もふもふ不動産のもふです。僕は不動産投資家でTwitterやYouTubeやブログなどで資産運用や不動産投資について解説しています。
この記事ではこんな疑問にお答えしていきます。
内部留保が増えると、企業がお金をため込んで賃金を支払わないとか、投資をしないでため込んでいるようなイメージがありませんか?
実はこれ、全くの勘違いなのです。報道やニュースの記者ですら間違えているので仕方がないところもあるのですが、内部留保が増えること自体は全く悪いことではありません。
- 内部留保とは、利益剰余金のこと
- 利益剰余金は過去の会社の利益の積み重ね
- 利益の積み重ねなので、内部留保が増えるのは良いこと
- 内部留保が増えつづければ給料が上げられるわけではない
- 内部留保が増えているということは、投資を抑制しているわけではない
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もくじ
内部留保とな何か?利益剰余金とは?
内部留保が増えると悪いことのように報道されがちです。
財務省が二日に発表した二〇一八年度の法人企業統計(金融・保険業を除く)は、企業が蓄えた内部留保に当たる「利益剰余金」が前年度比3・7%増の四百六十三兆一千三百八億円と、七年連続で過去最高を更新した。一方、働く人たちの賃金は伸び悩み、企業の利益とは対照的だった。専門家は、景気の不透明感から、もうけを賃金に振り向けない現状が続くとみる。 (大島宏一郎)-東京新聞 18年度 内部留保7年連続最高の463兆円 利益、賃金反映遠く-
この記事を見ると、内部留保をため込んで、賃金を上げてないというような主張をされています。
実は、内部留保は利益剰余金のことで、利益剰余金が増えるということは株式会社として正常なことなのです。
内部留保とは利益剰余金のこと
内部留保が利益剰余金なのでしたら、利益剰余金とは何なのでしょうか?
簡単に言うと、会社の利益を毎年積み上げたものが利益剰余金になります。
利益剰余金とは、企業が生み出した利益を積み立てたお金で、会社内部に蓄積されているものを指します。企業会計において貸借対照表の純資産の部に記載される、株主資本の一部です。利益剰余金は利益準備金とその他利益剰余金で構成されます。-SMBC日興証券–
たとえば、下記の図の場合は当期純利益が2億円でています。この利益が、利益剰余金2億円として決算書のB/S(バランスシート。貸借対照表)に積みあがるのです。
「内部留保をださないように、法人税を上げろ!」という方もいますが、内部留保をたくさん積み上げている会社は、それだけ法人税も納税しているのです。
黒字が出れば利益剰余金は毎年積み上げる
もし、毎年10億円の売り上げを上げ、当期純利益が2億円を3年続けたらどうなるでしょうか?
- 2016年 2億円の純利益 内部留保2億円
- 2017年 2億円の純利益 内部留保4億円
- 2018年 2億円の純利益 内部留保6憶円
…といった感じで、同じ利益が出続けていますが、利益剰余金(内部留保)は増え続けているのです。
売り上げも利益も増えていなく、現状維持です。現状維持でも利益剰余金が増え続けています。
なので、企業が黒字を続ければ普通に利益剰余金が増えていくのです。利益剰余金が増えていくのは、企業が安定して黒字を出せているからになりません。悪いことではないのです。
また、売り上げも利益も現状維持しているとしたら、昇給による人件費を上げるのも難しい企業もあるでしょう。
なので、内部留保が増えていることで、「内部留保をため込んでいる」というのはおかしいのです。
内部留保も投資されている!
と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
実は、内部留保(利益剰余金)も投資されているのです。
そうなると、内部留保に対するイメージが変わってくるのではないでしょうか?
このことをわかりやすく解説していきます。
内部留保(利益剰余金)が投資されている仕組み
例えば、経常利益が2億円出ているとします。
そのまま現金で2億円を持っていれば、内部留保は2億円となります。
仮に、その2億円で工場を建てたとしましょう。簡単に考えるため、土地が1億円、建物が1億円だったとします。
この時、内部留保はどうなるのでしょうか?
じつは、内部留保は2億円のままほとんど変わらないのです。現金の2億円が、2億円分の固定資産に変わったとみるので、利益は2億円のままなのです。
厳密にいうと、建物の減価償却の分だけ利益が減ります。仮に建物を20年で償却するとすると、1年間で償却できる金額は500万円です。なので、
利益 = 2億円 - 500万円 =1.95億円
となります(厳密には法人税など変わってくるので変わります)。ちなみに土地は減価償却されないので、1億円の資産のままB/Sに記載されて損失にはなりません。
一般的には利益が2億円出たとしたら、現金が2億円あるようにイメージされてしまう方が多いです。しかし実際は、利益の2億円は、土地であったり建物で合ったり、機械であったり様々な形に変えて資産として残ります。その資産は利益のままです。劣化した分の減価償却のみが損失となります。。
内部留保を貯めるな!社員に還元しろ!という勘違い
ここまで、内部留保は会社の利益を積み上げたものであるということと、利益は土地や工場などの資産など様々な形に変えているということを解説しました。
企業が黒字を出しつつ成長し規模を拡大していくことは、内部留保を貯めることと近いです。内部留保が0という会社は、利益を全く出させない会社であることが多いです(Amazonのように、利益をすべて投資資する会社もあるので一概にいうことはできないのですが)。
「たまった内部留保を、給料として支払え!」
という方がいますが、これこそ内部留保が現金であるという間違った認識を持たれている方です。
内部留保は土地や工場や機械や株など、様々なものに形を変えて企業の資産として計上されています。内部留保から給料を増やせというのは、これらの資産を売り払って給料を払えというようなことです(笑)
内部留保では社員にお金を分配していないかどうか議論できない
私自身、企業が不当にお金をためて、従業員に還元しないのは良いこととは思っていません。
優秀な人材には成果に見合った報酬を払うべきだと考えています。特に国際的な競争力が高い人材が、低い給料で働かせているので、ガンガン外資系企業に引き抜かれています。
ここで言いたいのは、
内部留保の積み上がりだけを見ても、企業がお金をため込んでいるかどうか判断できない
ということです。毎度、内部留保の積み上がりだけを見て、「企業がお金をため込んでいる」という意味のない議論が報道されているので、まずはその認識を持ってほしいなと考えています。
内部留保とは何か?まとめ
ここまで内部留保についてまとめてきました。
内部留保は利益剰余金のことで、利益剰余金は会社の黒字を積み重ねたものでした。
利益剰余金とは、
- 内部留保とは、利益剰余金のこと
- 利益剰余金は過去の会社の利益の積み重ね
- 利益の積み重ねなので、内部留保が増えるのは良いこと
- 内部留保が増えつづければ給料が上げられるわけではない
- 内部留保が増えているということは、投資を抑制しているわけではない
です。企業がお金をため込んで賃金に反映しないのは悪いことなのですが、内部留保だけでは何も議論できないので注意が必要です。内部留保が増えているからといって、企業を批判しても的を得ていなので、しっかり分析して議論することが大切です。
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