Sandisk Investor Day 2026——株価30倍の理由とAIへの戦略を元キオクシア研究開発者がわかりやすく解説

もふもふ不動産のもふです。僕は元キオクシア(旧東芝メモリ)の半導体研究開発者です。ソニー・キオクシアで16年、先端半導体の研究開発に携わり、キオクシアではNOR型フラッシュや抵抗変化型メモリ(ReRAM)の研究開発を経て、世界初の48層3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH™」の量産立ち上げに参画しました(2019年まで在籍)。発明者として特許出願も行っています。詳しくは研究開発者としての経歴ページをご覧ください。

2026年8月13日、米サンディスク(Sandisk)が投資家向け説明会「Sandisk Investor Day 2026」を開催しました。サンディスクの株価は2025年2月の上場からわずか1年半で約30倍。そして今回のInvestor Dayでは「2030年度まで粗利率約80%を維持する」という、メモリ業界の常識では考えられない長期目標をブチ上げ、発表当日に株価がさらに13%上昇しました。いったい何が起きているのか。公開された98ページの資料を、フラッシュメモリの現場にいた元研究開発者の視点で、重要スライドを引用しながら読み解いていきます。

Sandisk Investor Day In Focus 2026の表紙スライド。赤と黒の背景にSANDISKのロゴとタイトル
Sandisk Investor Day 2026(2026年8月13日開催)の資料表紙(出典: Sandisk Investor Day 2026資料P1より引用。以下のスライドも同資料からの引用です)
よくある質問
Sandisk Investor Day 2026はいつ開催され、何が発表されましたか?

2026年8月13日に開催されました。収益性向上・市況変動の低減・安定成長という3つの経営方針のもと、8社の顧客との長期契約(NBM)の契約総額939億ドル(下限価格ベース)・残存履行義務911億ドル・金融保証165億ドルの開示と、2028〜2030年度に売上成長率10%台半ば〜後半・Non-GAAP粗利率約80%・営業利益率約75%を目指す長期財務モデルが発表されました。発表当日、株価は13%上昇しました。

サンディスクの株価はなぜ1年半で約30倍になったのですか?

2025年2月の上場(初値52ドル)後、AIデータセンター需要の爆発でNAND市況が急騰し、2026年度通期売上が202.5億ドル(前年比+175%)、Non-GAAP粗利率が30.3%から71.6%(第4四半期は84.6%)へ急改善したためです。2022〜2023年の不況で業界の生産能力が約3割減ったところにAI需要が重なった需給の締まりと、長期契約による収益安定化への期待が背景にあります。

NBM(New Business Models)とは何ですか?

サンディスクが導入した1〜5年(加重平均4年超)の長期供給契約です。顧客と月単位の数量・構成・価格を相互にコミットし、下限(フロア)と上限(シーリング)付きの価格設定と、不履行に備えた金融保証(総額165億ドル・大半は第三者金融機関経由)で拘束力を持たせています。2027年度には出荷ビットの約半分、2028年度には約3分の2がNBM契約下に入る計画です。

KVキャッシュとは何ですか?なぜSSDが必要になるのですか?

AIが一度読んだ文脈の解釈済みデータを貯めて使い回す「推論の作業記憶」です。会話やエージェント作業が長くなるほど膨らみ、GPU直結のHBMから溢れると再計算が必要になり電力と時間を浪費します。溢れたKVキャッシュを電源を切っても消えないSSDに貯めて再利用する構成にすると、サンディスクの社内実測では消費エネルギー約75%減・処理量約3倍になるとされ、同社はこれを「SSDはトークンの電池」と表現しています。

サンディスクとキオクシアはどういう関係ですか?

四日市・北上の工場を共同運営し、BiCS FLASHやCBA技術を共同開発する提携関係にあります。合弁契約は2034年末まで延長済みです。2021〜2025年の設備投資効率(業界の設備投資13%で生産量29%)も両社合算の数字として開示されています。

Sandisk Investor Day 2026とは——株価30倍のサンディスクに何が起きているのか

まず前提から。サンディスクはフラッシュメモリの生みの親のひとつで、僕の古巣キオクシアと四日市・北上の工場を共同運営している、世界的なNANDフラッシュメーカーです。長くWestern Digital傘下でしたが、2025年2月に分社化して単独上場しました。上場初値は52ドル。それが2026年8月には1,600ドル台と、1年半で約30倍になっています(2026年6月には一時2,300ドル台まで上昇)。

株価を押し上げたのは業績です。直前(8月5日)に発表された2026年度通期決算は、売上高202.5億ドル(約3.2兆円)で前年比+175%、第4四半期のNon-GAAP粗利率は84.6%。1年前のサンディスクは粗利率30%程度の「普通のメモリ会社」でしたから、まさに別会社レベルの変貌です。この決算の詳しい背景にあるメモリ市況の爆騰は、キオクシアの決算解説記事マイクロンの決算解説記事でも書いたとおり、業界全体で起きている現象なんですよね。

そして8月13日のInvestor Dayは、この変貌が「一時的な市況のボーナスではなく、構造的な変化だ」と投資家に説明する場でした。CEOのDavid Goeckeler氏以下、CTO・CFOらが総出で、技術・市場・ビジネスモデル・長期財務モデルを98ページかけて説明しています。この記事では、そのうち重要なスライドを引用しながら順番に見ていきます。

3つの経営方針(Three Imperatives)——サンディスクの価値創造戦略

資料全体を貫く骨組みが、この「継続的な価値創造のための3つの必須事項(Three Imperatives for Sustained Value Creation)」です。

Three Imperatives for Sustained Value Creationのスライド。Increase Profitability、Reduce Cyclicality、Consistent Revenue Growthの3項目
3つの必須事項:収益性の向上・シクリカリティ(市況変動)の低減・安定した売上成長。下部に「あらゆる時間軸でリターンを最大化する(MAXIMIZE RETURN ACROSS ALL TIME HORIZONS)」(P8より引用)
  • ① 収益性を高める(Increase Profitability)
  • ② 市況の波を減らす(Reduce Cyclicality)
  • ③ 安定して売上を伸ばし続ける(Consistent Revenue Growth)

①の根拠として面白いのが次のスライドです。サンディスクは「私たちはスタック全体を自社で握っており、利益の漏れが最小限(We hold the whole stack, with minimal profitability leakage)」と表現しています。

Increase Profitabilityのスライド。NAND IP→前工程製造→システム技術→後工程製造→GTMのバリューチェーンを自社保有と説明
NANDの知財→前工程(ウェハ製造)→システム技術(コントローラー)→後工程(組み立て)→販売まで一気通貫で持つ、という主張(P9より引用)

これはどういうことかというと、NANDの設計知財、ウェハを作る前工程、SSDに仕上げるコントローラー技術、組み立ての後工程、販売網までを全部自社(と共同運営工場)で持っているので、途中で他社にマージンを抜かれないという意味です。何十年もかけて積み上げた垂直統合が、市況が良くなった瞬間に全部利益として跳ね返ってくる構造ですね。

シリコンサイクルを減らす——長期契約と高付加価値ビジネスへの転換

投資家がメモリ株を敬遠してきた最大の理由がシリコンサイクルです。メモリは好況期に各社が設備投資を積み増し、数年後に供給過剰で価格が暴落する——という好不況の波を数年周期で繰り返してきました。僕がキオクシアにいた頃も、この波で会社の空気がガラッと変わるのを何度も見てきました。サンディスクはこの「波そのものを小さくする」ために3つの打ち手を示しています。

1つ目はコンシューマ事業を土台にすること。SDカードやUSBメモリでおなじみのサンディスクブランドは、世界35.1万か所の販売拠点を持ち、2017年以降の累計販売数は21億個。スライドのグラフでは、市況全体(白線)が赤字に沈んだ局面でも、サンディスクのコンシューマ事業(赤線)の粗利率は浅い谷で済んでいたことが示されています。ブランド品は市況品ほど値崩れしない、というわけです。

Reduce Cyclicality Consumerのスライド。市況全体とSandiskコンシューマ事業の粗利率推移の比較グラフ、351K販売拠点、2017年以降21億個販売
コンシューマ事業は本質的に市況変動が小さい(Consumer Business as the Foundation — Inherently Less Cyclical)。白線が市況全体、赤線がサンディスクのコンシューマ事業の粗利率(P10より引用)

2つ目が今回の目玉、NBM(New Business Models)と呼ぶ長期契約です。従来のメモリ販売は四半期ごとの価格交渉が基本で、市況が崩れると即座に値下げを迫られました。NBMは1〜5年(加重平均4年超)の相互コミットメント契約で、月単位の数量・構成・価格を双方が約束し、破った場合の金融保証(Financial Guarantees)まで付けています。2027年度には供給の50%がこの契約下に入り、2028年度には約67%まで拡大する計画です。詳細は後半のNBMの章で深掘りします。

Reduce Cyclicality New Business Modelsのスライド。1〜5年の長期コミットメント、月次の数量・価格コミット、金融保証、FY27供給の50%がNBM下と説明
NBMの骨子。「長期的な需要の見通しと価格の安定が、四半期ごとの変動に置き換わる(Longer Term Customer Demand Visibility and Pricing Stability is Replacing Quarter-to-Quarter Volatility)」(P11より引用)

3つ目が少量・高付加価値ビジネスの拡大。自動車、IoT、フィジカルAI(ロボット)、新興技術と、数量は少なくても単価と利益率が高く、かつ需要が市況と連動しにくい分野を伸ばす方針です。

Reduce Cyclicality Lower Volume, High-Value Businessのスライド。Auto、IoT、Physical AI、Emerging Technologiesの4分野
少量・高付加価値ビジネスの4分野:自動車・IoT・フィジカルAI・新興技術(P12より引用)

NAND技術の底力——25年で19世代、「最もスケーラブルな半導体」

NAND Flash Technology Leadershipのセクション表紙。クリーンルームでウェハを持つ作業者の写真とCTO Alper Ilkbaharの名前
NAND技術パートはCTOのAlper Ilkbahar氏が担当(P16より引用)

ここからは技術パート。元NAND屋として一番ワクワクした部分です。サンディスクはNANDフラッシュを「現存する最もスケーラブルな半導体技術(The Most Scalable Semiconductor Technology)」と呼び、その歴史を1枚にまとめています。

NANDスケーリングの歴史。2001年の1Gb 160nm世代から2026年の2Tb BiCS10まで19世代のチップが年表で並び、直近18ヶ月でBiCS9とBiCS10の2世代が登場と強調
2001年の1Gb(160nm)から2026年の2Tb(BiCS10・332層)まで19世代。コスト(縦軸・対数)を下げながら容量を2,000倍にしてきた。直近18ヶ月で2世代(BiCS9・BiCS10)を投入(P18より引用)

2001年に1Gb(ギガビット)だったチップ容量は、2026年のBiCS10世代で2Tb(テラビット)。25年で19世代、容量は2,000倍です。1枚のチップにDVD約54枚分のデータが入る計算で、これを毎世代コストを下げながらやってきたのがNANDのすごさです。注目は「直近18ヶ月で2つの新世代(BiCS9・BiCS10)を投入した」という点。世代交代のペースをむしろ上げているんですね。

次のスライドは、3次元NANDの微細化(スケーリング)を4つのベクトルに分解した、業界人的にかなり面白い開示です。

Four Vectors of 3D NAND Scalingのスライド。Lateral(〜1)、Logical(〜0.76)、Vertical(〜0.24)、Architecture(可変)の4方向のスケーリング効率比較
3D NANDスケーリングの4ベクトル。数値は「コスト削減%÷ビット成長%」で高いほど効率的(サンディスクの試算)。横方向(Lateral)が約1、多値化(Logical)が約0.76、縦積み(Vertical)は約0.24(P19より引用)

3次元NANDは「高層ビルの階数(積層数)」の競争だと思われがちですが、このスライドが示すのは「縦に積む」のは実はコスト効率が悪いという現実です。縦方向(Vertical)のスケーリングは、ビット成長1%あたりのコスト削減が約0.24と、横方向(Lateral・メモリホールの高密度化)の約1に比べて4分の1しかない。積層数を増やすと工程数も材料費も増えるので、階数の割にコストが下がらないんです。だからサンディスクは横方向・多値化(1つの記憶素子に詰めるビット数を増やす技術。TLC→QLC)・アーキテクチャ(CBA等)で稼ぐ方針を明確にしています。「積層数=技術力」という単純な見方への、当事者からの反論とも読めます。

A Technology Roadmap Engineered for AI's Paceのスライド。BiCS6→BiCS8→BiCS9→BiCS10→BiCS11とFuture BiCSが性能/電力効率の軸で階段状に並ぶ
「AIのペースに合わせて設計された技術ロードマップ(A Technology Roadmap Engineered for AI's Pace)」。BiCS9はCBA技術による性能特化のジャンプ(P22より引用)

投資効率は業界トップ——業界の設備投資13%で生産量29%

技術の話を投資家目線に翻訳すると「同じお金でどれだけ多く作れるか」になります。ここがサンディスクの一番の自慢ポイントです。

Nodes Designed to Optimize Sandisk Capital Intensityのスライド。2021-2025年のNAND設備投資シェアと生産量シェアの比較。Sandisk+Kioxiaは設備投資13%で生産量29%、生産/設備投資比223%で他社(129%、102%、73%、46%)を大きく上回る
2021〜2025年の業界全体に占める設備投資(CAPEX)と生産量のシェア。サンディスク+キオクシア連合は設備投資シェア13%で生産量シェア29%。投資効率(生産÷投資)は223%で、他社の129%・102%・73%・46%を圧倒(出典スライドはTrendForce 2026のデータ・P21より引用)

2021〜2025年の5年間で、サンディスク+キオクシア連合(四日市・北上の共同工場のため合算)は業界全体の設備投資のわずか13%で、業界生産量の29%を叩き出しました。投資1に対する生産の比率は223%で、2位グループ(129%・102%)の約2倍、最下位(46%)の約5倍。つまり同じ生産量を、競合の半分前後の投資で作れている計算です(相手により4〜6割)。半導体はケタ違いの設備投資が利益を食う産業なので、この差はそのまま利益率の差になります。

それを支えるのが製品世代の設計です。現在の主力BiCS8(218層)は「NANDのゴールドスタンダード」と位置づけられ、キオクシアと共同開発したCBA技術(メモリと回路を別々のウェハで作って貼り合わせる技術。詳しくはキオクシアCM10の解説記事参照)で性能・電力効率・密度を稼いでいます。

BiCS8 The Gold Standard in NANDのスライド。218層TLC&QLC、CBA技術。前世代BiCS6比でメモリ密度50%超向上、インターフェース帯域+60%、書込帯域+35%、転送電力効率+42%
BiCS8(218層・CBA技術)。前世代BiCS6比でメモリ密度>50%・インターフェース帯域+60%・書込帯域+35%・電力効率+42%(P23より引用)

面白いのが次のBiCS9です。実績のあるBiCS8のメモリ部分に、次世代BiCS10系の回路(CMOS)を貼り合わせるという合わせ技で、追加の設備投資を最小限にしながら、書込帯域+150%・読出帯域+75%という大幅な性能向上を実現しています。CBA技術(貼り合わせ)だからこそできる「いいとこ取り」ですね。

Introducing BiCS9 2Tb QLCのスライド。成熟したBiCS8セルアレイとBiCS10系CMOSを組み合わせ、最小限のCAPEXで書込帯域+150%、読出+75%、電力効率は書込+85%・読出+40%
BiCS9 2Tb QLC。実績あるBiCS8のセルアレイ+BiCS10系のCMOSで「最小限の追加投資・より高い性能(MINIMAL INCREMENTAL CAPEX / HIGHER PERFORMANCE)」(P26より引用)

そして最新世代のBiCS10。332層・2Tb QLCで「世界最高密度のメモリチップ」(2026年8月13日時点・サンディスク調べ)です。BiCS8比でメモリ密度+60%・読み書き帯域+100%・電力効率+75%。

Next-Gen BiCS BiCS10のスライド。332層2Tb QLC、CBA技術、世界最高密度メモリチップ。BiCS8比でメモリ密度+60%、読み書き帯域+100%、インターフェース速度+33%、電力効率+75%
BiCS10(332層・2Tb QLC)。「世界最高密度のメモリチップ(World's Highest Density Memory Chip)」(P28より引用)

密度が上がると何が嬉しいのか、それを1枚で説明するのが次のスライドです。同じ2Tbのチップを作るのに、BiCS10はBiCS8よりチップ面積が大幅に小さい。つまり1枚のウェハから取れるチップの数が65%増えるんです。

Next-Gen BiCS Scaling to Match the Pace of AIのスライド。BiCS10(332層2Tb QLC)とBiCS8(218層2Tb QLC)のチップ写真比較。BiCS10は+65% MORE DIE PER WAFER
同じ2Tb容量でもBiCS10(左)はBiCS8(右)よりチップが小さく、ウェハ1枚あたりのチップ数が+65%(P29より引用)

ウェハ1枚を処理するコストは世代間で大きくは変わらないので、チップ数が65%増えれば1チップあたりのコストが劇的に下がる。これが「微細化=コストダウン」の基本原理で、半導体が25年間ずっとやってきたことです。世代ごとのウェハあたりビット成長は5世代平均で+54%(年率27%)。サンディスクは「需要を上回るビット成長を技術移行だけで供給できる」——つまり新工場を建てずに(=大きな設備投資をせずに)需要増に応えられるとアピールしています。

Technology Transitions Delivering Bit Growth Ahead of Demandのスライド。BiCS5を1.00xとしてBiCS6、BiCS8、BiCS10、BiCS11と棒グラフが伸び、世代あたり平均54%、CAGR27%のビット/ウェハ成長
ウェハあたりビット数の世代推移(BiCS5=1.00x)。世代あたり平均+54%・年率27%で成長(Technology Transitions Delivering Bit Growth Ahead of Demand)(P30より引用)

NAND市場の見通し——市場規模80兆円へ、データセンターが最大の買い手に

ここからは市場パート。NANDフラッシュ市場の出荷量は2026年に1.2ZB(ゼタバイト)に達する見通しです。1ZB=10億TBなので、1.2ZBは1TBのスマホ約12億台分。そして歴史的な転換点として、2026年にデータセンターがスマホ・PC(エッジ)を抜いて最大の買い手になるとされています。

Flash Market to Reach 1.2ZB in 2026のスライド。CY15からCY27までのフラッシュ出荷量(EB)の積み上げグラフ。データセンター比率が拡大し2026年にエッジを逆転。ChatGPT登場(2022年11月)の注記
フラッシュ出荷量の推移(単位EB)。スマホ・PCが牽引した時代(30%+成長)からAI/データセンターが牽引する時代(10%台後半成長)へ。2026年にデータセンター(赤)がエッジ(グレー)を逆転(In 2026 Data Center Overtakes Edge as the Largest Flash Swimlane)(P32より引用)

金額ベースの変化はもっと劇的です。NAND市場はこれまで「平均600億ドル・上下200億ドルの波(~$60B Average +/- $20B Cycles)」を行き来する市況産業でした。それが2026年に3,000億ドル超(約48兆円)、2027年には5,000億ドル(約80兆円)に迫る——ベースラインそのものがリセットされる、というのがサンディスクの見立てです。

Flash Demand Mixes to Premium Swimlanes to Reset the Flash TAM Baselineのスライド。CY17〜CY25は約60Bドルの横ばい、CY26に300Bドル超、CY27は500Bドルに接近する棒グラフ
NAND市場規模(金額)の推移と見通し。長年の約$60B±$20Bのレンジから、CY26に$300B+、CY27はApproaching $500Bへ(サンディスク推計)(P33より引用)

「なぜ急にそんなに儲かるの?」の答えが供給側にあります。2022〜2023年の大不況で、業界のウェハ生産能力は大きく毀損したんです。生産能力はCY22の月産約183万枚をピークに、稼働率は一時約70%まで低下。その後の構造改革で月産約56万枚分の製造装置が退役し、生産能力はピーク比約30%減のまま。そこにAI需要が爆発したので、今はほぼ100%稼働でも足りない——という構図です。

Fab Wafer Capacity Reduced Due to 2022-2023 Cycleのスライド。業界ウェハ能力はCY22の約1,830kwpmでピーク、稼働率70%まで低下、約560kwpmが退役し能力はピーク比30%減、現在はほぼ100%稼働
業界のウェハ生産能力(赤)と実生産(白)。CY22ピーク後の不況で能力の約3割が退役し、CY26以降は「構造的リセット(Structural Reset)」の局面に(P34より引用)

需要側の裏付けとして示されたのが、クラウド大手の設備投資(CAPEX)です。米国データセンター投資は2026年に8,420億ドル(約135兆円)、2027年には1兆970億ドル(約175兆円)へ——15四半期連続で上方修正が続いています。スライドには、Amazonが2026年7月30日の決算説明会で語った「それだけ投資しても、2026年の需要すべてを満たす能力にはまだ足りない」という趣旨のコメントまで添えられています。ハイパースケーラーの投資が本当に持続可能かはフリーキャッシュフローの解説記事で書いたとおり議論があるところですが、少なくとも現時点の発注は加速し続けているわけです。

Cloud Capex Revisions Signal Accelerating Investmentsのスライド。クラウドCAPEX予測の折れ線グラフが四半期ごとに上方修正され、2026年842Bドル、2027年1,097Bドルへ。2023年のレジームチェンジとAmazonのコメントの注記
クラウドCAPEX予測の推移。予測線が出るたびに上へ修正され、2026年$842B・2027年$1,097Bに(U.S. Data Center Capex Keeps Climbing: 2026 to $842B and 2027 to $1,097B)(P35より引用)

AI推論の時代——投資判断が「コスト」から「価値」へ変わる

ここからはAIインフラのパート。まず掴みとして面白かったのが、人間とAIの「記憶容量」の比較です。人間の脳の記憶容量は約2.5PB(ペタバイト)という試算があり、80億人分を足すと約20YB(ヨタバイト)。対してAIの記憶(世界のメモリ・ストレージの総量)はまだZB(ゼタバイト)レベル——人類の集合記憶より4桁ほど少ない水準です。「知能のスケールは、計算・メモリ・ストレージ・電力の制約をどれだけ最大化できるかで決まる(The scale of intelligence depends on maximizing compute, memory, storage, and power constraints)」というのがサンディスクのメッセージです。

Human Collective MemoryとAI Collective Memory/Storageの比較スライド。人間は約2.5PB×80億人で約20ヨタバイト、AIはまだゼタバイトレベルの導入量
人類の集合記憶 約20YB vs AIの記憶 まだZBレベル。AIが人間並みの「記憶」を持つには、ストレージはまだ何桁も足りない(P40より引用)

そして投資家として重要なのが、データセンターの投資判断の物差しが変わったという指摘です。従来はTCO(Total Cost of Ownership・総所有コスト)、つまり「いかに安く持つか」が基準でした。それが今はTVO(Total Value of Ownership・総所有価値)、「いかに多くの価値を生むか」に変わった——1ドルあたり・1ワットあたりで何トークン生成できるか(Tokens/$, Tokens/W)が新しいKPIになったというのです。

Infrastructure Decision Making TCO→TVOのスライド。コスト効率重視のTCOから、Tokenomics・Tokens/$・Tokens/Wなど価値重視のTVOへの転換。ストレージは必要経費から戦略部品へ
投資判断の物差しがTCO(コスト)からTVO(価値)へ。「ストレージは必要な市況品だった(Storage Was Necessary Commodity)」→「ストレージは戦略部品である(Storage Is Strategic Component)」(P42より引用)

この転換はメモリ屋にとって革命的です。コスト基準の世界では、ストレージは「1円でも安く」と買い叩かれる市況品でした。でも価値基準の世界では、ストレージを増やすことでAIの出力(トークン)が増えるなら、高くても買うという判断になる。「安さ」ではなく「生み出す価値」で値段が付く——後述の粗利率80%目標も、この転換が前提になっています。

では、なぜストレージを増やすとAIの出力が増えるのか。鍵はAIの主戦場が「学習」から「推論」に移ったことにあります。サンディスクはAIのデータの流れを5段階の「AIデータサイクル」で説明しています。

The Era of Inferenceのスライド。AI Data Cycleを中心に、Raw Data Archives、Model Data Preparation、Model Training、Inference、New Content Generationの5段階が円環状に配置
「推論の時代(The Era of Inference)」。データの保存→前処理→学習→推論→新コンテンツ生成が循環するAIデータサイクル(P44より引用)
5-Stage AI Data Cycle The Era of Inferenceのスライド。5段階の流れの中でStage 4のInferenceにSnowballing KV Cacheの帯が付き、KVキャッシュ増幅の要因としてマルチモーダル、長い作業時間、長いコンテキストが示される
5段階のAIデータサイクル。推論(Stage 4)では「雪だるま式に膨らむKVキャッシュ(SNOWBALLING KV CACHE)」が発生。マルチモーダル化・エージェントの長時間作業・長いコンテキストがそれを増幅する(P45より引用)

学習(Stage 3)は一度きりの巨大計算ですが、推論(Stage 4)は世界中のユーザーが毎日使い続ける継続的な負荷です。そしてこの推論こそが、次章の主役「KVキャッシュ」を通じて、SSDの需要を爆発させています。

KVキャッシュとは——AIの「作業記憶」がSSDを必須にする

KVキャッシュはNVIDIA CMXの解説記事で詳しく書いたテーマですが、今回のサンディスク資料は「KVキャッシュ=AI推論の作業記憶(KV Cache: The Working Memory of AI Inference)」という、とてもわかりやすい整理をしています。

KV Cache The Working Memory of AI Inferenceのスライド。ユーザープロンプトからPrefill、KVキャッシュ、Decode、Responseへの流れ図。KVキャッシュの下にPersistent KV CacheとしてNVMe eSSDが描かれる
KVキャッシュの仕組み。一度計算した文脈(K/V)を貯めておき、新しいトークンを作るたびに再利用する。溢れた分の受け皿が「永続KVキャッシュ(Persistent KV Cache)」としてのNVMe eSSD(P46より引用)

ざっくりおさらいすると、ChatGPTのようなAIは返事を1単語作るたびに「ここまでの会話すべて」を参照します。毎回ゼロから読み直すと計算量が爆発するので、一度読んだ文脈の解釈済みデータ(KVキャッシュ)をメモリに置いて使い回す。ところがこのKVキャッシュ、会話が長くなるほど・ユーザーが増えるほど膨らんで、GPU直結の高速メモリ(HBM)からすぐ溢れるんです。溢れたら捨てて、必要になったら全部計算し直し——これが電力と時間の巨大なムダを生んでいました。

そこでAIサーバーのメモリ階層に、KVキャッシュの受け皿としてSSDの階層が新設された、というのが次のスライドです。

KV Cache Inference at Scale Updated Memory Hierarchyのスライド。2024年のピラミッド(SRAM、HBM、DRAM、Flash、HDD)と2026年のピラミッドの比較。2026年版はDirect Attached SSD、Network Attached Compute SSD、Network Attached Storage SSDの3階層がPersistent KV Cacheとして追加
AIサーバーのメモリ階層の2024年→2026年の変化。SSDが3つの階層(直結SSD・ネットワーク接続コンピュートSSD・ネットワーク接続ストレージSSD)に分化し、「永続KVキャッシュ」を担う(P48より引用)

2024年のピラミッドではSSD(Flash)は「その他大勢の倉庫」でした。2026年版ではSSDが3階層に分化して、KVキャッシュの置き場としてピラミッドの中枢に食い込んでいます。NVIDIAがCMXアーキテクチャで公式にこの階層を定義したことはCM10の記事で書いたとおりで、業界全体が同じ絵に向かって動いているのがわかります。

実際のAIデータセンターでは、SSDは役割ごとに置き場所と種類が変わります。GPU直結には高速なTLC SSD、ネットワーク越しの大容量プールには安価大容量なQLC SSD——という使い分けです。

AI Data Center eSSD Placementsのスライド。DIRECT Attached、LOCAL Network、REMOTE Networkの3つの配置にStaging、KV Cache、Fast Data LakesがTLC/QLCの使い分けと共に示される
AIデータセンターでのeSSD配置。GPU直結(DIRECT)・ラック内(LOCAL)・データセンター全体(REMOTE)のそれぞれにKVキャッシュや高速データレイクの置き場がある(P52より引用)
Sandisk SSDs Serve the AI Data Cycleのスライド。TLC eSSD(SN862/SN861、PCIe Gen5、4〜32TB)とQLC eSSD(SN670、16〜256TB、UltraQLCロードマップで最大1PB)の製品ラインナップ。PCIe Gen 6デモをFMSで実施の注記
サンディスクのAI向けSSD。性能重視のTLC eSSD(最大32TB)と容量重視のQLC eSSD(最大256TB)。UltraQLC™ロードマップでは1台最大1PB(ペタバイト)まで視野に(P53より引用)

ちなみにサンディスクは、この延長線上に「NANDをHBMのように積んでGPUの隣に載せる」HBF(High Bandwidth Flash)という飛び道具も仕込んでいます。今回のInvestor Dayでも、初のHBFダイ(チップ)完成や、HBM比8倍の投資効率というシミュレーション結果、Metaのコンソーシアム参加など大きな進展が発表されました。こちらはHBFの解説記事に最新情報を追記したので、あわせてどうぞ。

SSDは「トークンの電池」——AIの計算結果を貯めて再利用する

今回の資料でいちばん秀逸だと思った表現が「SSDはトークンの電池(SSD is a Token Battery)」です。その前提として、まずサンディスクの実験室での実測データを見てください。

Inference in Action: Sandisk in the Labのスライド。SSDを使うとエネルギー約75%削減、スループット約3倍と大きく表示。社内テストに基づく注記
KVキャッシュをSSDに退避する構成の社内実測:消費エネルギー約75%減・スループット(処理量)約3倍(Based on internal testing・P54より引用)

KVキャッシュをSSDに貯めて再利用する構成にしただけで、消費エネルギーは約75%減り、処理量は約3倍になった(社内テスト)。なぜこんなに効くかというと、捨てて再計算していた分の計算がまるごと消えるからです。

SSD is a Token Batteryのスライド。中央に電池のイラスト。左にTokens = Work Already Done(生成済みトークンは実行済みの仕事)、右にReuse Stored Tokens(保存済みトークンをマイクロ秒で取り出す)
「SSDはトークンの電池(SSD is a Token Battery)」。トークン=実行済みの仕事(Tokens = Work Already Done)を捨てずに貯め、保存済みトークンを再利用する(Reuse Stored Tokens)(P55より引用)

AIが生成したトークン(計算結果)は、電力を注ぎ込んで作った「仕事の成果」です。従来はそれを使い捨てて、また必要になったら電力を燃やして作り直していた。SSDに貯めておけば、マイクロ秒で取り出して再利用できる——まるで電池に充電したエネルギーを引き出すように。だから「トークンの電池」。SSDは電源を切ってもデータが消えない(不揮発性)からこそできる芸当で、DRAMにもHBMにもない、フラッシュメモリだけの強みなんですよね。電力不足がAIの最大の制約になりつつある今、「計算のやり直しを消して電力を節約する部品」という新しい売り文句は、データセンターに刺さるはずです。

株価を押し上げた本丸——8社・約15兆円の長期契約(NBM)

ここからが財務パート、今回の発表の本丸です。まず2026年度がどれだけ異常な年だったかのおさらいから。

FY'26 A Year of Transformationのスライド。TAMは前年比3倍超の300Bドル、売上20Bドルで前年比+175%、通期粗利率71.6%(Q4は84.6%)、調整後FCF8.7Bドルの4項目
FY26(2026年6月終了の会計年度)の変革:市場規模$300B(前年比3倍超)・売上$20B(+175%)・通期粗利率71.6%(前年30.3%、Q4は84.6%)・調整後FCF$8.7B。Q4を年率換算すると売上$36B(P58より引用)

売上202億ドル(+175%)、粗利率は30.3%→71.6%へ一気にジャンプ。第4四半期だけ見れば粗利率84.6%、売上の年率換算は360億ドル(約5.8兆円)です。この数字を「今後も続く」と言うために持ち出したのが、NBM(New Business Models)long-term契約の詳細開示でした。

Long-Term Relationshipsのスライド。契約の加重平均期間は4年超、最長5年、四半期単位の詳細、さらに長期化を検討中
「四半期ごとの価格交渉から複数年の関係へ(From Quarterly Price Negotiations to Multi-Year Engagements)」。契約の加重平均は4年超・最長5年(P61より引用)
Becoming the Predominant Modelのスライド。FY2027はビットの約1/2、FY2028は約2/3がNBM下に。NBMの価格は固定と変動の組み合わせ(フロア・シーリング付き)、非NBMは市場連動
NBMは2027年度に出荷ビットの約半分、2028年度に約3分の2を占める「主要モデル」に。価格は下限(フロア)と上限(シーリング)付きの固定+変動型(P62より引用)

核心の数字がこちら。8社の顧客と締結したNBM契約の総額(TCV)は、下限価格ベースで939億ドル(約15兆円)。残存履行義務(RPO・これから履行される契約残高)は911億ドルです。年商200億ドルの会社が、その4年半分の売上を「最低保証」として契約で握ったことになります。しかもこれは下限価格ベースなので、「価格と売上には上振れを期待(Expect Upside Pricing and Revenue)」と書いてあります。

Eight Customersのスライド。8社のNBM顧客の契約総額(TCV)は下限価格で93.9Bドル、残存履行義務(RPO)は91.1Bドル。価格と売上の上振れを期待と記載
8社のNBM顧客との契約総額$93.9B(約15兆円)・残存履行義務$91.1B(いずれも下限価格ベース・2026年8月3日までの締結分)(P63より引用)

「でも、市況が崩れたら顧客は約束を破るのでは?」——メモリ業界を知る人ほどそう思うはずです。過去の長期契約はまさにそうやって紙切れになってきましたから。サンディスクの答えが金融保証(Financial Guarantees)165億ドル(約2.6兆円)です。顧客が契約を履行しない場合に備えた保証で、大半は第三者の金融機関が保有・提供し、うち25億ドルはサンディスクの現金残高に前受けとして入っています。銀行を間に挟んだ「違約金の担保」まで積ませているわけで、従来のメモリ業界の紳士協定とはコミットメントの重さが違います。

Supported by Financial Guaranteesのスライド。金融保証の総額は16.5Bドル。主に第三者金融機関経由で、2.5Bドルは現金残高に。顧客は通常どおり製品代金を支払うと記載
NBMを支える金融保証$16.5B(約2.6兆円)。「顧客が履行義務を果たさない場合に備えて(If Customers Fail to Meet Performance Obligations)」(P64より引用)

粗利率80%は続くのか——研究者目線のリスクと注意点

これらを踏まえた長期方針がこちらです。NBMを主要モデルとしつつ追加契約は「厳選して忍耐強く(Remain Highly Selective and Patient)」、非NBM顧客には市場価格で売る——という二本立て。

NBM Priorities Going Forwardのスライド。1. NBMを卓越した水準で実行する、2. 追加のNBMは厳選して忍耐強く評価する
NBMの今後の優先方針:①契約の確実な実行 ②追加契約は厳選(P66より引用)
Long-Term Sustainable Model Through 2030のスライド。NBMは主要モデルで下限価格でも魅力的な財務、信頼できる数量。非NBMは戦略顧客を優先し数量・価格は市場変動
2030年までの長期モデル。NBMは「下限価格でも魅力的な財務(Attractive financials, even at floor pricing)」(P67より引用)

そして株価を13%押し上げた、2028〜2030年度の長期財務モデルがこの表です。

Long-Term Sustainable Modelの数値表。FY2028〜FY2030の平均で、売上成長率は10%台半ば〜後半、Non-GAAP粗利率約80%、Non-GAAP営業利益率約75%、調整後FCFマージン約50%、資本集約度は売上の1桁%半ば
FY2028〜2030の平均目標:売上成長率10%台半ば〜後半(Mid-to-High Teens)・粗利率約80%・営業利益率約75%・FCFマージン約50%・設備投資は売上の1桁%半ば(Mid-Single Digits)(P68より引用)

売上成長は年10%台半ば〜後半、粗利率約80%、営業利益率約75%、フリーキャッシュフローマージン約50%。しかも設備投資は売上の1桁%半ばで済む——もしこれが実現すれば、メモリ会社というよりソフトウェア会社に近い収益構造です。かつて「粗利30%で御の字」だった業界の人間としては、正直めまいがする数字です。

ここからは研究者・投資家目線での注意点です(個人的見解)。

  • ①長期契約は下り坂で真価が試される——NBMの拘束力(金融保証)は過去の紳士協定より格段に強いですが、本当に効くかどうかは市況が崩れたときに初めて分かります。保証165億ドルは契約総額939億ドルの約18%であり、全額をカバーするものではありません。
  • ②供給が増えれば市況は変わり得る——今の高値の一因は「業界の生産能力3割減+ほぼ100%稼働」という需給です。この利益率を見た競合(サムスン・SK hynix・マイクロン・キオクシア・中国YMTC)が増産に踏み切れば、非NBM部分(FY28でも約1/3)の価格は普通に下がります。中国YMTCの技術力も侮れません。
  • ③需要予測はAI投資の持続が前提——市場規模80兆円もクラウドCAPEX 175兆円も、ハイパースケーラーが投資を続けることが大前提です。フリーキャッシュフロー激減の解説記事で書いたとおり、投資側の体力には既に警戒サインも出ています。
  • ④株価はすでに30倍——良い会社と良い株は別問題です。この長期モデルへの期待はかなりの部分、既に株価に織り込まれていると考えるべきで、目標未達なら失望も大きくなります。実際、株価は連日数%〜10%規模で乱高下しています。

それでも、「市況に振り回される部品屋」だったNANDメーカーが、AIインフラの戦略部品の供給者として長期契約と金融保証で武装する——この構造転換の試み自体が、メモリ業界の歴史でも類を見ない実験であることは間違いありません。同じ構造転換の波は、四日市・北上でウェハを分け合う古巣キオクシア(決算解説)や、HBMで先行するSK hynix(株価解説)にも及んでいます。この実験の行方は、株主でなくても見届ける価値があると思います。

まとめ

サンディスクと表裏一体のキオクシアの動向は決算解説記事を、AI×フラッシュメモリの技術潮流はNVIDIA CMXHBFの解説記事をどうぞ。僕の研究開発者としての経歴は経歴ページをご覧ください。

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