不動産投資家の茂風智文です。2014年からサラリーマンをやりながら不動産投資を行っております。2015年に法人を設立し、法人名義でも不動産を購入しており、2018年12月現在3期を終えて4期目です。1期目から黒字を続けており、堅実に不動産賃貸業を行ってきています。
不動産投資を行っていくうちに、不動産投資を個人で行うべきか、法人で行うべきか?という問題に出会います。法人のほうが節税面で有利だとか、拡大しやすいなど、いろいろなことが言われています。
どちらも一長一短あり、どちらでないといけないということはありません。実際、個人で買い進めサラリーマンを脱サラされている不動産投資家さんもいれば、法人1本で買い進めている方や、僕みたいに法人と個人と両方で買い進めている方など、まちまちです。
この記事では、実際に個人と法人で買い進めている不動産投資家が法人と個人のメリットとデメリットをそれぞれくわしく解説します。
Youtubeでも法人化するメリットとデメリットを解説しています
税金に関することが含まれており、理解が間違っている可能性があります。あくまで個人の主観に基づく見解となっています。税理士や税務署に専門家に確認をお願いします。
もくじ
不動産投資で法人化するメリットとデメリット
不動産投資で法人化するメリットデメリットなのですが、大きく差が付くのが2つあります。
- 個人よりも法人のほうが拡大しやすい
- 法人よりも個人のほうがコストが安い
- 法人よりも個人のほうが手間がかからない
- 個人から法人 に不動産を移すと、もう一度税金がかかる
というのになります。しかし、個人なら拡大できないのかというと、そういうことではなく家賃年収1億円くらいまでは個人で買い進めている投資家さんもいますし、節税もうまいことやって税金をかなり抑えている方もいます。(詳しくは解説できないのですが…)
個人と法人でやってきて、いろいろな投資家さんと会話していく中で、どっちでもやり方によってうまくやれるという感じです。
ただし、個人から法人に不動産を移すときは、買ったときと同じ税金がかかります。登録免許税、不動産取得税が必要になるので、かなりの金額になります。
個人で買い進めていって、途中から法人に不動産を移すのは非効率なので、初めによく考えておいたほうが良いです。
不動産投資で法人化~拡大しやすい
間違いなく言えるのは、法人のほうが拡大しやすいです。家賃年収で5000万円や1億円を超える規模を目指したいのなら、法人で買い進めたほうが良いと考えています。個人で買い進めることもできますが、どこかで融資が頭打ちになる可能性が高いです。
逆に言うと、家賃年収が5000万円以下くらいの規模なら、個人でも買い進めることが2017年までは可能でした。サラリーマンの属性に貸してくれる銀行があるので、そういう銀行を使えば個人でもある程度のところまで買い進めることができました。
しかし2018年に入り、サラリーマン向けの不動産投資の融資を絞ってきている銀行が多いです。「サラリーマンには融資しません」という話もよく聞きます。そうなってくると、より法人のほうが買いやすい傾向になってきています。
法人に融資するといっても2パターンあります。
- 個人と資産管理法人と一体とみる銀行(部署)
- 法人として法人だけを見る銀行(部署)
サラリーマンで多いのは、資産管理法人としてサラリーマンの給与と一体としてみる銀行です。僕らサラリーマンが法人で銀行融資を開拓する場合は、こちらの見られ方をする傾向が多いです。部署は個人の資産家向けの部署であったり、ローンセンターとかが一般的です。個人の法人を一体で見られるので、個人の資産表やサラリーマンの年収などの提出を求められます。
もう一つは、完全に法人としてみられる場合です。こちらは、法人として融資を受ける方法があります。こちらはよりハードルが高く、基本的には法人の決算書をメインに審査しています。個人の資産は見られたりしません。
とある専業大家さんと話をしていたとき、融資の時に個人の通帳とか求められたことがないとおっしゃっていました。サラリーマン投資家からするとびっくりなのですが、よくよく考えたらTOYOTAやSonyが融資を受けるとき、社長の資産とか評価されないですよね?(笑)
そういうステージに上がれば、会社の決算書だけで融資の判断をされるようになります。僕はいま、そのはざまといった感じでしょうか。
不動産投資で法人で拡大するためには
法人で拡大するためには、良い決算書が求められます。
- 現金をたくさん持っているか?(現金保有率)
- 資産の中で借金の割合が低いか?(自己資本比率)
- 現金が残る仕組みになっているか(キャッシュフロー)
- 利益をしっかり出せているか(営業利益、経常利益)
- 借金に対して利益が適切に出ているか(債務償還年数)
ここで重要なこととしては、銀行から融資を受けることと、利益を減らす節税は相反する行動となっていることです。節税目的で法人を設立した場合、経費を計上することが多いため、決算書が悪くなります。そうすると、銀行はその法人に対して融資をしにくい状況になります。
拡大をしたい場合は、しっかりと利益を残してしっかりと税金を払っていくスタンスが重要です。これは、家賃年収1億円を超えるような不動産投資家はみんな言っています。法人で拡大していきたい場合は、決算書をしっかり理解した経営者になることが大切ですね。
不動産投資の法人は、株式会社か合同会社かどっちがおすすめ?
法人には2種類あり、株式会社と合同会社があります。
不動産投資家の中では、どっちにするべきかという議論は聞いたことなく、どっちでもいいのでは?って感じです。
- 合同会社のほうが設立費用が安い
- 合同会社のほうが、維持費が安い
- 合同会社は「代表取締役」を名乗れない。
- 合同会社は決算告知義務がない
詳しく知りたい方は、いろいろ調べてみると良いと思います(参考外部サイト:株式会社と合同会社の違いは?(Freee))
個人的には、株式会社を選びました。やはり「合同会社」というのがまだ一般的でなく知られていないです。あと、代表取締役を名乗れないことは大きいです。アップルジャパンや西友などが合同会社であることなど、合同会社だからと言って信頼がないとかそういうことはないのですが、やはり知られていないというのがデメリットかなと。。だったら、株式会社を選んだほうがいいという判断でした。
不動産投資 法人と個人でどちらが節税になる?
これは難しい問題で、総合的に考えるとどっちもどっちな面があります。
- どっちも一長一短
- 個人のほうが最高税率が高い。でもうまく節税して拡大している人がいる。個人は赤字でも融資してくれる銀行がある。
- 法人は税率が35%だけど、節税すると決算書が赤字になり融資が難しく。
- 売却は、5年以上持つなら個人がよい。ただし他の経費と通算できない。法人は損益通算可能
- 法人のお金を個人に移すとき、普通に所得税と住民税がかかるので注意。法人税を引かれた後、個人の所得税と住民税を引かれて受け取ると割に合わない
どちらも一長一短ですし、そして個人でも法人でもいろいろな節税スキームがあふれています。なので、どちらがいいとか悪いとか単純には言えない状況です。その人その人に合った戦略と、税理士さんの戦略にもよるので非常に難しいです。
家賃にかかる税金の違い
個人で不動産を持った場合、家賃には所得税と住民税がかかります。所得税は、サラリーマンの課税所得に家賃収入の課税所得を足した金額の税金がかかります。住民税は10%ですね。
所得税の速算表 課税される所得金額 税率 控除額 195万円以下 5% 0円 195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円 330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円 695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円 900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円 1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円 4,000万円超 45% 4,796,000円 -所得税の税率-国税庁のページより
一方で、法人税の税金はいろんな税金があり、それらをひっくるめて実効税率といっています。今年僕が支払った法人税は、
- 法人市民税
- 法人県民税
- 法人事業税
- 地方法人特別税
- 地方法人税
- 法人税
と、6つもありました。。正直言って、何が何だかわからず、すべて税理士さんに任せていて指示通りに支払っています。さらに課税業者だと消費税の支払いをすればコンプリートのようですw
これらのたくさんある法人税を合計した税率は、800万円までなら23%くらいです。800万円を超える部分に関しては35%くらいになるようです。自治体や復興税率などの制度など、いろいろと変わりそうです。
法人税の税率率
–三反田会計事務所-さんのページより
これから見ると、課税所得が2000万円を超えてくるようだと法人にしたほうが税率が下がります。法人の維持費や税理士費用、個人に給料を出したり扶養控除とかいろいろあるので、総合的に見てどっちが良いのかは個人個人で検討しないといけないです。
物件売却をした時の税金
個人で不動産を売却した場合、5年を超えたら売却益の20%の税金がかかり、5年を超えていない場合は39%の税金がかかります。
個人の不動産売却益
区分 所得税 住民税 長期譲渡所得 15% 5% 短期譲渡所得 30% 9% 国税庁のページより
法人の場合は、家賃と同じ扱いになるので法人税になります。
個人と法人で大きく違うのは、個人は不動産の売却としか損益通算できないのですが、法人は普通の経費と通算できる点です。簡単に言うと、個人の場合は車を買って経費にして不動産の売却益を消すことができません。。
売却に関しては、個人の長期譲渡所得が20%なので、一番税金が低くお得感があります。
法人ごと丸ごと売却するスキーム
法人で不動産を売却して個人にお金を移すと所得税がかかってしまいます。例えば1億円の売却益が出てしまった場合、売却してそのまま個人にお金を移すと55%の税金がかかってしまうので非効率です。
法人の株式を丸ごと売却する方法だと、下部の売却は分離課税で20%となっているので税率的にはお勧めです。
ただ、不動産賃貸業のまだ法人の売買は一般的ではなく、買主を探すのが難しく、自分の連帯保証人をどうするのか、M&A業者の手数料が高いなど、いろいろな問題があり難しいのが現状です。実際にうまく法人を売却されたのは、石渡浩さんが有名ですが、ほかの事例はあまり聞きません。
昨年まで、複数法人を設立して銀行に隠す多法人スキームが増えているので、法人を売却したいという方は多いと思います。でも、まだいろいろとハードルが高く、法人の売却は一般的ではありません。
不動産投資で法人から個人に資産を移す場合の注意
当初、僕はこのことに気が付いていなかったので、解説したいと思います。
節税目的で法人に資産を貯めていった場合、最後にどうするのかを考えておかないといけません。先ほど簡単に触れましたが、法人から個人に資産を移すときに所得税と住民税がかかってしまいます。
どうやって個人に資産を移すのか、よく考えておかないといけないでしょう。一般的には、給与で徐々に移したり、退職金で移すことが一般的です。そのほかにも、いろいろな方法があるのですがあんまり公にはしにくいような内容ばかりで難しいです。
専門の税理士さんに相談するのが良いでしょう。
法人化することでの手間とコストがかかる
法人化することで、法人の設立費用が掛かります。また、税金の関係が難しいため、税理士さんに依頼する場合が多く、その場合は税理士費用も掛かります。
株式会社の場合は決算告知が必要であったり、取締役会を行ったり、いろいろとやらないといけないことがあります。大した手間がかからなことのほうが多いですが、手間がよりかかることは事実です。
会社をたたむ場合もお金が必要となり、簡単にはやめることもできません。赤字でも税金を支払わないといけないので、ただ単に法人を持っているだけでもお金がどんどん出て行っていまいます。
気軽に法人を設立すると、ちょっとめんどくさいことになる可能性もあり注意が必要です。
不動産の税金のことは、税理士さんに相談しよう
不動産投資の税金を検討する場合は、税金の専門家の税理士さんに問い合わせするのが一番です。本当に節税になるかどうか含めて相談に乗ってくれます。
税理士ドットコムさんは、12年の信頼の実績があり、信頼できる税理士さんを紹介してくれるようです。こういうサイトでお願いしてもいいと思います。
不動産投資で個人と法人のメリットとデメリットのまとめ
不動産投資で個人がいいのか法人がいいのかについてまとめてきました。
どちらかにしないと致命的な問題があるということではなく、どちらでも拡大されて成功されている大家さんがたくさんいます。
ここでのまとめはあくまで僕の主観的な感覚なので、
メリットとデメリットを比較して、どちらがよいのか?考え、税理士さんに相談してみたりして進めるのがいいと思います。
Youtubeでも法人化するメリットとデメリットを解説しています