前章では、配当金の仕組みについて解説しました。
ただ、全ての会社が配当を出しているわけではありません。
配当を出す企業と出さない企業、その違いは何なのでしょうか。
この章では、配当を出さない企業について解説していこうと思います。
配当を出す企業と成長を優先する企業の違い
「配当を出しているから良い企業」
というのは、決してそうではありません。
一見して、
- 配当を出す=会社が成長している
という図式が成り立つように思えるかもしれませんが、これは間違っています。
むしろ、相反する部分があると言ってしまっても過言ではありません。
なぜなら、会社が成長するためには、投資が必要だから。
投資をするためには、お金がたくさんいります。
工場を作ったり、人を雇ったり、設備を充実させたりだとか、投資にはたくさんのお金が付いて回るんです。
一方で、配当を出してしまうと、会社が持っているお金がなくなってしまいます。
せっかく会社に利益が出たのに、それを投資家にあげてしまうからです。
配当を出すことで、会社の力が弱まってしまうイメージがあるんです。
一概に、「配当を出さないから悪い企業」だとは言えないということですね。
出資者にとって、配当を出さない企業のメリットってなに?
配当を出す企業の出資者には、配当をもらえるというメリットがあります。
では、配当を出さない企業の出資者にとって、メリットと呼べるものはあるのでしょうか。
一言で言うなら、あります。
企業が配当を出さずに設備へ投資することで、企業として大きくなるのです。
- 企業の価値が上がることで、株価(株主の価値)が上がる
ということです。
個人の意見ですが、僕は配当を出さない企業の方が良いと思っています。
世界の名だたる企業も配当を出していないように、成長に舵を切ることで、会社の伸び代がグンとあがる可能性が高いからです。
世界的な企業も配当を出していない!成長を優先した企業とは
会社を成長させるために、あえて配当を出さない企業もたくさんあるとお伝えしました。
どのような企業が配当を出していないかというと、
- Apple(2012年まで配当を出していなかった)
- amazon(いまだに配当を出していない)
- Google(配当金なし)
といった、世界的に名だたる企業も配当を出していません。
三社に共通して言えることは、配当を出さずに投資にお金を注ぎ込んだということ。
何度も言っていますが、
- 設備
- 人員
などに投資したということですね。
どの企業も数百兆円の企業価値がある会社です。
そのような会社でも、巨大な設備投資をしていって、配当を出す代わりに会社が成長することで「企業価値」というものが上がっていったのです。もふの考え
とくにベンチャーや大きくなりそうな会社は、配当を出すべきではない。
安定しきっていて、「このままでいいや」くらいの会社は配当を出してもいいのかなと思います。
「一長一短」!トヨタを例に出して「配当」を考えてみた
トヨタを例に出してみましょう。
トヨタの決算書を見ると、だいたい30%くらいを配当にまわしています。
なので、1兆円や2兆円の利益のうち、約30%を出資者に還しているということになります。
残った約70%は、投資や内部留保に使っているということですね。
また、配当(株主)には約20%ほどの課税がなされます。
そのため、課税される分を企業側が設備投資にまわし、回り回って複利として還ってくるほうがレバレッジがきくとも言えます。
配当金に関しては「一長一短」という言葉が似合うように思います。
利益に対する配当の割合を「配当指向性」いいます。