本格的にFXをする上で、かならず身につけておきたいのが税金の知識。
たとえば
- FXの税率はどうやって決まっているのか
- FXで納税するときに注意すべきことは何か?
- 国内FXと海外FXで税金の納め方の違いは何か?
- 個人や法人ができるFXの税金対策は何かあるのか?
- 副業でFXをする場合はどうやって納税すればいいのか?
こういったことを気にする人はとても多いはずです。
そこで、今回の記事ではFXに関して押さえておくべき税金の知識を紹介します。
これからFXデビューする人、国内FXと海外FXどちらを始めようか迷っている人、思ったよりもFXで利益を出してしまった人などなど、税金の知識を押さえておきたい人の参考になれば嬉しいです。
もくじ
FXにおける課税制度の特徴
課税方法は大きく分けると2パターンあります。
- 総合課税:1年間で得た所得をすべて合計したものを課税対象にする
- 分離課税:他の所得と一緒にせず、特定所得だけを課税対象にする
この中で、国内FXは分離課税として計算されるので、他の会社でもらえる給与所得をはじめ、配当所得、雑所得などと一緒にされずに別々の所得として判断されます。
分離課税でかけられる税率は最大で20.315%。つまり、いくらFXの利益が出ても20.315%までしか課税されません。
たとえば、FXの利益が10万円だった場合は「100,000 × 20.315%=20,315円」この20,315円分を税金として納めなければいけません。
では、FXでの利益はいつ発生するのか確認していきます。
FXの利益が発生するタイミング
FXの利益が生まれるのは「決済して利益確定した瞬間」。この利益に対して課税されることになります。
決済前の含み益の状態では、課税されませんが一度でも利益が確定されると出金しなくても課税対象になります。
ですから最終的に1年間、1/1~12/31までの利益(スワップポイントも含む)が損失分を上回っていれば、その利益分に税金がかけられるというわけです。
FXで確定申告しなければいけない利益の基準とは
FXで確定申告しなければいけない人の基準をまとめておきます。
FXを副業として行っているサラリーマンやアルバイト、パートの給与所得者は「FXの利益が20万円超になると、確定申告(納税)する義務がある」と言われてます。
しかし、FXの利益が20万円以下だったとしても税務署にて「住民税の申告」をしなければいけません。また、20万円以下でも医療費控除やふるさと納税を利用して確定申告するときは、FXの利益が20万円以下であっても合わせて確定申告の計算に含めます。
まとめると以下の通りです。
- 給与所得者:20万円以上の利益から申告義務がある
- 給与所得者以外:38万円以上の利益から申告義務がある
給与所得者は仕事の対価として給料や賃金などの収入をもらっている人を指します。また、自営業やフリーランス、専業主婦や学生などは38万円から確定申告の義務が生じます。
ただ、38万円以上であっても所得控除(生命保険料控除など)を控除して所得が0(ゼロ)となれば申告は不要です。
たとえば、サラリーマンは会社側で源泉徴収が行われるパターンがほとんどですが、それとは別にFXの利益を自分で税務署へ確定申告しなければいけません。もし、FXの利益が20万円以下であれば確定申告は不要です。
FXで可能な3つの税金対策
誰でもできるFXで税金対策を3つ紹介しておきます。
- 経費を細かく申告する
- ふるさと納税を利用する
- 法人化する(利益が1,000万円以上出ている場合)
それぞれ確認していきます。
1.FXでかかった経費を計上する
最も簡単なFXにおける節税対策は経費を計上すること。領収書をとっておくのが面倒に感じるかもしれませんが、是非対策しておきましょう。
主にFXで経費になるもの
- FXを学ぶために購入した本や商材
- FXセミナーやイベントの参加費/交通費など
- EA(自動売買ツール)の購入費など
- (FXのために購入したPC※購入費の一部のみ)
- (通信費※一部のみ)
以上の項目は経費として申告できるので領収書(レシート)を保管しておくことがオススメ。
また、レシートや領収書の裏面に「購入した目的」などを詳細に記載しておくと、仮に税務調査が入ったときでも、スムーズに説明できるのでオススメです。
※PCや通信費はFXのみではなく恐らく他の使用用途もあるため、全額を経費に申告するのは避けた方がいいですね。また、家賃も一部だけ計上できる場合はありますが、経費にできても自宅でFXをしている区画分だけを計算して算出しなければいけません。
ただし、家賃やPC、通信費などはサラリーマンの副業などの個人トレーダーだと法人や個人事業主とは違って認められない可能性が高いです。
2.ふるさと納税を利用する
FXの税金対策にはふるさと納税も効果的だといえます。
ふるさと納税は年収や家族構成によって、地方自治体から納税額に応じて返礼品をもらうことができる制度。年収が高ければ高いほど、納税できる金額も多くなるので返礼品も多くもらえます。
ふるさと納税で支払った税金は、翌年に納付する住民税と相殺される仕組みになっています。つまり、翌年納める住民税を前払いしているイメージです。
実質2,000円だけの負担で返礼品をもらえるので、稼いでいる人ほど利用価値がある制度です。
あなたの年収でふるさと納税の限度額が変化するので、前もってシミュレーションしておくといいでしょう。
3.法人化する※利益が900~1,000万円以上ある場合
サラリーマンの副業や個人事業主でFXをしていて、大きく稼いでいるなら法人化することで節税することが可能です。
法人化の大まかな目安は利益900~1,000万円以上ある場合です。
法人化のメリット
法人化することで得られるメリットは主に2つあります。
- 経費にできる幅が増える(給与所得控除ができる)
- 損失の繰り越しが9年間できる
法人化することで経費として認められる項目が増え、その中でも「給与所得控除」を利用できる点は最大のメリットです。たとえば、家族などを役員として報酬を支払うことで節税対策になります。
また、FXの損失を9年間も繰り越すことができるメリットも大きいといえます。
法人化のデメリット
法人化によるデメリットも押さえておきます。
- 未決済ポジションも課税対象
- 利益を出しつづけることが難しい
個人とは異なり、法人の場合は確定申告がさらに複雑になります。未決済状態のポジションも課税対象になります。これは時価評価して利益や損失を報告しなければいけません。
また、900万円を超える利益を出し続けることもトレーダーにとってはプレッシャーになります。
FXで大きな利益を出していても、法人化については税理士さんと相談して慎重に決断した方がいいですね。
FXの確定申告方法
事業所得や不動産所得がある人は、納税方法を2種類(白色申告と青色申告)から選べます。
一方でFXで稼いだお金を納税する場合は青色と白色の区分は特にありません。
国内FXは損失繰越ができる
FXではトレードで損失が出た場合に「損失繰越(繰越控除)」という損失を持ち越して、次の年の所得から差し引ける制度が利用できます。
たとえば、次のようなトレード結果になっていた場合は、
- 2019年度のFXの損益:-10万円(税金は0円)
- 2020年度のFXの損益:+10万円(税金は20,315円)
2020年だけで計算すると本来20,315円納付しなければいけないところが、2019年の損失を繰り越すことで納付額が0円になります。
繰越控除を適用する方法
繰越控除を次年度に適用させるためには、確定申告の際に「先物取引に係る雑所得等の計算明細書」に加えて「確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」を提出しなければいけません。
ですから、もしトレードで損失しか出ていなかったとしてもFXについて確定申告を行っておく必要があるということ。繰越控除を申請していなければ適用されないので注意しましょう。
※海外FX事業者の場合は日本の金融庁に登録していないので、損失繰越の対象外になります。
FXの確定申告で必要な書類
確定申告するときには、以下の書類を税務署に提出する必要があります。
- 確定申告書Bの第一表と第二表
- 第三表(分離課税用)
- 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
- マイナンバーカード(あるいは通知カード)
- 控除証明書(社会保険料控除や医療費控除など)
年度によってルールが変わり提出が不要になる場合もあるので、必ず国税庁HPを確認しておきましょう。
提出不要だが保管しておかなければならないもの
確定申告のときには提出しませんが、もし税務調査が入ったときのために準備しておかなければならないものは、以下の2点です。
- 源泉徴収票
- 年間取引報告書(年間損益報告書)
- FXの経費になった領収書(レシート)
年間取引報告書は各FX事業者のマイアカウントからダウンロード、あるいは郵送してくれます。
毎年、印刷して保管しておくのがベストです。白色申告の場合は5年間、青色申告だと7年間の保管義務があるのでファイルなどに整理しておくといいですね。
FXの税金に関する質問や疑問点
気になるFXの税金に関する疑問点をさらに確認しておきます。
勤務先にバレない方法はあるのか
副業(FXも含む)が勤務先にバレてしまうのは住民税が理由になるケースが多いです。
まず、住民税の徴収方法には2パターンあります。
- 特別徴収:企業が納付してくれる
- 普通徴収:各個人で納付する
サラリーマンなどの給与所得をもらっている場合は、「特別徴収」になっているので、それを「普通徴収」に切り替えられればバレることは免れます。しかし、特別な理由がない限り普通徴収へ切り替えることは難しいです。
なぜなら、会社に勤務している従業員は「特別徴収」によって住民税を納付することが、あらかじめ義務付けられているからです(地方税法で定められている)。
主婦や学生はFXでいくら稼ぐと税金を払うのか
給与所得者ではない専業主婦や学生は、年間で得られた利益が38万円以上になると納税しなければいけません。(38万円以上でも所得控除で所得が0になれば申告は不要)
仮に20歳未満の未成年であっても、FXの利益が出ていれば確定申告して税金を支払う義務があります。
FXの税務調査は本当にくるのか
稼いでいる金額に関係なく、税務調査が来る可能性はゼロではありません。
「利益が小さいから大丈夫」と考えるのではなく、経費の領収書や年間取引報告書は保管が義務なので注意しておきましょう。
税務署はFXトレーダーが利用しているFXブローカーから支払調書が提出されているので、トレーダーの収支を把握しています。
確定申告がしていないと無申告加算税などのペナルティを受けるリスクもあるので注意が必要です。
FXで知っておくべき税金知識まとめ
最後に、知っておくべきFXの税金に関する知識をもう一度まとめます。
- FXの課税対象は決済した後の利益分のみ。
- FXにおける確実な税金対策は「経費を意識する」こと。
- 給与所得がある人→FXの年間利益が20万円超から確定申告が必要
- 給与所得者以外→FXの年間利益が38万円以上から確定申告が必要※38万円以上でも所得控除で所得が0になれば申告不要
- 大幅に損失を出していても確定申告(繰越控除申請)をしておくと良い
以上のポイントは最低限身につけておきたい知識です。
これからFXを始める人は、まずは決済で得られる利益と、FXを行うときに発生する経費を意識しながらトレードを行うといいですね。
これからFXをする人は、前もって税金の疑問点を解決しておいた方が安心ですよね♪