ラピダスの株は買える?上場はいつ?——2031年度IPO計画と出資企業を元半導体研究開発者が解説

もふもふ不動産のモフです。もふもふしたものをこよなく愛する投資家で、元SONYやキオクシアで先端半導体の研究開発者。登録者25万人のYouTube「もふもふ不動産」を運営しています。投資やテクノロジーで役立つ情報を発信しています!

「ラピダスの株を買いたいんだけど、どこで買えるの?」——最近この質問をよくいただきます。国策半導体企業として連日ニュースになっているので、投資したくなる気持ちはよくわかります。

先に結論を言うと、ラピダスは未上場なので、今は株を買えません。ただし会社と政府は上場(IPO)の目標時期を明示していて、そこから逆算すると「いま何を見ておくべきか」がはっきり見えてきます。元キオクシアで16年間半導体の研究開発をやっていた僕が、上場計画・株主構成・成功の条件まで解説します。詳しい経歴は研究開発者としての経歴ページをご覧ください。

よくある質問
ラピダスの株は今買えますか?

買えません。ラピダスは未上場企業のため、証券取引所で株を購入する方法は現時点ではありません。会社と政府は2031年度の株式上場(IPO)を目標として示しています。

ラピダスの上場はいつですか?

目標は2031年度です。2027年度後半に2nm半導体の量産を開始し、2029年度に営業キャッシュフロー黒字化、2030年度に営業損益黒字化、2031年度に株式上場とフリーキャッシュフロー黒字化を目指すロードマップが示されています。

ラピダスに出資している企業はどこですか?

2022年の設立時にトヨタ自動車・NTT・ソニーグループ・ソフトバンク・NEC・デンソー・キオクシア・三菱UFJ銀行の8社が計73億円を出資。2026年にはホンダ・富士通など新規24社と既存8社の追加出資で1,676億円を調達しました。さらに政府がIPA経由で1,000億円を出資し筆頭株主となる計画です。

ラピダスは成功しますか?

最大の関門は2027年度後半に予定される2nm量産の歩留まり確保です。2nmトランジスタの動作実証や顧客60社以上との協議など前向きな進捗がある一方、TSMCとの量産ノウハウの差は大きく、計画どおり進まなければ上場時期は後ろにずれる可能性があります。

結論: ラピダスの株は今は買えない——上場は2031年度目標

ラピダス(Rapidus)は未上場の株式会社です。証券取引所に上場していないので、個人投資家が株を買う方法は現時点ではありません。

ではいつ買えるようになるのか。ラピダスと政府が示している目標は2031年度の株式上場です。2026年に入って政府が1兆円の追加支援を決めた際、「量産開始→黒字化→株式上場」という道筋が明確に示されました。日経クロステックなどの報道によると、計画は次のようになっています。

  • 2027年度後半: 2nm世代半導体の量産開始
  • 2029年度: 営業キャッシュフローの黒字化(2029〜30年度をめどに1.4nm世代も量産化)
  • 2030年度: 営業損益の黒字化
  • 2031年度: 株式上場(IPO)とフリーキャッシュフローの黒字化

つまり「ラピダス株を買う」チャンスが来るとしても5年ほど先で、しかもこの計画どおりに進んだ場合の話です。半導体の量産立ち上げがどれだけ大変かは後半で書きますが、まずはこの前提を押さえてください。

ラピダスとは——国策の2nm半導体ファウンドリー

ラピダスは2022年に設立された、最先端ロジック半導体の受託製造(ファウンドリー)を目指す会社です。北海道千歳市に工場(IIM-1)を建設し、2025年4月からパイロットラインを稼働。2025年7月には2nm世代のGAAトランジスタの動作実証に成功しています。

「2nmって何がすごいの?」という技術の中身は、以前書いたラピダス2nmトランジスタ解説の記事で詳しく説明しています。GAA構造・EUV露光といった技術的なポイントと「これは登山口に立った段階」という評価を書いているので、技術面はそちらをどうぞ。この記事では「投資対象として見たラピダス」に絞ります。

重要なのは、ラピダスが完全な民間企業ではなく国策企業だという点です。政府の支援額は2027年度までの累計で約2.9兆円にのぼる方針が示されており、さらに情報処理推進機構(IPA)を通じた1,000億円の出資で政府が筆頭株主になる計画です。日本政府が「国運をかけて」進めるプロジェクトと言っていい規模です。

上場までのロードマップ——量産2027年度後半→黒字化→IPO

投資家目線で大事なのは「上場までに何が起きるか」の順番です。

まず2027年度後半の2nm量産開始。ここが最大の関門です。トランジスタの動作実証と、良品率(歩留まり)を確保しながら大量生産することの間には、桁違いの難易度差があります。僕はキオクシアで量産立ち上げを経験しましたが、パイロットラインから量産への移行は本当に地獄のような作業でした。

次に顧客の確保。ファウンドリーは注文をくれる顧客がいないと売上が立ちません。2026年3月の報道では、ラピダスは60社以上と協議中で、約10社にPDK(設計キット)をライセンスする段階まで進んでいます。設計キットが顧客に渡るのは受注の前段階なので、進捗としては前向きです。

そして2029〜30年度の黒字化を経て、2031年度にIPO。逆に言うと、量産と黒字化が計画どおり進まなければ上場は後ろにずれるということです。上場を待つ間は、このマイルストーンが予定どおり達成されるかをニュースで追うのが「ラピダスウォッチ」の正しい方法だと思います。

ラピダスの株主は誰か——設立8社+新規24社+政府が筆頭株主へ

未上場企業の株は、出資した企業・機関が持っています。ラピダスの株主構成はこうなっています。

設立時の出資8社(2022年・計73億円): トヨタ自動車・NTT・ソニーグループ・ソフトバンク・NEC・デンソー・キオクシア・三菱UFJ銀行。日本を代表する企業が横並びで出資したことが話題になりました。僕の古巣のキオクシアも入っています。

2026年の追加調達(1,676億円): 既存8社の追加出資に加えて、ホンダ・富士通・キヤノン・京セラ・JX金属・セイコーエプソン・大日本印刷・日本政策投資銀行など新規24社が出資に参加。当初の想定を上回る金額が集まりました。

政府(IPA経由・1,000億円): 前述のとおり、政府が筆頭株主となる方向です。

ただし現実的な規模感も書いておくと、民間出資の累計は約1,800億円で、支援の主力はあくまで政府の約2.9兆円です。日経クロステックは新規出資について「量産には額が少ない」という指摘も報じており、今後も追加の資金調達が続くとみられます。

「ラピダス関連銘柄」という考え方

「ラピダス本体が買えないなら、関連する上場企業を買う」という考え方があります。事実として、上の株主リストにある企業はすべて上場企業です(三菱UFJ銀行は三菱UFJフィナンシャル・グループとして上場)。また、装置や素材でラピダスの工場に関わる企業群もあります。

ただし正直に言うと、出資企業の株価にとってラピダスの影響はごくわずかです。たとえばトヨタの出資額は同社の利益規模から見れば誤差の範囲で、「ラピダスが成功したからトヨタ株が上がる」という関係にはなりにくい。関連銘柄投資をするなら、その会社の本業がラピダス向けの売上でどれだけ変わるか(装置・素材メーカーのほうが影響は大きい)を個別に見る必要があります。ここは銘柄推奨になるので具体名の評価はしませんが、「関連銘柄」という言葉だけで飛びつかないことをおすすめします。

元研究開発者が見る成功の条件とリスク

最後に、元業界人としての個人的見解です。

ポジティブな材料: 2nmトランジスタの動作実証は本物の成果です。EUV露光装置を日本で初めて稼働させ、パイロットラインまで来た。顧客開拓も60社協議・PDK提供約10社と、絵に描いた餅の段階は超えつつあります。政府のコミットメントも(金額を見る限り)本気です。

リスク: 一番の壁は歩留まりです。TSMCやサムスンが何年もかけて積み上げてきた量産ノウハウを、ラピダスは短期間でキャッチアップしなければなりません。そして仮に量産できても、TSMCと同じ土俵で価格・供給力・実績を競うことになります。ファウンドリービジネスは「作れること」と「儲かること」の間に深い谷がある——これは前回の記事でも書いたとおりです。2031年度の上場目標も、この谷を越えられた場合のシナリオだと理解しておくべきです。

「日本の半導体復活を応援したい気持ちと、投資判断は分けて考える」——これが僕のスタンスです(個人的見解です)。

まとめ

半導体×投資の記事は他にも書いています。キオクシアの爆益決算の解説や、中国YMTC中国CXMTなど競合の実力分析もあわせてどうぞ。

YouTube「もふもふ不動産」でも半導体と投資の解説をしています。それでは、また次の記事で!

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