不動産投資家のもふです。
超有名サイトGigazineの編集長の保有する倉庫がある日突然ショベルカーで破壊されたという恐ろしい事件が記事になりました(記事:ある日突然自分の建物を他人がショベルカーで破壊しても「建造物損壊」にはならないのか?)。
このショッキングな事件について、不動産投資家の目線で中立な立場から解説していきます。
まとめると、
- Gigazine編集長が保有する倉庫がショベルカーで破壊される
- 地主はすでに倉庫返却済みと主張
- 土地は地主が保有。建物はGigazineが保有(登記済み)
- 建物の火災保険、固定資産税はGigazine編集長が支払っている。
- 借地料を支払っていない
- 倉庫を破壊しても故意でないので建造物破損罪には当たらない
- 建物を更地にして、建物損失登記をすれば違法な破壊であっても建物の登記を消滅可能
- 地主とGigazineが言っていることが食い違っている
- 契約の書類などはなく、今後はもめそうな予感
といった状況です。
Giagazin側からの主張だと、いきなり建物を破壊されても罪に問えず、逮捕することもできないということや、建物を破壊した後に登記したら建物の登記が消えてしまうということは、かなり衝撃的な情報でした。
地主側からの主張だと、地代をもらっていない返還された建物を壊そうとしたら、Giagazinに自分のものだと占有されて困っていると取れます。
お互いの主張が真っ向から対立しているので、警察も判断できず民事不介入というのは仕方がないと思います。
この記事では、Gigazine編集長の倉庫が破壊された経緯や状況などをわかりやすく解説していきます。
Youtubeでも解説しています。
もくじ
Gigazine編集長の倉庫がショベルカーで破壊される!
2019年2月16日、Gigazine編集長(以後編集長)がGigazine旧本社に荷物を取りに行ったところ、偶然、旧本社の前にある編集長の倉庫が破壊されている現場に出くわしたそうです。
その場でやめるように工事業者に行ってもやめてくれず、警察を呼んでようやく止めてくれた模様。
そこで地主さんの主張
- 「この土地は自分の持ち物である」
- 「この建物は自分の持ち物である」
- 「弁護士にそう言われている」
- 「お前のものではない」
- 「一体何が目的だ、言え」
- 「返してもらった」
- 「私はあの家を返してもらった」
- 「もともとはおじいさん(=編集長の祖父)に貸したのであって、この人(=編集長)のことは一切知らない」
とのことです。
Gigazine編集長の倉庫破壊の概要
P社さんと地主さんとの関係としては、買主が土地を買いたいとのことで、P社に仲介を依頼したのが始まりとのこと。
地主さんは建物を返してもらったと主張しているので、それを信じて買主が建物を壊す手配を解体業者にしたとのこと。
仲介会社は地主さんと媒介契約を結んでいるだけとのこと。
地主さんは物件を返してもらっていると主張しているので、Gigazine編集長の主張と食い違っているのでかなり問題はこじれそうですね。
建造物等損壊罪には問えなさそう
自分の建物を破壊された場合、建造物等損壊罪に問えないか警察に相談したされたそうです。
- 刑法第260条
- 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。(Wikipedia)
警察署によると、故意性がないので建造物損壊罪には当たらないとのこと。。
・建造物損壊罪の「建造物損壊」とは「自動車でビルに突っ込んでくる」「建物を爆弾で爆破する」「壁面にスプレーで落書きする」ぐらいの「故意性(=わざとやっている)」が必要
・自分の土地の上にある建物を「返してもらった」と地主は思い込んで破壊しているので「故意性」がない
Gigazineより
これはかなり衝撃的ですね。。
間違って自分の建物を破壊されたとしても、故意性がないと罪に問えないのでしょうか…?
なんか恐ろしすぎます。
建物滅失登記で権利を奪える
建物の保有者がわからない場合、土地の所有者が法務局に「所有者が確実にいないので登記を消してください」と申し出ると、法務局の職権で建物の登記を消滅させることが可能なようです。(参考:建物滅失登記の「申出」 | 姫路の司法書士西川英彰の日常)
また、Gigazineさんによると、
編集長「……つまり、ここに私が突然ショベルカーで押しかけて、法務局の建物を破壊し、その『滅失登記の申出』を行うと、登記簿の名義を書き換えることが可能だ、ということですか?」
法務局「現地の状況を確認しに行き、確かに何の建物もないとなれば、登記官の職権で、そういうことになりますね。もちろん登記簿に記載されている住所へ郵送で連絡するので、登記自体をその時点で阻止することは可能です」
編集長「壊される前、つまり事前に破壊・解体を止める法的な方法はありますか?」
法務局「ありません」
編集長「つまり、警察に連絡しても、その場では解体を業者はやめてくれるが、警察がいなくなれば再び作業を再開することはでき、それを止める方法はない?」
法務局「ありません……」Gizazineより
これはかなり恐ろしいことです。
知らないうちに建物を破壊されて、それで滅失登記されたらなすすべがないということでしょう…。
本当にこんなことがまかり通っていいのでしょうか?かなり信じられませんが…。恐ろしすぎます。
この手法を使えば、
- 建物を強制的に破壊。罪には問われない
- 建物を滅失登記すれば建物の謄本は消える
- 地上げ完了!
といった、超やばいスキームも可能なのでしょうか?
今回、そこまで計画的に事項されているのかどうかわかりませんが、この流れからすれば普通に実行可能なような気がします。
建物の保有者は、裁判で争わないといけないので、弁護士費用がないような弱者であれば泣き寝入りしないといけないかもしれません。
それも、シャベルカーでいきなり建物をぶっ壊してくるような業者に立ち向かえるような人は、なかなかいないでしょう。。ヤバい系の人たちだと思って、何もできない可能性も十分にあります。
本当に恐ろしいことです。
話し合いがもたれたけど、そのあともいきなり破壊!
2/22にP社とGigazine編集長の間で話し合いが持たれたそうです。
そこで、地主さんの主張とGigazine編集長の意見を伝え、それぞれ意見が食い違っていることを確認しています。
さらに警察に行き被害届を提出。刑事事件として扱ってほしいと要望を伝えています。
倉庫にはGigazineの保有であることを示す紙や謄本を張り付けておいたそうですが、何者かにすぐにはがされたそうです。。
話し合いから1か月後の3/28に、さらに破壊される
さらに話し合いの1か月後に、さらに破壊されているところに遭遇!
土地を買ったというN社が破壊していたそうです。
- Yさんから土地を買った
- アスファルトをはがす作業をしていて「誤って」少し壊してしまった
- 「N社」の弁護士から西淀川警察に連絡させる
- 編集長と直接話す気は無い
- 編集長の顧問弁護士から警察へ連絡させてくれ
とのこと…ヤバすぎですね…。恐ろしすぎます。
土地の名義を確認したそうですが、土地の名義はまだ変わっていなかったとのことです。
このような同様の件があれば、Gigazineさんまで情報を提供してほしいとのことです!
続・ある日突然自分の建物を他人がショベルカーで破壊しても「建造物損壊」にはならないのか?
3/31に続編の記事がUPされました(続・ある日突然自分の建物を他人がショベルカーで破壊しても「建造物損壊」にはならないのか?)
記事によると、
- 3/31に「明日4/1に解体工事をする」と別会社が通達
- 相手は不明。連絡先も不明
- 警察に電話しても、対応不可能。
- 倉庫に釣るしていた所有者や謄本が盗まれているのを監視カメラが撮影していた
- 警察によると、誰でも取れる状態なら窃盗ではない。
- 当日、110番するしか方法がない
とのこと…。強制的に壊される場合、止めようがないというのは衝撃的。
さらに、中に所有を示す紙や謄本を張ってあるのを勝手にはがしても窃盗にならないというのも衝撃。
「簡単に取れる状態のものをとっても犯罪でない」ってすごい論理で、それを警察が言うとは…。この論理が許されるのなら、傘置き場の傘をパクっても罪にならない気がする。
地主サイドから見たGigazineの倉庫破壊問題
ここまでの主張はGigazineさんの記事の情報でした。
こういうもめごとは片側の主張だけを信じてしまうのは危険なので、相手側から見た見解も紹介してみたいと思います。
主要な情報はTwitterや2chくらいしかなく、信憑性の面で不安もありますが紹介します。
Gigazine編集長のおじいさんと地主さんとでもめていた
調べた結果、Gigazine編集長のおじいさんともめていたという情報があります。
お母さんのブログが紹介されています。
「この土地は永遠に俺のものだ。」と言いながらこの世を去ったのである。
GIGAZINEの倉庫の件。お母さんのブログより。https://t.co/yDqXEc3FIG pic.twitter.com/ERKPSlhksv
— ITボーイ@セミリタイア (@itboysemi) March 30, 2019
地主さんと賃借人のお爺さんは、かなりもめていたようですね。。
だからといって、いきなり破壊してはいけないとは思うのですが…。
倉庫として使っていなそう
倉庫として使ってはいないように見えます。
使用実態がなく、ただ登記されていただけなような気がします。
(だからと言って破壊していいのか…?という問題はありますね。)
借地料を支払ってなく、また借地契約をしていない
地主さん側の主張だと、借地契約が終了して地代も支払ってもらってないとのこと。
建物も返還済みなので、地主さん側から見れば、前に借りていた人が勝手に権利を主張して占有して騒ぎ立てている状態に見えるでしょう。さらに、Gigazineのメディアを使って関係会社の実名を出し反社会的勢力と名指しで攻撃しているので、地主さん側の主張が正しいならGigazine側が無茶苦茶をやっていることになります。
相続した時に借地権についてはどうなるのか調べたところ、借地権の窓口さんや相続x不動産の総合サポートさんよると、
- 相続した場合、建物の名義を変更する必要がある
- 地主さんの許可は不要。
- 借地権の名義変更は必要ない
- 借地権は引き継がれ、再契約も不要
- のちのちトラブルになる可能性があるため、口約束ではなく相続合意書などの覚書を用意しておくとよい
とのことでした。
パワーエステートからの反論
一部のインターネットメディアによる報道につきまして
2019年3月29日、一部インターネットメディアにおきまして、当社が「『滅失登記の申出』を悪用しようとしている脱法的な地上げ行為」に加担しているかのような記事が掲載されており、当該記事は他メディア等にも取り上げられております。しかし、当社が「脱法的な地上げ行為」に加担しているという事実はありません。当該記事で言及されている建物は、当時の地主が借地契約の終了に伴い建物所有者から引渡しを受け、その後10年以上にわたって誰からも地代を受領せずに地主自ら使用してきたものです。
個別の紛争について公にコメントすることは本意ではありませんが、当該記事が掲載された直後から、当社には無言電話などの嫌がらせが相次ぎ、業務に重大な支障が出ておりますので、当時の地主の許可を得たうえで、最低限の事情を説明させていただきます。これ以上のコメントは差し控えさせていただきますので、ご了承ください。
なお、一部インターネットメディアの報道は、紛争と利害関係のない第三者により書かれた記事ではなく、紛争の当事者の一方的な言い分にすぎないことをご理解いただきたく存じます。-パワーエステートより–
地主さん側からの反論は、すでに借地契約が終了して地代ももらっていなく、自分自身で使ってきたとあります。
地主さん側から見たら、借地契約が終了しているのに所有権を主張して占有しているように見えますね。。
この問題、かなり根が深く簡単には解決しそうにありません。
Gigazine編集長の倉庫がショベルカーで破壊される!まとめ
ここまで、Gigazine編集長の意見と、地主さんから見た場合の状況を推測ベースでまとめてきました。
いずれにせよ事実として
- Gigazineは借地契約がなく地代を支払わずに所有権を主張
- 地主は建物の登記を抹消せずに放置
というお互いに落ち度がある状態です。実際に口頭でどのようなやり取りがあったのかは謎なのですが、法廷などで争っていくしかないのではないかと思いました。
Gigazine編集長の意見と、地主さんの意見が真っ向から対立しているのでどちらが正しいのかは裁判などで争われることになると思いますが、今後の動向に注目ですね。。
それにしてもすさまじい事件です。
不動産投資講座をやっています!
不動産投資の講座をやっているので、不動産投資に興味があればぜひ見てみてください。
YoutubeでのGigazine倉庫破壊問題の解説
Youtubeでも解説しています
10年以上地代払っていませんよ。経営も傾き、お金目的の犯行では?と考えます。