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2019年9月6日にSBIホールディングスが島根銀行に出資するという情報が流れ、島根銀行の株が603円から703円のストップ高まで上昇。その後、売買停止になりました。
銀行業界では、長らく続く低金利によって収益性が著しく悪化しています。預金者の金利はゼロ近づいたため、住宅ローンや企業融資の金利も低金利となり、収益が悪化している状況です。
その打開策として、RPA(Robotic Process Automation)による自動化や、人工知能を融資審査に活用したりなどで効率化を図っています(RPAとは、パソコンを人の代わりに自動で動かすソフトウェア)。自動化によって人が不要となるので、リストラが加速します。。
2017年末にメガバンク3行で32000人ものリストラが発表されて話題となりました(参考:Business Jornal)。
- みずほ銀行 19000人
- 三菱UFJ銀行 9500人
- 三井住友銀行 4000人
メガバンクですら厳しい状況なので、地方銀行はより厳しい状況にあるでしょう。過疎化や高齢化が進み、融資先の企業も減ってきている中、島根銀行が生き抜く先を選んだのは、ネット証券会社やネットバンクの最大手のSBIホールディングスとの資本提携でした。
この記事では、SBIホールディングスが島根銀行に出資して業務提携したニュースを、経済の初心者にもわかりやすく解説しています。
もくじ
島根銀行ってどんな銀行なのか?
島根銀行は、島根県と鳥取県を29の支店を持っている銀行です。東証1部上場しており、社員は400人弱。時価総額が30億円くらいでした。
2017年には60億円もかけて本社ビルを建築しました。しかしその後も業績は低迷。
しかし、過疎化や高齢化が進み、業績は悪化。地方銀行の再編が進んでいる昨今、島根銀行も苦境に立たされつつあります。
当期純利益は、どんどん減少し
- 2018年 6.3億円
- 2019年 3.6億円
- 2020年 -23.8億円(予想)
の下方修正が2019年9月6日に発表されました。
2020年は23億円以上の赤字に転落
この赤字の転落の理由は2点あります。
中期経営計画において、コア業務純益の早期黒字化を実現するため、営業体制のスリム化や各種経費の徹
底した見直しなど営業コストの最適化を果敢に実行することに加え、SBI グループとの資本業務提携効果を
極大化するため、SBI グループとの資本業務提携を機に、抜本的な収益構造の転換に向けた前向きな損失を
計上する見込みです。(1)市場部門の有価証券ポートフォリオ再構築に伴う損失(約 17 億円)
金融市場における不透明感が高まる中、抜本的な収益構造の転換に向け、市場部門において過去に投資
し評価損を抱える受益証券・株式等を売却するとともに、SBI グループの資産運用ノウハウやグローバル
なネットワークから得られるファンド情報等の活用によって有価証券ポートフォリオを再構築致します。
なお、評価損を抱える株式・受益証券等の処分による損失は株式等売却損又は国債等債券償還損として
計上する見込みです。(2)店舗再編に伴う固定資産の減損損失(約 2 億円)
営業店毎のコア業務純益の改善を柱とした、同一エリア内複数店舗のスリム化、無人化店舗の完全撤退
および昼休業導入による出張所等人員の削減といった店舗再編策を 2019 年 12 月頃実施(予定)すること
としており、これらに伴う閉鎖予定店舗等の固定資産の減損損失を特別損失として計上する見込みです。
なお、具体的な店舗再編策については、後日お知らせ致します。 -島根銀行のプレスリリースよりー
簡単に言うと、1つ目は資産運用していたけど含み損がでていたと。。
2つ目は、店舗再編で店舗を閉じるときの閉店費用のようなものです。。
今まで株主に隠していたけど、「SBIホールディングスと提携するタイミングで、マイナスだったのをぶっちゃけるよ」って言っているように見えますね。。17億円もの含み損を株主にずっと隠していたということなのでしょうか?
島根銀行が第三者割当増資し、SBIホールディングス出資
第三者割当増資って聞きなれないと思いますが、わかりやすく解説します!
まず、島根銀行は株式会社なので株を557万株発行していました。赤字で債務超過になりそうだったので、誰かに資本(お金)を入れてもらう必要があったのです。
そのお金を出してもらうことを出資といいます。第三者に出資してもらい、その出資の見返りに株を新規に発行し、株主になってもらうことを「第三者割当増資」といいます。
既存の株主は、発行株数が増えるので嫌がり株価が下がるケースもありますし、出資する会社が大きいと会社の成長性に期待して株価が上がる可能性もあります。今回の島根銀行のケースでは後者で、SBIが経営参画する期待から、株価が600円から700円に上昇しました。
島根銀行とSBIホールディングスの企業規模
SBIホールディングスは時価総額が5000億円もあり、島根銀行の約150倍以上もあります。
また住信SBI銀行の預金残高は5兆円にもなり、島根銀行の15倍の規模。さらにSBI証券を運営しており、島根銀行に対してかなりの規模と技術力の差があります。この提携で、島根銀行は大きな恩恵を受けると市場は予想しています。
SBIホールディングスの第三者割当増資の仕組み
もともと、島根銀行は557万株を発行しており、そこから新たに
- 普通株:283万株@549円
- 優先株:94万株@1000円
を新規に発行し、それを約25億円でSBIホールディングスに買い取ってもらう形を取りました(これがまさに第三者割当増資)。
この出資によって、SBIホールディングスは島根銀行の株を議決権ベースで33%保有する筆頭株主になります。
優先株って何?
優先株とは、議決権(経営を決定する権利がない)がない株ですが、配当金がたくさんもらえたりするような特別な条件を持った株です(優先株のWiki参照)。企業再建の時などに発行されますが、発行した会社は配当の負担が大きくなるので、会社が債券できたタイミングで買い戻すことがよくあります(参考:シャープ、優先株をすべて買い戻しへ。経営再建が事実上完了)。
SBIホールディングスとの提携によるメリットとは?
SBIホールディングスは、ネット証券会社の最大手のSBI証券や、ネットバンクトップの住信SBI銀行などを運営しています。
ネットを駆使した証券会社の運営や、ネット銀行の先駆者でもあり、豊富な経験と知識と技術を有する大企業です。
住信SBI銀行の預金残高は5兆円にも上り、島根銀行の預金残高3636億円の15倍にも上る規模を誇っています。
この大企業が島根銀行に出資して、経営者を送り込み抜本的な改革を行うとしたらどうなるのか?非常にワクワクしてきませんか?
地方銀行とネット銀行との提携と融合がどのような進化を遂げるのか?非常に興味深いです。
島根銀行とSBIホールディングスとの提携メリット
島根銀行のプレスリリースによると、
- 当行のお客さまに対する SBI グループの 幅広い金融商品・サービスの提供
- SBI グループの資産運用ノウハウやグローバルなネットワークから得られるファンド情報等の活用による、当行の資金運用の高度化
- SBI グループならびに SBI グループ出資先企業等が有するテクノロジー等の活用を通じた、当行の顧客利便性の拡充および営業コストの最適化
- SBI グループ等における内外資金需要への当行対応
-島根銀行のプレスリリースより-
とのシナジーが生まれると書かれています。
地方銀行の体力や資金では、高度なセキュリティーやIT技術が求められるネットバンクのインフラやネット証券のインフラを整備するのは不可能でしょう。実績のあるSBIホールディングスとの提携は、素晴らしい提携だと思いました。
ネット業界で金融や証券や保険を立ち上げてきた実績をもとに、地方銀行を立て直せるのかは興味深いです。
島根銀行にSBIホールディングスが出資し業務提携!
ここまで島根銀行にSBIホールディングスが出資するというニュースを解説してきました。
メガバンクでもリストラのあらしが吹き荒れる中、地方銀行がそのままの業態で生き残ることは容易ではありません。ネットに強いSBIホールディングスとの提携は、そんな厳しい中でもなんとか立て直すことができるのではないのか?という淡い期待を見せてくれます。
もちろん楽な道のりではないのでしょうが、島根銀行とSBIホールディングスとの提携、今後がとても楽しみな提携です。
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