この記事は、そんな方に向けて解説します。
債務償還年数とは、銀行が融資先を評価するうえで最も重視してきた指標の一つです。
不動産投資や会社の経営で銀行から融資を受け続けたいときな意識しないといけません。
債務償還年数とは、超簡単に言うと「何年で借金を返せるか?」の指標
債務償還年数 = (借金 - 現金)/(キャッシュフロー)
となっています。
債務償還年数が5年だったら、5年ですべて借金を返すことが可能
というように評価します。
この記事では、様々な銀行から事業性の融資を受けてきた不動産投資家で経営者の私が、債務償還年数の大切さや意味を分かりやすく解説します。
もくじ
債務償還年数の計算方法の解説
債務償還年数の計算方法は、
債務償還年数 = (借金 - 現金)/(キャッシュフロー)
となっています。
1)借金(有利子負債)
すべての借り入れを合計します。
有利子負債 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債
となるのですが、いまある全部の借金と思ってよいでしょう。
2)現金
現金は、手元にある現金をすべて含めます。運転資金を現金に多して計算する計算方法もあります。
計算方法は銀行によるので、ここでは手元の現金のみを考えることにします。
3)キャッシュフロー
キャッシュフローは、年間手元に残る現金となります。
キャッシュフロー = 税引き後利益 + 減価償却
となります。税引き後の利益に、減価償却を足すと簡易的なキャッシュフローになるので、よく使われます。
なぜ減価償却を足すかというと、実際には使われてない経費なので、減価償却の分だけお金が出て行ってないことになり、その分を足して計算するとつじつまが合うようになります。
債務償還年数の意味と計算方法例
債務償還年数の意味
債務償還年数は、どういった意味を持つのかを解説します。
債務償還年数とは、超簡単に言うと「何年で借金を返せるか?」の指標
債務償還年数 = (借金 - 現金)/(キャッシュフロー)
でした!
(借金 - 現金):これは、純粋に借金がどれくらいあるかを見ています。
キャッシュフロー:年間いくら手ものに現金が残るかの指標です。
つまり、債務償還年数は、純粋な借金を、毎年の手残りのお金で何年で支払いきれるかという指標になります。
債務償還年数の計算例
借金が1億円あり、現金が2000万円。キャッシュフローが500万円だったとします。
債務償還年数 = (借金 - 現金)/(キャッシュフロー)
=(10000-2000)/(500)=16年
債務償還年数は16年となります。
毎年500万円ずつ現金がまたっていき、16年たったら8000万円となるので16年で借金をすべて返すことが可能という意味になります!
と考える方がいらっしゃるかもしれません。僕もそう考えていました。
債務償還年数の計算式の中に、返済は含まれていないんです。
そのため、このキャッシュフローの中から銀行に返済すると会計上では評価されます。
ってなってしまいます。
債務償還年数の目安
債務償還年数の目安は10年以内だと、かなり状況がいいと会社と評価されます。
僕の法人の場合だと、借り入れよりも現金のほうが多い決算書になっているので、2019年3月末の決算時では債務償還年数は0年になります(笑)。
もっとレバレッジをかけて借り入れしたほうがいいのですが、堅実に買い進めているのであまり購入できていません。
物件価格が下がってきているので、これから買い進めたいですね。
不動産投資における債務償還年数の重要性!過度な節税に注意
このように、債務償還年数は何年で借金を返済しきれるか?を見る銀行が最も重視している指標の一つです。
不動産投資で融資を受け続けるためには、債務償還年数を意識して短くするように決算書を作っていかないといけません。
って方がいたとします。節税するということは利益を削ることになります。
もしそうすると、分母のキャッシュフロー(利益+減価償却)が悪化します。
節税により債務償還年数が悪化する例
先ほどの例のように、キャッシュフローが500万円出ていたとしましす。
一括償却できる450万円の車を購入し、経費に計上したらキャッシュフローは500万円から50万円になってしまいます。
この時、債務償還年数は、16年から160年になってしまいます!
これは、借金を返すのに160年間かかるくらいの利益しか上げていない
というように銀行から見られてしまうのです。。
このように過度に節税して利益を削る行為は、債務償還年数を長くしてしまうことになり銀行評価を落としてしまうので要注意です。
不動産投資で物件を買い進めてるためには銀行融資が重要です。
不動産を買い進めたいのでしたら、債務償還年数を短くするように適切に利益を出して、しっかり納税をしていくことがとても大切になります。
ただ、あくまで債務償還年数は銀行が会社を評価する1項目でしかないため、気にしすぎて借り入れを控えすぎたり節税しなさすぎるのも問題となるケースがあります。
どれくらいの債務償還年数がよいのかなど、銀行の担当者の方とすり合わせしながらちょうどよいくらいのところを探していくのがお勧めです。
不動産投資で債務償還年数があまり出てこない理由
ここまで債務償還年数がとても大事な指標であることを伝えてきました。
しかし債務償還年数という言葉は、不動産投資であまり聞かない言葉かもしれません。
本などでも書いてあることが少ないと思います。理由は3つあると考えています。
- 概念が難しく、計算方法から意味が理解しにくい
- 債務償還年数を考えなくてもサラリーマンの属性で物件が買えた
- 債務償還年数を考えたら購入できる物件がほとんどない
といったところでしょう。単純に、債務償還年数は何年で借金を返済できるか?の目安なので、意味自体は難しくないのです。しかし、税引き後利益とかキャッシュフローとか減価償却とかがでてくるので、それが意味するところが何なのかが直感的にわかりにくいのだと思います。
2つ目の理由は、2017年頃まではサラリーマンの属性を使ったアパートローン(アパートローンの仕組み)などで、債務償還年数などを評価せずにバンバン物件を購入することができていました。
この記事を書いている2019年現在では、サラリーマンの属性を使った融資が厳しくなってきているので、債務償還年数などの指標がより重要になってくると思います。
3つ目は、市場に出ている物件は債務償還年数や自己資本比率などまともに考えていると購入できないような物件ばかりなのです。なので、あえて書いていないという説です。これは楽待コラムニストの投資侍さんのコラムに書いてあって笑ってしまいました。
面白いのでぜひ見てみてください。
務償還年数は、物件の投資基準として有効なだけでなく、銀行のスコアリングを良好に保ち、継続的に物件を購入していく指標としても超絶重要な基準です。
(問題!)
そんなに大事な基準なのにどうして不動産業者とか不動産コンサルの人は投資するときに教えてくれないの???(´・ω・`)教えてエ○い人!!!
だって債務償還年数なんて計算したらこの世の不動産の99%以上を占めるク○物件が売れなくなるじゃないですかwwww(不動産業者心の声)
債務償還年数の良いところ(=不動産業者にとって不都合なところ)は表面利回りやキャッシュフロー評価と違って人の意思で動かせる範囲が限定的だということなんです。(もちろんゼロではないですけど)
だから悪徳不動産業者の手口は、積算評価だけが出る物件を探して表面利回りとキャッシュフロー評価を弄って三拍子揃った優良物件として捌いて手数料を得ていく、というのが常套手段となっているんです。
【実践大家コラム】債務償還年数を制する者は不動産を制す-投資侍さんより-
債務償還年数について、初心者にわかりやすく解説!まとめ!
債務償還年数は、銀行に何年で返済できるか?
という指標で、銀行の重要な評価項目の一つになっています。
不動産投資で銀行から融資を受け続けるためには、債務償還年数を意識した決算書を作っていくことが大切です。過度な節税を控えて、短い債務償還年数にすることで銀行融資を受けやすくなります。
経営者の方は、債務償還年数をしっかりと理解することがとても大切だと考えています。