフラッシュに応用した「HBF(高帯域フラッシュ)」という規格をSKハイニックスとサンディスクが共同で標準化しつつあります。興味があればHBFの解説記事もどうぞ。
決算がヤバい——売上79.3兆ウォン・営業利益率76%
2026年7月末に発表された4〜6月期決算の数字を見てください。
- 売上高: 79兆3,187億ウォン(前年同期比257%増・円換算でおよそ8兆円台)
- 営業利益: 60兆5,426億ウォン(前年同期比557%増)
- 営業利益率: 76%——いずれも四半期として過去最高
営業利益率76%は、同時期のキオクシア(Non-GAAPで75%)と並ぶ異常な水準です。メモリという「作れば作るほど値崩れする」と言われてきたコモディティ産業が、AI需要による供給不足で製造業の常識を超えた利益率になっています。この構図の背景はキオクシアの決算解説で詳しく書いたとおりで、DRAM・HBM・NANDのすべてが値上がりしている状態です。
SKハイニックスの株価はなぜ急騰しているのか
SKハイニックスの株価(韓国取引所: 000660)は2026年前半だけで2倍以上に上昇し、高値を更新し続けてきました。理由は整理すると3つです。
①HBMの需給。HBMは2028年頃まで供給不足が続くという見方が市場で報じられており、値崩れの心配が当面薄い。②業績の爆発。上記のとおり、売上も利益も四半期ごとに記録を塗り替えています。③AIメモリの物語の主役であること。「AIの計算はNVIDIA、AIの記憶はSKハイニックス」という分かりやすいポジションが、世界の投資マネーを引き寄せています。
一方で、急騰した株には急落もあります。実際、米半導体株の調整や利益確定売りで大きく下げる場面もあり、その動きは競合であるキオクシアなど日本のメモリ株にも波及します。「メモリ株はセットで動く」ことは覚えておいて損はありません。
日本からSKハイニックス株を買う方法
「日本から買えるの?」という質問への答えです。方法は主に3つあります(2026年8月時点)。
①韓国株の取扱がある国内証券会社で直接買う。SBI証券など、韓国株式の取扱がある証券会社に外国株口座を開けば、韓国取引所のSKハイニックス株(000660)を直接買えます。為替(ウォン)と韓国市場の取引時間・手数料は事前に確認してください。
②投資信託・ETFで間接保有する。SKハイニックスはMSCI韓国指数や新興国株指数の主要構成銘柄なので、韓国株ETFや新興国株インデックスファンドを買えば間接的に保有できます。「個別リスクは取りたくないけどAIメモリの成長は取りたい」ならこちらが現実的です。
③米国ADR(上場計画)。2026年には、ティッカー「SKHY」でのナスダックADR上場計画が報じられています。実現すれば米国株口座で買えるようになり、日本の個人投資家にとってのハードルは大きく下がります。続報を追う価値があるニュースです。
投資家として見ておくべき3つのリスク
強気の材料が並びましたが、リスクも同じ重さで書いておきます(個人的見解です)。
①AI投資の持続性。HBMの需要は突き詰めるとビッグテックのAIデータセンター投資に依存しています。投資計画が減速すれば、真っ先に発注が絞られるのはメモリです。
②競合の追い上げと増産。サムスンとマイクロンがHBMで巻き返しを図っており、各社の増産投資は数年後の供給過剰リスクとして積み上がっています。メモリのシリコンサイクルは過去に何度も「今回は違う」を裏切ってきました。
③中国勢の台頭。時間軸は長めですが、中国CXMTがDRAMで、YMTCがNANDで力をつけています。汎用品の価格を崩されると、HBM以外の事業の収益が圧迫されます。
「HBMの王者であることは事実。ただし株価には既に多くの期待が織り込まれており、メモリサイクルの宿命からは自由ではない」——これが僕の見立てです。
まとめ
メモリ業界の続きはキオクシアの爆益決算・中国半導体の全体像・HBFの解説もあわせてどうぞ。
YouTube「もふもふ不動産」でも半導体と投資の解説をしています。それでは、また次の記事で!


