この記事ではそんな疑問にお答えしています。
普段、何か物を買う時に消費税を支払っています。100円のものを買った場合、消費税が10%なら10円として消費税を払っていますよね。
この消費税ですが、個人で消費するときと事業者として購入するときで扱いが変わったりして、なかなか難しいです。この記事では、消費税の概念や、どうやって消費税が納税されているのかなどの仕組みをわかりやすく解説していきます。
Youtubeでも解説しています。
もくじ
消費税の仕組みとは?
普段買い物しているときに消費税を払っているので、買い物をするときに消費税がかかるイメージはできていると思います。
一方で、事業者にとっての消費税はちょっと違う扱いがされており、
収める消費税 = 預かった消費税 - 支払った消費税
という扱いがされています。これはなかなか複雑でわかりにくいので、簡単な例を出して解説します。
消費税が支払われる流れ(課税事業者の場合)
一番簡単な例として、ペンギンさんが鉛筆を1本100円で買った場合を考えてみましょう。消費税は10%として10円かかるので、110円をお店に支払います。お店は10円を消費税として預かるのです。
10円の消費税を預かっているので、このお店は消費税10円を税務署に納めます。
僕ら一般消費者が支払った消費税は、税務署に流れているのですね。
消費税が支払われる流れ(免税事業者の場合)
実は、事業者には消費税を支払わないといけない事業者と、消費税を支払わないでよい事業者の2つあります。
- 課税事業者(消費税を納める)
- 免税事業者(消費税を納めないでよい)
年間の課税売上が1000万円を超えたら、2年後に課税業者にならないといけないなどのルールがあります。一方で売り上げが1000万円を下回っている小さな会社は、消費税を支払わなくてよいと免税の優遇をされているのです。
先ほどの例でペンギンさんが鉛筆を買って消費税を10円支払ったとしました。もし免税事業者から鉛筆を買ったとしたら、免税事業者は預かった消費税を税務署に支払う必要はないのです。
なんと、消費税をそのままもらうことができます。
免税事業者にとって消費税は、そのまま売り上げが増えるといううれしい税金だったのです。消費税導入の時、この免税の恩恵を受けられるので導入の反対が和らいだという話もあります。
ちょっとずるいと思いますよね。でもこれが消費税の仕組みで当たり前のことなのです。しかし、この消費税を税務署に納めないところを認めないようにしようとするため、インボイス制度を導入する流れがあります。後ほど説明します。
仕入れを考えた場合、消費税はどうなるのか?
さきほどは仕入れを考えていませんでしたが、実際は鉛筆を仕入れているはずです。
例えば、鉛筆メーカーから1本10円で仕入れたとしましょう。この場合、消費税は10%の1円がかかります。そして100円で鉛筆を売って10円の消費税を預かりました。
復習になりますが、事業者の納める消費税は、
収める消費税 = 預かった消費税 - 支払った消費税
でした。この場合、
- 預かった消費税…10円
- 支払った消費税… 1円
ということで、10円ー1円の9円を消費税として税務署に収めることになります。
一方で鉛筆メーカーは、お店から預かった1円を消費税として税務署に納めます。
このように、ペンギンさんが鉛筆を買って支払った10円の消費税は、お店が9円、鉛筆メーカーが1円を納めるという形で納税されて行きます。
消費税の還付~輸出している場合
輸出には消費税がかからないルールになっています。輸出企業の場合、消費税の預かり金額より、消費税の支払いが多くなることが多く、その場合消費税が税務署から戻ってきます。このことを消費税の還付といいます。
たとえばアメリカに鉛筆1本を100円で輸出したとしましょう。日本国内だったら消費税10円がかかるのですが、輸出には消費税がかからないので10円を預かれないようになります。
一方で、鉛筆メーカーに1円の消費税を払っているので、
- 預かった消費税…0円
- 支払った消費税…1円
となります。消費税は、
収める消費税 = 預かった消費税 - 支払った消費税
でしたよね?なので、支払った消費税のほうが多いので、1円の消費税が税務署からもらえるのです(消費税還付と呼ぶ)。
一見すると消費税をもらえてずるいように思うかもしれませんが、鉛筆メーカーに支払った消費税が返ってきているだけなので、特に得しているというわけではありません。
このことがややこしいので、よく誤解されています。
例えば全商連のニュースでトヨタが消費税でぼろ儲けしているとか、横領しているとか記事になっています。また消費税を理解していない人がこれを信じてトヨタが悪質な脱税をしているように勘違いしている方もいます。
不動産投資での消費税還付の仕組み
不動産投資で消費税を還付させる方法が行われてきています。このスキームも、消費税の仕組みを理解していれば理解しやすいです。
不動産の建物は消費税がかかります。例えば1億円の建物を購入した場合、1000万円の消費税がかかります。1000万円の消費税を支払っていることになります。
一方で、住宅の家賃は非課税なので消費税を預かっていません。このゆがみに目を付け、うまく消費税を還付する仕組みが流行っています。
金の売買を無理やりして課税業者になったり、あとは課税売上比率を3年間50%以上にしたりなど、かなり複雑なのですが…うまいことを行うと消費税を還付できます。
不動産を売却した業者が課税業者でなければ、税務署に1000万円の消費税を納めなくてもよいので、税務署は消費税を1000万円支払わなければならず、負担がとても大きくなります。。
このことから、ずいぶん前から不動産投資の消費税還付は目を付けられていて、この方法をふさごうと法律が改正されて行っていますが、さらにその穴を抜けるようなスキームが開発されている状況です。2020年からは消費税還付がさらに難しくなるだろうといわれていますが、どうなるのか注視したいところです。
トヨタは消費税で儲けていない。消費税還付の勘違い
トヨタが消費税還付で儲けていると報道されていますが、先ほどの説明を見ていただければわかるように消費税還付は支払った消費税を返してもらうだけなので、利益になるわけではありません。
このことを理解していないマスコミがミスリードし、それを信じる人々がたくさん出てしまいました。。
この記事が間違っていることは、何人も記事を書いているので紹介しておきます。
消費税のインボイス制度の導入
消費税増税の陰でひっそりとインボイス制度の導入が予告されました。2023年10月からインボイス制度というものが始まります。国税庁のパンフレットを見てもよくわからないのですが、簡単に言うと課税売上1000万円以下の免税事業者から消費税を集めるための仕組みのようなものです。
もともと免税事業者は預かった消費税を税務署に収める必要はなく、そのまま利益として儲けになっていました。本来なら消費税として税務署に収められるべき消費税を、確実に刈り取りに来たというような制度です。
免税事業者にとってはとても大きな痛手となり、売り上げが10%も下がるようになります。本来もらえない分をもらえていたのが本来の姿に戻るだけなのですが、しかしそれでもかなりの痛手になるでしょう。
インボイス制度の概要
インボイス制度の概要ですが、先ほど説明した消費税の計算式
収める消費税 = 預かった消費税 - 支払った消費税
において、インボイスに登録していない業者への消費税の支払いを支払った消費税として計算しないという内容になります。また、インボイスに登録するということは、免税事業者でも消費税を税務署に納めなければいけなくなるようです。
つまり、大企業が免税業者に仕事を発注した時の消費税を、大企業が損するということになります。仕事を発注する大企業側にとっては、価格が10%上乗せになったように見えるので、インボイスを登録していない免税事業者に仕事を発注しにくくなると予想されています。
導入は2023年なのでまだあと4年ありますが、今度どのようになるのかまだよくわからない状況のようです。
今まで懐に入れていた消費税を、懐に入れられなくなるというだけなのですが、もともとそのメリット込みでの消費税導入だったので、インボイス制度導入はかなり大きな影響を与えそうです。
消費税の仕組み、インボイス制度、消費税還付を解説
消費税の仕組みや、インボイス制度や消費税の還付など、わかりにくい仕組みをなるべくわかりやすく解説してきました。
普段何気なく支払っている消費税ですが、実は複雑な仕組みがあり納税されています。消費税の仕組みを知ることは、ビジネスを始めるうえでとても大切なことですし、不動産投資でも消費税還付など重要なテクニックになっています。
またインボイス制度の導入によって、今まで免税事業者で消費税を受け取れていた個人事業主などが大打撃を受ける可能性も出てきます。
税金は知らないと損をするため、税金の知識は必須です。深く学びたい方は下記のページがお勧めです。
節税、税金などの解説
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