もふもふ不動産のもふです。僕は不動産投資家でTwitterやYouTubeやブログなどで資産運用や不動産投資について解説しています。
この記事ではそんな方に向けて解説しています。
結論から言うと、銀行に発覚した場合は全額一括返済を求められるリスクがあるので注意してください。
- 2019年1月9日 銀行を騙して住宅ローンで不動産投資が報道
- 2019年5月4日 フラット35を悪用して不動産投資物件が報道
- 2019年8月30日 フラット35の違反が113件あることが発覚
これらの問題で1棟物の不動産投資物件への融資が出にくくなったため、その業者が区分マンションに流れ込んだのです。そして今その方々が勧めている違法スキームが、銀行を騙して住宅ローンで不動産投資に使い始めています。その手法が不正スキームが報道されています。
住宅ローン、特ににフラット35は住宅を供給する目的で融資の審査が通りやすく、融資金額も伸びやすいです。その制度を悪用して、住宅ローンやフラット35を不動産投資に悪用しているケースが報道されています。
銀行にバレると借金の一括返済を求められたり、自己破産して競売にかけられたり…とてもひどい状況です。
私は2014年から不動産投資を開始し、アパート、RCマンション、テナントビル、戸建てなどを購入し、不動産賃貸経営を行っている現役の不動産投資家です。
この記事では、不動産投資家の目線で住宅ローンを不動産投資に悪用した問題について解説します。
YouTubeでも解説しています!
もくじ
2019年1月9日 銀行を騙して住宅ローンで不動産投資が行われていると報道
2019年1月9日に、
個人が中古マンションを投資目的で買ったのに、銀行融資を受ける際に「居住用」と偽り低金利の住宅ローンを引き出した疑いのある事例が大手ネット銀行で見つかった。融資資料が改ざんされていた疑いもあり、銀行が調査を進めている。同様の不正は地方銀行でも出ている模様だ。
不正の疑いが出たのは、低金利の住宅ローンで知られる住信SBIネット銀行(東京)。同行は三井住友信託銀行とネット証券などを傘下に持つ金融業SBIホールディングスの合弁会社。
関係者によると、住信SBIネット銀で昨秋、住宅ローンを延滞した顧客を調べたところ、融資申請時は居住用としていたのに、実際は投資目的で中古マンションを購入していた疑いが浮上。資料の改ざんで年収も水増しした疑いがあることもわかったという。
居住用の住宅ローンの金利が投資用ローンより低いことに目をつけた不動産業者が、不正を主導した可能性がある。顧客は不動産業者から「空室でも家賃は支払われる」と勧誘されて投資したが、途中で業者からの家賃支払いが途絶え、ローン返済が苦しくなって不正発覚につながった。
融資の申し込みは、SBIグループのSBIマネープラザが代理店として受けた。住信SBIネット銀は、同じ不動産業者が関わった案件で他に不正があった可能性もあるとみて調べている。
–「住居用」と偽りローン横行か マンション投資– 2019年1月9日 朝日新聞より
- 返済が滞り発覚。年収も水増しされている可能性
- 不動産業者が主導した可能性があり
- 空室でも家賃が支払われると勧誘(サブリース?)
- 途中から業者が家賃を支払をストップ。返済が滞る
いろいろと問題山積みなのですが…。
2019年5月4日 フラット35を悪用して不動産投資が行われていると報道
フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携してた住宅ローンで、35年間固定金利なのが特徴です。
住宅を供給する目的の融資のため、融資条件が緩く、低金利で融資を受けることができます。そのため、自分が住む目的の住宅にしか住宅ローン(フラット35)で融資を受けることができない仕組みになっています。
Q:投資用物件など第三者に賃貸する目的の物件の取得資金にフラット35を利用することはできますか?
A:ご利用いただけません。フラット35は申込みご本人またはご親族がお住まいになる新築住宅の建設資金・購入資金、中古住宅の購入資金等にご利用いただけます。
第三者に賃貸する目的の物件の取得資金に利用するなどの目的外利用が判明した場合には、お借入れの全額を一括で返済していただく場合がありますのでご留意ください。-フラット35のサイトより–
と書かれており、住宅以外の目的への融資が発覚した場合は、全額を一括返済する可能性を示唆しています。
そんな中、朝日新聞がフラット35を悪用して不動産投資を行わせていた業者をスクープしています。
フラット35を悪用し不動産投資「住む」偽り賃貸用に
1%程度の固定低金利で長年借りられる住宅ローン「フラット35」を、不動産投資に使う不正が起きていることがわかった。ローンを提供する住宅金融支援機構も「契約違反の可能性がある」とみて調査を始め、不正を確認すれば全額返済を求める方針だ。不正が見つかったのは、東京都内の中古マンション販売会社が売った物件向けのローン。元男性社員(50)が朝日新聞の取材に応じ、「フラット35を投資目的で使ったのは、昨年6月までの約2年間に売った150戸前後。仲間の仲介業者らと一緒にやった。このしくみでトップセールスマンになれた」と証言した。販売会社は昨夏にこの社員を懲戒解雇し、昨秋までに機構へ届け出た。利用客の一部も機構から事情を聴かれている。
元社員が関与した不正な融資の顧客は20代~30代前半の若者を中心に100人超。融資額は1人2千万~3千万円ほどで、計数十億円規模になる。不動産業者らがお金に困った若者らを、投資セミナーやネット上で勧誘したとみられる。機構によると、こうした不正が大規模に発覚した例はないという。同様な手口がほかの業者でもあれば、不正はさらに広がる。
元社員によると、利用客は年収300万円台以下の所得層が大半で、200万円前後の借金を抱える人も多かった。「借金を帳消しにして不動産も持てる」などと勧誘していた。利用客はマンションの賃貸収入でローンを返す。本来は投資用なのに「住む」と偽って融資を引き出す手口で、不動産業界では「なんちゃって」と呼ばれる。
–朝日新聞デジタル20190504–
その他にも、追撃で
が報道されています。元社員のインタビューによると
- セミナーなどで集客
- 購入者は年収300万円以下が大半
- 20年の家賃保証を付ける
- 物件価格を水増しして多く融資を受け、他の借金の返済に充てる
- 自分で済むとして、半年間は住民票を購入物件に移す
- 郵便物は転送設定にしておく。
とのことです。
今回の事例のモデルケース
金額は推定なのですが、以下のようなイメージだと予想されます。
セミナーで募集した年収300万円で借金200万円のサラリーマンが、2000万円の区分マンションを買うとします。
物件の価格は2000万円なのに、銀行には2500万円と価格を水増しして伝え、2500万円の融資を受けます。そのお金で、自分の借金を200万円返済し、さらに業者さんへの仲介手数料とコンサル費用などを賄っている場合もありそうです。(金額は推定)
しかも何人かの業者と一緒にこの手法で販売したとのことなので、さらに被害が増えると思います。
購入された方は年収200万円以下とのことなので、一括返済が不可能だと思われます。今後どのような対応を取るのか、目が離せませんね。。
今まで、住宅ローンを使って区分マンションの不動産投資を行う人が多かったので、物件の価格が高騰していました。今後、住宅ローンを使って区分マンション投資をするのが難しくなってくると、物件を購入できる人が減ってくるので物件価格が下落してくるでしょう。。
Youtubeでも解説しています。
2019年8月30日 フラット35の不正拡大。
朝日新聞の藤田知也記者が、フラット35の不正融資についての続報が報道されました。
藤田記者は不動産投資の不正融資問題を詳しく取材されてます。藤田記者の本は、かなりおすすめです。
藤田記者の報道によると、フラット35が不動産投資に不正に使われた件数は113件あり、さらに別に30件あることがわかったとのことです。
不動産業者さんが、「自己資金なしで投資できる」と、年収300万円台のサラリーマンを狙い撃ちにして不動産投資に勧誘していました。そのカラクリは、住宅ローンを悪用することでした。
朝日新聞は、フラット35をマンション投資に不正に使った複数の業者の顧客名簿や賃貸管理表などを入手。2014年以降に不正にフラット35で投資された50件超の実態を調べたところ、30件超が機構の調査対象外だった。機構がすでに把握した113件以外にも不正があったことになる。
フラット35をマンション投資に使う不正は、朝日新聞が5月に報じて明るみに出た。
投資を勧誘された人らに朝日新聞が取材したところ、不正を主導した業者グループは少なくとも四つ確認された。家賃収入を約束して若い会社員を誘い、中古マンションを販売。業者が客と口裏を合わせて目的を偽り、フラット35で多額の融資を引き出す手口は共通する。
さらに、住宅ローンで不正に融資を受けて3300万円で購入した区分マンションが、1800まんえんでけいばいに流されたようです。
業者に誘われ「オイシイと思った」
埼玉県内でこの春、約1800万円で中古マンションが売り出された。築20年超で広さ約60平方メートル、最寄り駅まで徒歩十数分。不動産業者が競売で取得した。 3年前、この物件は倍近い約3300万円で取引されていた。東海地方の20代の会社員男性がフラット35で借り、投資目的で買った。
(20190830)倍値のマンション、もうけは山分け フラット不正の裏側(朝日新聞)
記事によると、本来の価値よりも著しく高い値段で初心者に売りつけ、儲けを山分けしているようです。推測ですが、住宅ローンの一括返済を求められ、支払いできないので競売にかけられて、3300万円で買った不動産が1800万円で売却されたようです。。
恐ろしいので注意しましょう。。
住宅ローンを不動産投資用には絶対に使わない
まず、住宅ローンを使って不動産投資を行うのは、絶対にやめましょう。
住宅ローンは、自分が住む住宅を供給する目的のため、特別に長期間の融資と低金利になっています。そのため、住宅以外に使うことが認められていません。
銀行を騙して、投資目的で住宅ローンを使い、不動産投資物件を購入したことが銀行に発覚すると、一括返済を求められるリスクもあります(期限の利益の損失)。
で許されないと思ったほうがいいでしょう。。
また、収入をねつ造した可能性があるとのことです。保有資産や収入を水増しして融資を通しやすくすることはしてはNGです。
これに関しても、もし銀行に発覚した場合は一括返済を求められる可能性があります。
最近、新築の戸建てを建てるセミナーでも、住宅ローンを使って投資用物件を建て、そのまま転売するスキームを進めている業者もいます。
高額なコンサル料金を取っているので、要注意です。
そういう業者は大手ポータルサイトに大金を支払大量に広告を打ったりもしているケースもあるので、気を付けましょう。。
過去、かぼちゃの馬車も広告が出て、無料セミナーもたくさん開催されていました。今は同じような状況に見えます。
家賃を保証するサブリース契約に注意しよう
空室が出ても家賃が支払われるサブリース契約は、初心者には心強い存在に思えると思います。
しかし、実際は大家さんよりも借主であるサブリース会社のほうが権利が強いので、サブリース金額の減額など簡単にできてしまいます。
詳しくは区分マンションでサブリース契約を結んだけどすぐに減額された失敗談の記事にまとめていますが、契約交渉などで家賃保証の金額を大幅に減額要求してきます。要注意です。
推測ですが、今回報道された方も、
とか、うまいことを言われていたのでしょう。。
区分マンションは利回りが低いので利益が出にくい
区分マンションは1棟物のアパートやマンションと比較して収益性がとても低いです。そのため、なかなか手残りの金額が出ず、大きな利益を残しにくいです。
無理やり手残りの金額を出すため、低金利の住宅ローンを不正に使ったり、従来の35年ではなく45年ローンなどさらに長期間の融資にして手残りを無理やり出しているようなケースもあります。
ワンルームマンションは99%失敗の記事でも書きましたが、収益性はかなり厳しいです。
保険になるとか、年金代わりになどと甘い言葉に騙されることなく、利益が出ない物件はしっかりと断るようにしないといけません。
業者のいいなりだと本当にはめ込まれてしまい、報道された方のように返済できずに破産の道へ進んでしまいます。。
もし住宅ローンを使って不動産投資物件を購入していることが銀行にバレたら
もし、住宅ローンを使って不動産投資物件を購入し、銀行にバレたら金消契約違反で銀行から一括返済を求められるリスクがあります。
友達の不動産投資家が、「住宅ローンを使って不動産投資物件を買ったのが銀行にバレて、一括返済を求められていて相談されたけどどうすることもできなかった」
という方がいました。また、弁護士ドットコムさんで、住宅ローンの金額が売買契約書と違うということで「一括返済を求められそう」という相談がありました。
住宅ローンの不正融資について。
売買契約書の金額の相違で調査が始まりました。
4年前に購入した戸建の住宅ローンなのですが、売買契約書の金額が原本と異なっていると言われました。確認してみると原本の金額は100万円低く、不正融資を受けている事が判明しました。
一括返済になる可能性が高いと言われ動揺しています。
情けない話なのですが不動産屋に任せっきりで、総額や返済額ばかり気にして他をきちんと確認出来ていなかったのです。2900万円融資を受け、原本は2800万円。諸費用ローン100万円以外の諸費用が入っていると思われます。知らなかったじゃ済まされないこと、確認をきちんとしなかった自分達が悪いことは分かっていますが全てを失うのではと恐怖の毎日です。
1、一括返済以外の可能性もあるものなのでしょうか?
2、一括返済の場合、住宅を売却して自己破産する以外に選択肢は無いのでしょうか?2018年9月8日 弁護士ドットコムより
住宅ローンは住宅を供給する目的で特別に優遇されているので、かなり厳しく追及されているようです。。
もし銀行を騙して融資を受けていたら…
もし住宅ローンで銀行を騙して不動産投資物件を買われてしまっていたり、もしくは毎月赤字の状態の方は、早めに売却されるのも作戦だと思います。
売却してしまうと銀行から一括返済を求められるリスクがなくなりますし、都心の区分マンションは価格が高騰しており、驚くほど高く売れる可能性もあります。
ご自身の物件の価格がいくらくらいなのかを知るため、見積もりの査定に出すことをお勧めします。もしローンの残りよりも高く売れるのでしたら、思わぬ資産になります。逆にローンの残りの金額より高く売れないのでしたら、将来の人生設計に影響を及ぼす可能性もあります。
自分の物件の価格を知ることは、とても重要です。
不動産の一括売却査定サイトを活用する
不動産の一括売却査定サイトで査定して売却するのがお勧めです。
- 複数社に一括で査定できて楽。
- あなたの不動産の価格がいくらくらいなのか、簡単に比較できる
- 価格が折り合えば、そのまま売却を依頼できる
- 売却されるまで、完全に無料で依頼できる
というところにあります。
また、こちらと併せて、高く売るための方法の記事を読んでおくと、より高く物件を売却できる可能性があります。
- ワンルームマンションのサブリース契約で失敗した体験談
- 物件を高く売る方法
- さらに勉強したい方はこちらの不動産投資講座へ
銀行を騙し、住宅ローンで不動産投資が行われていると報道のまとめ
この問題、今に始まったことではなくずっと前からありました。ただ、業者が大々的に顧客を集め、銀行を思いっきりだますような大規模になっているのは初めてだと思います。
現在調査中とのことですが、氷山の一角としてさらに複数の問題が出てくる可能性があります。
まだ十分に情報がない状態なのですが、今後も引き続き調査し、この問題についてブログでまとめていきます。